[台本] 現世⇔冥界探偵事務所(げんせ・めいかいたんていじむしょ) File-01:「ワシ死んでないと思うんじゃが。」
登場人物
○ヴァスタ
年齢不詳、男性
現世、冥界を跨ぐ探偵事務所『シン・ツィツィ・ミトル』の所長であり、
アステカ神話における冥界の王ミクトランテクウトリの写本体。
所謂“神様”的存在だが、非常にひねくれ者で皮肉屋。
○虚聞飛鳥間華蔵閣 鉢頭摩(きょぶんあすまけぞうかく はどま)
???歳、女性
虚聞飛鳥間華蔵閣家の初代当主で今も生きる最強女傑。
見た目は少女の様だが言動はちゃんとババア。
古から生きる存在だが決して硬い考えは持たず柔軟且つ陽気な気質の人物。
最近車に轢かれた。
ヴァスタ ♂:
虚聞飛鳥馬華蔵閣 鉢頭摩 ♀:
↓これより下が台本本編です。
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~探偵事務所『シン・ツィツィ・ミトル』~
(ヴァスタと鉢頭摩、向かい合って椅子に座っている。)
鉢頭摩:「ワシ死んでないと思うんじゃが。」
ヴァスタ:「ここそういう所じゃないんですけど。」
鉢頭摩:「……。」
ヴァスタ:「……。」
鉢頭摩:「ここ茶とか出んのか。」
ヴァスタ:「ここそういう所じゃないんですけど。」
鉢頭摩:「……。」
ヴァスタ:「……。」
鉢頭摩:「ワシ死んでないと思うんじゃが。」
ヴァスタ:「聞いたよ!アンタ誰だよ!!
俺が帰ってきたらもう既に寛いでたけど!!誰!!」
鉢頭摩:「ワシ?ワシか?」
(鉢頭摩、エアで茶を飲む。)
鉢頭摩:「ズズー……ワシはな……」
ヴァスタ:「茶を飲むフリすんな。」
鉢頭摩:「ワシの名は虚聞飛鳥間華蔵閣 鉢頭摩(きょぶんあすまけぞうかく はどま)。
平安の時にこの国の裏で争い続けていた虚聞、飛鳥間、華蔵閣の三家を一つに束ねた初代当主にして、今も尚生き続ける人間じゃ。」
ヴァスタ:「死んでんじゃん。」
鉢頭摩:「ワシはまだ死んでないと思うんじゃが。」
ヴァスタ:「というか突っ込みどころ満載過ぎるだろ……
え?何?きょぶん?あすま?……なんだっけ?」
鉢頭摩:「虚聞飛鳥馬華蔵閣 鉢頭摩(きょぶんあすまけぞうかく はどま)。」
ヴァスタ:「長い……!!
三家を統合とかも意味分かんないけど統合したからって全部合体させるなよ……!」
鉢頭摩:「ワシ含めた当時の三家当主全員が“我が家の名前消えるのおかしくね???”となった故の折衷案じゃ。」
ヴァスタ:「折衷出来てないんですけど?」
鉢頭摩:「ワシがそうと言ったらそうなのじゃ。」
ヴァスタ:「…………頭痛いなぁ……」
(ヴァスタ、携帯を弄りだす。)
鉢頭摩:「む。客の前で“すまーとほん”を弄りだすとは、レビュー荒らしておくからな。」
ヴァスタ:「陰険な事するな。
仕方ないだろ。最近はスマホで管理されてるんだから。」
鉢頭摩:「じゃとしてもパッドとかを利用してちゃんと仕事の体裁を守るべきじゃろ。」
ヴァスタ:「うるさいな。なんでちょっとそれっぽい事言い出すんだよ。
……えー……と……?キョブン……キョブン……」
鉢頭摩:「虚聞飛鳥馬華蔵閣 鉢頭摩(きょぶんあすまけぞうかく はどま)。」
ヴァスタ:「……あった。
え~……なになに?“××××年〇月△日、13時頃。大学に向かう途中。”」
鉢頭摩:「ほう。所謂、“閻魔帳”というやつか。地獄もIT化の波が……え?ワシ地獄行き?」
ヴァスタ:「“赤信号に気付かずに道路(しかも横断歩道では無い)に飛び出し、軽自動車に撥ねられる。”
“最後の言葉は──”」
↑※(しかも横断歩道では無い)も読む。
鉢頭摩:『ま!ワシ最強女傑じゃから大型トラックに轢き摺り回されても死なんけどな!!!
