[台本]かえるのうた
〇アズマ
女性、17歳
〇ミヤコ
女性、17歳
〇ナガレ
女性、17歳
アズマ ♀:
ミヤコ ♀:
ナガレ ♀:
↓これより下が台本本編です。
───────────────────────────────────────
ナガレ:「げこっ」
間。
アズマ:「……ん?」
ミヤコ:「アズマちん?どうしたの?」
間。
アズマ:「ううん。
ただ──」
間。
ナガレ:かえるのうた。(タイトルコール)
間。(アズマとミヤコ、誰も居ない教室で自習している。)
ミヤコ:「……蛙の鳴き声?」
アズマ:「うん。した気がしたんだよね。」
ミヤコ:「…………あたしはしなかったけどなぁ。
……アズマちん、こっち来て。」
アズマ:「ん?」
ミヤコ:「もっと顔寄せて。」
アズマ:「んん?」
(アズマ、ミヤコに顔をぐっと寄せる。)
ミヤコ:「えい。」(デコピンをする。)
アズマ:「いたいっ!
な、何するのさミヤコ!」
ミヤコ:「ふふふーアズマちん、ポンコツなんだから~
目覚めた?」
アズマ:「な、別に寝ぼけてたわけじゃないよ!」
ミヤコ:「こんな所で蛙の鳴き声なんか聞こえるわけないじゃーん。
近くに田んぼとか川がある訳でもないし。」
アズマ:「うん……そうなんだけど……」
ミヤコ:「さてはアズマちーん……受験勉強嫌になって現実逃避しちゃってるんじゃないのかな?
休んだ方が良いかものね。」
アズマ:「それって、ミヤコが休憩したいだけじゃない?」
ミヤコ:「いぐざくとりっ」
アズマ:「ふふっ、じゃあ、飲み物買いに行こ。」
ミヤコ:「いえーい!」
ナガレ:「げこげこっ」
~学校内、自販機前~
アズマ:「あ~何しよ~何しよ~何にしよ~」
ミヤコ:「あたしはこーれっ」
(ミヤコ、自販機のボタンを押す。)
アズマ:「野菜ジュース。」
ミヤコ:「と、言う名のフルーツジュースだけどねぇ。」
アズマ:「ふふ。何それ。」
ミヤコ:「糖分が良い感じに入ってて、勉強して疲れた頭にちょうど良いんだよねぇ。」
アズマ:「へぇーじゃあ、私もそうしよ。」
(アズマ、自販機のボタンを押す。)
ナガレ:「げこげこっ」
アズマ:「……え?」
ミヤコ:「……?」
(アズマ、周りをきょろきょろする。)
ミヤコ:「アズマちん?」
アズマ:「…………。」
間。
アズマ:「……げこっ。」
ミヤコ:「…………アズマちん……?」
アズマ:「────えっ」
間。
アズマ:「あれ、私……」
ミヤコ:「アズマちん。
こっち見て。」
アズマ:「──いっでっ!」
(アズマ、ミヤコにデコピンされる。)
ミヤコ:「ふふーまた引っ掛かった~」
アズマ:「ちょ……ちょっと!なに?急に……!」
ミヤコ:「今度こそ目―覚めたー?」
アズマ:「だから!寝てないって!」
ナガレ:「今日も元気だね。二人共。」
アズマ:「え?……あ!」
ミヤコ:「生徒会長さんだー!」
ナガレ:「夏休みだって言うのに、学校に来て……
受験勉強?」
アズマ:「そ。受験勉強。図書館に行こうとも思ったんだけど、
せっかく学校開放されてるんだったらってミヤコが。」
ナガレ:「そう。真面目だね。」
ミヤコ:「えへへーまぁ、それが取り柄の一つなので。」
ナガレ:「素敵な取り柄……魅力だと思うよ。
……あ、まだ挨拶していなかったやワタシ。こんにちは。二人共。」
ミヤコ:「こんにちはー!」
アズマ:「こんにちは、ナガレ。」
ナガレ:「はい、こんにちは。」
ミヤコ:「えへへー生徒会長っていうか校長先生みたいな返しだねー」
ナガレ:「そう?