わーっはっはっはっはっは!!──ぶべらっ!!!』
ヴァスタ:「……。」
鉢頭摩:「……。」
ヴァスタ:「死んでんじゃん!!」
鉢頭摩:「ワシはまだ死んでないと思うんじゃが。」
ヴァスタ:「いや、死んでるだろ。」
鉢頭摩:「だってワシ、平安時代からずっと生きとったんじゃよ??
その最期が車に轢かれるって……酷じゃろ……?」
ヴァスタ:「情報を参照するに、平安時代からガチで生きてるのイカれてるな……
てか酷なのは轢いてしまった方でしょ。道路飛び出すな。」
鉢頭摩:「それは凄くそうじゃ……すまぬ……次からは気をつけるのじゃ……」
ヴァスタ:「もう死んでるんだから次とか無いから。」
鉢頭摩:「そんな!殺生な!!
なんとかご慈悲を!閻魔様!」
ヴァスタ:「俺は閻魔じゃない。」
鉢頭摩:「何!?ここ閻魔殿(えんまでん)とかじゃないのか!」
ヴァスタ:「何処の地獄行きかを決める法廷がこんなカジュアルなワケ無いだろ!」
鉢頭摩:「じゃあどこなのじゃ!」
ヴァスタ:「ここは探偵事務所だよ。」
鉢頭摩:「探偵事務所?」
ヴァスタ:「そ。現世、冥界を跨いで案件を請け負う探偵事務所『シン・ツィツィ・ミトル』だ。」
鉢頭摩:「何故そんなものがあるのじゃ?」
ヴァスタ:「…………ま。“聞かれたら答える”。ここを間借りさせて貰ってる条件だし、義務だからな……。
まず、前提として、この世界は、三種の存在にそれぞれ“住処”がある。
“生者”は現世、現し世。“死者”は冥界。」
鉢頭摩:「ふむふむ。」
ヴァスタ:「更に、現世や冥界とはまた別口の、“現世の裏側”、“隠世(かくりよ)”という世界もあるし……あ、魔物や妖怪といった類の存在がいる“住処”だね。
俺からしたら冥界も隠世(かくりよ)も同じ物で、ただ存在している種類が微妙に違うくらいの認識だから、纏めて冥界扱いしている。」
鉢頭摩:「お。妖怪とはワシ、縁近(えんちか)じゃぞ。」
ヴァスタ:「あっそ。
とにかく、この町はどうにも“特に”不安定でね。度々、現世と冥界の境界が曖昧になる。
それが原因で、現世に迷い込む死者、冥界に迷い込む生者が多いんだ。」
鉢頭摩:「ふむふむ。」
ヴァスタ:「その迷い込んで起きたトラブルを解決する為に設置されたのが、ここってこと。」
鉢頭摩:「なるほどなぁ。
何処も大変じゃの~じゃあワシもそういうことじゃな!」
ヴァスタ:「そういうことって?」
鉢頭摩:「ワシが死んだのは何かの間違いじゃ。助けるのじゃ。」
ヴァスタ:「知らない知らない。」
鉢頭摩:「そこをなんとか~~~~!
……あー……お主は誰なのじゃ?
やはり閻魔様の部下とか?小野 篁(おののたかむら)辺りかの?」
ヴァスタ:「違うよ。」
鉢頭摩:「そうじゃよな!だってタカムラくんもっとイケメンじゃったし!背も高かったし!爽やかじゃったな!」
ヴァスタ:「突然の平安トーク…………まあいいや……。
俺の名はヴァスタ。冥界の王、ミクトラン・テクウトリの名を借名させてもらっている。」
鉢頭摩:「ミクトラン……?何じゃ?アステカ神話??
アステカの神様がなんで地球の反対側に???」
ヴァスタ:「そんな事はどうでも良い。」
(ヴァスタ、姿勢を変える。)
ヴァスタ:「実際問題、アンタはここにいる。
という事はただの死者では無いって事だ。」
鉢頭摩:「こんな可愛いロリババァが只人なわけがなかろうよ。」
ヴァスタ:「何かしらの案件だって事だし、仕方が無い。真面目に取り合ってやるよ。」
鉢頭摩:「おお!死ぬの無しにくれるのかの!?」
ヴァスタ:「それは知らない。
何かあるんじゃないか。アンタの探し物とか、忘れ物とか。」
鉢頭摩:「ワシ死んでないと思うんじゃが。」
ヴァスタ:「それしか言えないのかよ!
ほら!何か思い出してみろよ!」
鉢頭摩:「う~~~~~~~~~む……」
(鉢頭摩、目を瞑る。)
鉢頭摩:「ほわんほわんほわ~ん……」
ヴァスタ:「なんだよほわんほわんほわんって。」
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~回想~
鉢頭摩:『~~♪』(なんか鼻歌を歌っている。)
鉢頭摩:ワシの名は虚聞飛鳥間華蔵閣 鉢頭摩(きょぶんあすまけぞうかく はどま)。
平安の時にこの国の裏で争い続けていた虚聞、飛鳥間、華蔵閣の三家を一つに束ねた初代当主にして、今も尚生き続ける人間じゃ。
ヴァスタ:なんで回想且つ誰に説明してるわけでもないのにモノローグまで入ってんだよ。
鉢頭摩:『~~♪』(なんか鼻歌を歌っている。)
鉢頭摩:そんなワシじゃが、平安から常に“あんちえいじんぐ”に一切の手を抜かずおったおかげで、
未だに少女の容貌を保っておる!!うむ!ワシってば可愛い!!
鉢頭摩:『さて、そんなワシじゃが、今日は大学生のフリしてキャンパスライフを謳歌するのじゃ!
何故大学なのか、それは──』
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鉢頭摩:「……それは……なんじゃ……?」
ヴァスタ:「“大学生のフリしてキャンパスライフを謳歌する”って何!?
この平安ロリババァ何やってんの!?」
鉢頭摩:「なんじゃ?若さの秘訣かの?」
ヴァスタ:「聞いてないよ!
何きしょい事してんだよって聞いてんの!」
鉢頭摩:「なんじゃ。ワシがどう生きようが自由じゃろがい。」
ヴァスタ:「死んでるけどね???」
鉢頭摩:「とにかく、大学に行くのが今日の予定だったワケじゃし、それが達成出来れば良いのではないか?
故に、疾く、死んでない事にするのじゃ。」
ヴァスタ:「それを決める権限は俺には無い。」
鉢頭摩:「お主、冥界の王なんじゃろ???それくらい出来て当然じゃろ。」
ヴァスタ:「名前と力を一部借りてるだけだから。権限そのものは無い。」
鉢頭摩:「むむむ……ではやはり、ワシ死んでないと思うんじゃが。」
ヴァスタ:「はいはい。
大学云々はあまり関係ない気がするし、他にはなんか無いの。」
鉢頭摩:「う~~~~~~~~~む……」
(鉢頭摩、目を瞑る。)
鉢頭摩:「ほわんほわんほわ~ん……」
ヴァスタ:「だからなんだよほわんほわんほわんって。」
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~回想~
鉢頭摩:『よぉ~”最新の子孫”よ~可愛い可愛い祖先様が来たじゃよ~
お主~まだ“これ”おらんのか?』
ヴァスタ:小指立てんな。てかガチで面倒な絡みしてやるなよ。
鉢頭摩:『おらん?おらんのか~~~~~
奥手じゃの~~~~ワシらの時代の男は女に歌を贈って、その返歌を貰って……って、ワシらの時代も奥手じゃの。』
ヴァスタ:いや、奥手とかそういうのじゃなくてそういう文化だから!
鉢頭摩:『あ、”最新の子孫”には弟子がおったな~~
あの子かわゆいかったよな?かわゆいかったよな????』
ヴァスタ:”最新の子孫”にウザイ絡みするなよ!
鉢頭摩:『え?“あの子はそういうのではないです”じゃと?
ええ~~い!知らぬ知らぬ~~!!さっさと夫婦になれ~~~~!!