光栄のような不名誉なような。」
ミヤコ:「不名誉って、校長先生に失礼だなぁ。」
アズマ:「まあ、なんか分かるよ、だって、ほら。うちの校長先生って──」
ナガレ:「げこげこっ」
アズマ:「──じゃない?」
ナガレ:「こらこら、それは流石に失礼だよ。」
アズマ:「ははー流石にかー」
ミヤコ:「………………。」
間。
アズマ:「……ミヤコ?どうしたの?」
ミヤコ:「ううん。
ただ──」
ナガレ:「げこっ」
ミヤコ:「……ううん。なんでもない。」
アズマ:「……そう?」
ナガレ:「二人共、あまり調子良くなさそうだね。
今日も今日とて真夏日だ。仕様も無い。」
(ナガレ、日光を手で遮りながら青空を眺める。)
ナガレ:「たとえ、冷房の効いた部屋に居たとて、しっかり水分補給していたとて、
万全な体調を作るのは難しい。」
(ナガレ、アズマとミヤコの方を見る。)
ナガレ:「あまり無理はしない様に。」
アズマ:「うん。ありがとうナガレ。」
ミヤコ:「…………。
えへへー生徒会長、益々校長先生みたいな事言ってるー」
ナガレ:「あはは。
では、将来は校長先生になるべく、勉学に──」
アズマ:「げこげこっ」
間。
ミヤコ:「…………。」
アズマ:「ナガレが校長の学校かー悪くないなー」
ナガレ:「そうか。アズマがそう言うなら、本当に一考してみるか。
……ま。お互い、程々に。ワタシは生徒会業務があるので、これで。」
ミヤコ:「はい!またねー生徒会長!」
アズマ:「うん。じゃあねーナガレー」
間。(ナガレ、手をひらひらさせて去る。)
ミヤコ:「……。」
アズマ:「ミヤコ?大丈夫……?」
ミヤコ:「え?うん、大丈夫!
さ、教室帰ろ!」
アズマ:「うん。」
◇
~教室~
(アズマとミヤコ、机に向かって勉強している。)
アズマ:「……。」
ミヤコ:「……。」
アズマ:「……。」
ミヤコ:「……。」
ナガレ:「げこっ」
間。
アズマ:「……ん?」
ミヤコ:「アズマちん?どうしたの?」
間。
アズマ:「ううん。
ただ──」
ミヤコ:「アズマちん。」
アズマ:「ん?」
ミヤコ:「えい。」(デコピンをする。)
アズマ:「いたいっ!
な、何するのさミヤコ!」
ミヤコ:「ふふふーまた引っ掛かった~~
アズマちん、ポンコツなんだから~
……まだ目がとろんとしてる。休憩する~?」
アズマ:「な、別に寝ぼけてたわけじゃないよ!」
ミヤコ:「こんな所で蛙の鳴き声なんか聞こえるわけないじゃーん。
近くに田んぼとか川がある訳でもないし。」
アズマ:「うん……そうなんだけど……
…………あれ?私そんな事言っ──」
ミヤコ:「さてはアズマちーん……受験勉強嫌になって現実逃避しちゃってるんじゃないのかな?