お前の弟子を愛でさせろ~~~~~~!!!』
(鉢頭摩、”最新の子孫”に塩を撒かれる。)
鉢頭摩:『うぎゃー!なんじゃこれ!しょっぱっ!塩!何故塩を撒いてくるのじゃ!?』
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ヴァスタ:「最低だなアンタ。」
鉢頭摩:「かわゆいものは世界の宝でありワシの愛でるべき物じゃ。
あ!分かったのじゃ!
ワシ!”最新の子孫”の孫を見るまで死ねないのじゃ!!」
ヴァスタ:「いや!こういうのは自分の孫を見るまで、のヤツだろ!!
なんだよ”最新の子孫”の孫って!しかも子供じゃなくて孫だし!図々しいにも程があるだろ!」
鉢頭摩:「長寿の秘訣かの?」
ヴァスタ:「聞いてねぇよ!
俺神様だから!元から不老不死みたいなもんだから!」
鉢頭摩:「うるさいの~」
(鉢頭摩、エアで茶を飲む。)
鉢頭摩:「ズズー……」
ヴァスタ:「茶を飲むフリすんな!」
鉢頭摩:「しかし、”最新の子孫”の孫を見るまで死ねないのはマジのガチで思ってるのじゃ。」
ヴァスタ:「…………ほう。平安の世から現代まで“人間として”生き続ける理由か。
一体、どういう理由により妖怪じみた人間になったんだい。」
鉢頭摩:「それは……。」
ヴァスタ:「それは。」
鉢頭摩:「ワシの子供たちが可愛いからじゃ。」
ヴァスタ:「……はぁ?」
鉢頭摩:「ワシはワシの子らが可愛くて可愛くて仕方が無い。
故に、子々孫々と続く我が子たちをこの眼で見たいのじゃ!」
ヴァスタ:「はぁ?????」
鉢頭摩:「愛、じゃよ。」
ヴァスタ:「何故そこで愛ッ!!」
鉢頭摩:「若さと長寿の秘訣じゃ。」
ヴァスタ:「アンタのそれはもう執念だろ!」
鉢頭摩:「一緒じゃ!」
ヴァスタ:「てかアンタの”最新の子孫”、一切目を合わしてくれなかったじゃないか!
アンタ嫌われてるよ!!」
鉢頭摩:「む。そんな事があろうか。
あやつは、そう。ちょっとシャイなだけじゃ!」
ヴァスタ:「いや、最後の方、アンタ塩撒かれてたろ!嫌われてるだろ!」
鉢頭摩:「いやいや、塩とは神聖なモノじゃ!清めてくれただけじゃ!!」
ヴァスタ:「いやいやいや、清めてくれたってなんだよ!悪霊扱いされてんだろ!!」
鉢頭摩:「いやいやいやいや!」
ヴァスタ:「いやいやいやいや!」
鉢頭摩:「いやいやいやいやいや!」
ヴァスタ:「いやいやいやいやいや!」
鉢頭摩:「はぁ……はぁ……」
ヴァスタ:「はぁ……はぁ……」
鉢頭摩:「い……息切れしとる……
や……やっぱり、ワシ死んでないと思うんじゃが……。」
ヴァスタ:「頑な過ぎるだろ……。」
鉢頭摩:「ど……どの道……ワシは”最新の子孫”の嫁になる予定のかわゆい弟子ちゃんを愛でるまでは死ねん!」
ヴァスタ:「目的ズレてんじゃねぇか!!」
鉢頭摩:「故に!ワシ死んでないと思うんじゃが!!」
ヴァスタ:「うるせぇ!」
鉢頭摩:「お主が認めるまでこのソファにしがみつく!!」
(鉢頭摩、ソファにしがみつく。)
鉢頭摩:「ヨダレもつけとくのじゃ。べろべろべろべろ。」
ヴァスタ:「汚い!!