休んだ方が良いかものね。」
アズマ:「……ふふっ、それって、ミヤコが休憩したいだけじゃない?」
ミヤコ:「いぐざくとりっ」
アズマ:「じゃあ、飲み物買いに行こ。」
ミヤコ:「いえーい!」
アズマ:「げろげろっ」
ナガレ:「げろげろっ」
~学校内、自販機前~
アズマ:「あ~何しよ~何しよ~何にしよ~」
ミヤコ:「あたしはこーれっ」
(ミヤコ、自販機のボタンを押す。)
アズマ:「野菜ジュース。」
ミヤコ:「と、言う名のフルーツジュースだけどねぇ。」
アズマ:「ふふ。何それ。」
ミヤコ:「糖分が良い感じに入ってて、勉強して疲れた頭にちょうど良いんだよねぇ。」
アズマ:「へぇーじゃあ、私もそうしよ。」
(アズマ、自販機のボタンを押す。)
アズマ:「げろげろっ」
ミヤコ:「……?」
(アズマ、周りをきょろきょろする。)
ミヤコ:「アズマちん?」
アズマ:「げろげろっ」
間。
アズマ:「……げこっ。」
ミヤコ:「…………アズマちん……?アズマちん!」
アズマ:「────えっ」
間。
アズマ:「あれ、私……」
ミヤコ:「アズマちん。
こっち見て。」
アズマ:「──いっでっ!」
(アズマ、ミヤコにデコピンされる。)
アズマ:「ちょ……ちょっと!なに?急に……!」
ミヤコ:「今度こそ目覚めた?」
アズマ:「だから!寝てないって!」
ナガレ:「今日も元気だね。二人共。」
アズマ:「え?……あ!」
ミヤコ:「……。」
ナガレ:「夏休みだって言うのに、学校に来て……
受験勉強?」
アズマ:「そ。受験勉強。図書館に行こうとも思ったんだけど、
せっかく学校開放されてるんだったらってミヤコが。」
ナガレ:「そう。真面目だね。」
ミヤコ:「まぁ、それが取り柄の一つなので。」
ナガレ:「素敵な取り柄……魅力だと思うよ。
……あ、まだ挨拶していなかったやワタシ。こんにちは。二人共。」
ミヤコ:「こんにちはー!」
アズマ:「げろげろっ」
ナガレ:「げろげろっ」
ミヤコ:「……え、えへへー生徒会長っていうか校長先生みたいな返しだねー」
ナガレ:「そう?
光栄のような不名誉なような。」
ミヤコ:「不名誉って、校長先生に失礼だなぁ。」
アズマ:「まあ、なんか分かるよ、だって、ほら──」
ナガレ:「げこげこっ」
アズマ:「げろげろっ」
ナガレ:「こらこら、それは流石に失礼だよ。」
アズマ:「ははー流石にかー」
ミヤコ:「………………。」
間。
アズマ:「……ミヤコ?どうしたの?」
ミヤコ:「ううん。
ただ──」
アズマ:「げろげろっ」
ミヤコ:「……ううん。なんでもない。」
アズマ:「……そう?」
ナガレ:「…………。
二人共、あまり調子良くなさそうだね。
今日も今日とて真夏日だ。仕様も無い。」
アズマ:「げろげろっ」
ナガレ:「げろげろっ」
アズマ:「げこっ」
(ナガレ、アズマとミヤコの方を見る。)
ナガレ:「あまり無理はしない様に。」
アズマ:「うん。ありがとうナガレ。」
ミヤコ:「…………。
えへへー生徒会長、益々校長先生みたいな事言ってるー」
ナガレ:「あはは。
では──」
アズマ:「げこげこっ」
ナガレ:「げこげこっ」
ミヤコ:「…………。」
アズマ:「ナガレが校長の学校かー悪くないなー」
ナガレ:「そうか。アズマがそう言うなら、本当に一考してみるか。
……ま。お互い、程々に。ワタシは生徒会業務があるので、これで。」
ミヤコ:「はい!またねー生徒会長!」
アズマ:「うん。じゃあねーナガレー」
間。(ナガレ、手をひらひらさせて去る。)
ミヤコ:「……。」
アズマ:「ミヤコ?大丈夫……?」
ミヤコ:「え?うん、大丈夫!
さ、教室帰ろ!」
アズマ:「うん。」
◇
~教室~
(アズマとミヤコ、机に向かって勉強している。)
アズマ:「……。」
ミヤコ:「……。」
アズマ:「……。」
ミヤコ:「……。」
アズマ:「げろげろっ」
ミヤコ:「アズマちん?どうしたの?」
間。
アズマ:「ううん。
ただ──」
ミヤコ:「アズマちん。」
アズマ:「ん?」
ミヤコ:「えい。」(デコピンをする。)
アズマ:「げろっ!
な、何するのさミヤコ!」
ミヤコ:「ふふふーアズマちん、ポンコツなんだから~
……目がぎょろぎょろしてたよ。休憩する~?」
アズマ:「な、別に寝ぼけ……え、ぎょろぎょろ?」
ミヤコ:「こんな所で蛙の鳴き声なんか聞こえるわけないじゃーん。
近くに田んぼとか川がある訳でもないし。」
アズマ:「ミヤコ?」
ミヤコ:「さてはアズマちーん……受験勉強嫌になって現実逃避しちゃってるんじゃないのかな?
休んだ方が良いかものね。」
アズマ:「ミヤコ。ミヤコ大丈夫?」
ミヤコ:「いぐざくとりっ」
アズマ:「…………ミヤコ。一旦、飲み物買いに行こっか。」
ミヤコ:「いえーい!」
ナガレ:「げろげろっ」
~学校内、自販機前~
アズマ:「あ~何しよ~何しよ~何にしよ~」
(ミヤコ、無言で自販機のボタンを押す。)
アズマ:「即断即決。判断が早いねぇミヤコは。
野菜ジュースかあ。」
ミヤコ:「と、言う名のフルーツジュースだけどねぇ。」
アズマ:「ふふ。何それ。」
ミヤコ:「勉強して疲れた頭にちょうど良いんだよねぇ。」
アズマ:「へぇーじゃあ、私もそうしよ。」
(アズマ、自販機のボタンを押す。)
アズマ:「げろげろっ」
ミヤコ:「……。」
(アズマ、周りをきょろきょろする。)
ミヤコ:「アズマちん。」
アズマ:「げろげろっ」
間。
アズマ:「……げこっ。」
ミヤコ:「アズマちん。
こっち見て。」
アズマ:「──いっでっ!」
(アズマ、ミヤコにデコピンされる。)
アズマ:「ちょ……ちょっと!なに?急に……!」
ミヤコ:「起きてよ。」
アズマ:「だから!寝てないって!」
ナガレ:「今日も元気だね。二人共。」
アズマ:「え?……あ!」
ミヤコ:「……。」
ナガレ:「夏休みだって言うのに、学校に来て……
受験勉強?」
アズマ:「そ。受験勉強。図書館に行こうとも思ったんだけど、
せっかく学校開放されてるんだったらってミヤコが。」
ナガレ:「そう。真面目だね。」
ミヤコ:「……。」
ナガレ:「……ミヤコ?
……あ、まだ挨拶していなかったやワタシ。こんにちは。二人共。」
ミヤコ:「こんにちは。」
アズマ:「げろげろっ」
ナガレ:「げろげろっ」
ミヤコ:「…………。」
アズマ:「ははは。今のめっちゃ校長先生っぽい。」
ナガレ:「そう?
光栄のような不名誉なような。」
ナガレ:「げこげこっ」
アズマ:「げろげろっ」
ナガレ:「げろげろっ」
アズマ:「げろげろっ」
ミヤコ:「………………。」
間。
アズマ:「……ミヤコ?どうしたの?」
ミヤコ:「……ううん。なんでもない。」
アズマ:「……そう?」
ナガレ:「…………。
二人共、あまり調子良くなさそうだね。
今日も今日とて真夏日だ。仕様も無い。」
アズマ:「げろげろっ」
ナガレ:「げろげろっ」
アズマ:「げこっ」
(ナガレ、アズマとミヤコの方を見る。)
ナガレ:「あまり無理はしない様に。」
アズマ:「うん。ありがとうナガレ。」
ミヤコ:「…………。」
アズマ:「げこげこっ」
ナガレ:「げこげこっ」
ミヤコ:「…………。」
ナガレ:「げこっ」
アズマ:「げろげろっ」
ナガレ:「げろげろっ」
アズマ:「げこっ」
ナガレ:「……ま。お互い、程々に。ワタシは生徒会業務があるので、これで。」
アズマ:「うん。じゃあねーナガレー」
間。(ナガレ、手をひらひらさせて去る。)
ミヤコ:「……。」
アズマ:「ミヤコ?大丈夫……?」
ミヤコ:「え?うん、大丈夫!