…………はあ。仕方無い。」
鉢頭摩:「お?やっと認める気になった──」
ヴァスタ:「アンタには消えてもらうしかないな。」
鉢頭摩:「……のじゃ……?」
ヴァスタ:「こういう油汚れみたいにしつこい死者には、実力行使も辞さない。」
鉢頭摩:「……えぇ?」
ヴァスタ:「あーあ、全く。事務所再開して最初のヤツがこれとか、本当についてない。
探偵っぽい事がしたかったなぁ。」
(ヴァスタ、立ち上がる。)
鉢頭摩:「……っひ!乱暴する気なのか!?こんな幼気で可愛いワシに、乱暴するのか?!?!」
ヴァスタ:「うるさいなぁ。」
鉢頭摩:「い……嫌じゃ!神の子など孕みとうない!!」
ヴァスタ:「そういう意味じゃねぇよッ!!!……ん?」
(ヴァスタ、動きを止める。)
鉢頭摩:「……なんじゃ?ワシの可愛さに魅了されたかの?」
ヴァスタ:「なわけないだろ!!
……アンタ、左手。」
鉢頭摩:「左手?……あ。」
(鉢頭摩の左手、透け始めている。)
鉢頭摩:「透けとる……。」
ヴァスタ:「……。」
鉢頭摩:「どうやら、時間のようじゃの……。」
ヴァスタ:「なんか良い感じの雰囲気出すんじゃねぇよ。」
鉢頭摩:「ワシの願い、現世に留めていた楔(くさび)。分かったのじゃ……。」
間。
鉢頭摩:「ワシってば……のじゃロリじゃし、
一度くらいは“い……嫌じゃ!人の子など孕みとうない!!”って言ってみたかったのじゃ。お主、神じゃけど。」
ヴァスタ:「下らない上に気持ち悪い!!」
鉢頭摩:「何はともあれ、お主ともお別れじゃ。
短い間じゃったが、本当に楽しかったのじゃ。」
ヴァスタ:「さっさと消えろ。しっしっ。」
鉢頭摩:「泣くな。出会いがあれば別れがあるのは必然じゃ……。
笑って送り出して欲しいのじゃ。」
ヴァスタ:「泣いてねぇよ。」
鉢頭摩:「はっはっは。お主もいけずな奴よの……あ……体の1割くらい消えたのじゃ……。」
ヴァスタ:「さっさと消えろよ!」
鉢頭摩:「お主の事は、一生忘れらないじゃろなぁ……」
ヴァスタ:「アンタ死んでんだよ!一生はもう終わってんだよ!!」
鉢頭摩:「ああ……そういえば……ほわんほわんほわ~ん……」
ヴァスタ:「回想入ろうとするな!!そもそも回想する程思い出とか無いだろッ!!!」
鉢頭摩:「───────────。」
(鉢頭摩、消える。)
ヴァスタ:「……やっと消えたか……。」
鉢頭摩:「────最後に、もう一つだけ……。」
ヴァスタ:「殺すぞ!!!!!」
鉢頭摩:「”最新の子孫”に……よろしく伝えて欲しいのじゃ……」
ヴァスタ:「分かったから!消えろ!!!」
鉢頭摩:「のじゃ……のじゃ……のじゃ…………」
(鉢頭摩、消える。)
ヴァスタ:「……。」
間。
ヴァスタ:「ふぅ~~~~~やっと消えた~~~~~
全く、一体何だったんだアレ……。」
間。
ヴァスタ:「……ま。久々に人と喋れて、退屈はしなかったけどね……。
“最新の子孫によろしく”……か。
本当に、愛してたんだろうな。明日になったら会いに行くか。”最新の子孫”とやらに。」
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~翌日~
鉢頭摩:「──と、いうワケで、轢かれた後、車の持ち主の懸命な処置によりワシは一命を取り留めたのじゃ。」
ヴァスタ:「…………。」
鉢頭摩:「やっぱり!ワシ!死んどらんかった!!」
ヴァスタ:「……で、そのアンタがなんで昨日の今日でここに居るんだよ。」
鉢頭摩:「……。」
ヴァスタ:「……。」
鉢頭摩:「ここ茶とか出んのか。」
ヴァスタ:「ここそういう所じゃないんで。」
鉢頭摩:「……。」
ヴァスタ:「……。」
鉢頭摩:「ワシ死んでないと思うんじゃが。」
ヴァスタ:「うるせぇよ!!!」
───────────────────────────────────────
END