さ、教室帰ろ!」
アズマ:「……うん。」
◇
~教室~
(アズマとミヤコ、机に向かって勉強している。)
アズマ:「……。」
ミヤコ:「……。」
アズマ:「……。」
ミヤコ:「────げろげろっ。」
間。
アズマ:「げろげろっ?」
ミヤコ:「アズマちん?どうしたの?」
間。
アズマ:「ううん。
ただ──」
ミヤコ:「アズマちん。」
アズマ:「ん?」
ミヤコ:「えい。」(デコピンをする。)
アズマ:「いてっ!
な、何するのさミヤコ!」
ミヤコ:「ふふふー……
ねえ、アズマちん。」
アズマ:「な、なに?」
ミヤコ:「こんな所で蛙の鳴き声なんか聞こえるわけないよね。
近くに田んぼとか川がある訳でもないし。」
アズマ:「ミヤコ?」
ミヤコ:「さてはアズマちーん……受験勉強嫌になって現実逃避しちゃってるんじゃないのかな?
休んだ方が良いかものね。」
アズマ:「ミヤコ。ミヤコ大丈夫?」
ミヤコ:「いぐざくとりっ」
アズマ:「…………ミヤコ。何かあったの。」
ミヤコ:「いえーい!」
アズマ:「ミヤコ!!」
(アズマ、ミヤコの肩を掴む。)
ミヤコ:「げろげろぉ?」
アズマ:「…………ミヤコ?」
ミヤコ:「皆どうしちゃったの?」
アズマ:「……え?」
ミヤコ:「皆してげろげろげろげろげろげろげろげろっ!!!!」
アズマ:「ミヤコ……?」
ミヤコ:「みんなかえるになっちゃった。」
間。
ミヤコ:「げこげこっ?」
アズマ:「み……ミヤコ……」
ミヤコ:「…………ダメだ。アズマちんのカエル語分かんないや。
カッパ語なら芥川龍之介著のを読んだから少し分かるかもだけど、
蛙は分かんない。」
(ナガレ、教室に入ってくる。)
ナガレ:「おや、二人共。夏休みだって言うのに、学校に来て……
受験勉強?」
ミヤコ:「あ。二匹目の蛙。」
アズマ:「ナガレ……!」
ナガレ:「ん?何か、切迫した様子?」
ミヤコ:「げろげろげこげこげろげろげこげこ。」
ナガレ:「…………。」
ミヤコ:「あー……やっぱり通じてない。」
アズマ:「さっきからミヤコがおかしいの!
ずっと目がぎょろぎょろしてて、言っている事もよく分かんなくて……!」
ナガレ:「ミヤコ君。」
ミヤコ:「げろげろ?」
ナガレ:「こんな所に居る訳ないじゃないか。
近くに田んぼとか川がある訳でもなしに。」
アズマ:「ナガレ……?」
ミヤコ:「……。」
間。(ミヤコ、ぎょろぎょろしていた目が一点を見つめ始める。)
ミヤコ:「…………じゃあ、なに?」
ナガレ:「それは理解しない方が良いんじゃないかな。」
ミヤコ:「…………。げこげこ。げろげろ。ぎょろぎょろ。ぐにゃぐにゃ。くねくね。ぶよぶよ。げこげこ。げろげろ。ぎょろぎょろ。ぐにゃぐにゃ。くねくね。ぶよぶよ。げこげこ。げろげろ。ぎょろぎょろ。“ぐちゃぐちゃ。”くねくね。ぶよぶよ。げこげこ。げろげろ。ぎょろぎょろ。ぐにゃぐにゃ。くねくね。ぶよぶよ。げこげこっ。」
アズマ:「み、ミヤコ……?」
ナガレ:「……。」
ミヤコ:「だとしたら──」
間。
ミヤコ:「──ん?」
間。
ミヤコ:「近くに田んぼとか川がある訳でも無いのに、なんで?」
間。
アズマ:「ミヤ──」
ミヤコ:「アズマちん。こっち見ない方が良いよ。」
アズマ:「……え?」
ナガレ:「……。」
アズマ:「え?え?え?」
ミヤコ:「もーアズマちーん。ポンコツなんだから。」
間。(ミヤコ、窓向かって駆け出す。)
ミヤコ:「ぴょーん。」
アズマ:「え?は?え?え?みや……ミヤコ……?
ミヤコ?!なっ!!ミヤコ?!なんで?!?!」
ナガレ:「三階の窓から飛び降りとは。
受験勉強から来るストレスかな。」
アズマ:「ミヤコ!ミヤコ!!」
(アズマ、窓の外を見る。)
アズマ:「──────ッ」
間。
(ミヤコ、下半身がぐちゃぐちゃになり、這った状態で辛うじて生きている。)
ミヤコ:「げろ……げろ……げろ……」
◇
アズマ:ミヤコは直ぐに病院に搬送され、なんとか死ぬことは無かった。
……だけど──
間。
ミヤコ:「きーこーえーてーくーるーよー」
ミヤコ:「きーこーえーてーくーるーよー」
ミヤコ:「くわっくわっくわっくわっ~」
ミヤコ:「けろけろけろけろ」
ミヤコ:「くわっくわっくわっ」
間。
アズマ:ミヤコは心神喪失状態で、今もかえって来ない。
ミヤコ:「きーこーえーてーくーるーよー」
ミヤコ:「きーこーえーてーくーるーよー」
ミヤコ:「くわっくわっくわっくわっ」
ミヤコ:「けろけろけろけろ」
ミヤコ:「くわっくわっくわっ~」
ナガレ:「閑話休題。それはさておき。ともかく、だ。
今日もミヤコ君の様子を見に行ってきたんでしょ。どうだった。」
アズマ:「うん……。
ずっと目がぎょろぎょろしてて、何かを譫言(うわごと)の様に呟いてた……。
……なんだか、その……」
ナガレ:「校長先生みたいになってしまった、でしょ。」
アズマ:「…………。」
ナガレ:「校長先生も突然乱心されて、窓から落ち、今のミヤコ君の様になった。
……ミヤコ君も校長先生も、何があったんだろうね。」
アズマ:「……分からない。」
間。
アズマ:「……そういえば、あの時のミヤコ──」
ナガレ:「思い出さない方が良い。」
アズマ:「──え?」
ナガレ:「ふふっ……ミヤコ君が最後に残してくれた“君への友情”だ。
無下にしてしまうのは、良しとは出来ないね、ワタシは。」
アズマ:「……。」
間。
アズマ:「ミヤコ……。」
間。
ミヤコ:「きーこーえーてーくーるーよー」
ミヤコ:「きーこーえーてーくーるーよー」
ミヤコ:「くわっくわっくわっくわっ」
ミヤコ:「けろけろけろけろ」
ミヤコ:「くわっくわっくわっ~」
ミヤコ:「きーこーえーてーくーるーよー」
ミヤコ:「きーこーえーてーくーるーよー」
ミヤコ:「くわっくわっくわっくわっ」
ミヤコ:「けろけろけろけろ」
ミヤコ:「くわっくわっくわっ~」
ミヤコ:「きーこーえーてーくーるーよー」
ミヤコ:「きーこーえーてーくーるーよー」
ミヤコ:「くわっくわっくわっくわっ」
ミヤコ:「けろけろけろけろ」
ミヤコ:「くわっくわっくわっ~」
ミヤコ:「かーえーるーのーうーたーが──」
───────────────────────────────────────
END