[台本]はなびしょうじょ
○私
性別不問、年齢不問
私。
○しょうじょ
女性、少女
花火の様な紅髪の少女。
私 不問:
しょうじょ♀:
↓これより下が台本本編です。
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私:君は、花火の様な子だった。
(しょうじょ、私に笑いかけ、声をかける。)
しょうじょ:「おーい!」
私:「──っ」
しょうじょ:「はやくはやくー!」
私:「うん。」
(私、しょうじょに駆け寄る。)
しょうじょ:「あははは!」
(しょうじょ、私の手を引っ張る。)
私:「おぉっと、そんな強く引っ張らなくても。」
しょうじょ:「だって君に早く見て欲しいから!」
私:「……。」
しょうじょ:「はっはっはっは……!」
(しょうじょ、表情が更にぱあっと煌く。)
しょうじょ:「ほら!ついた!!」
私:「……おおー……!」
しょうじょ:「すごいでしょ!!?」
私:視界に広がったのは、先の無い崖と、見渡す限りの空と海の蒼。
大きくて白い入道雲が、海に藍色を落としていた。
私:「──これは──凄い……」
しょうじょ:「でしょー!!!」
私:弾ける様に破顔する紅(くれない)。
間。
私:昼間だというのに、綺麗な花火を見た。
◇
私:「ねえ。私以外には見せないの。」
しょうじょ:「……。」
私:少女は顔を曇らせる。
嗚呼。答えなんて分かりきっているのに、何故私はこんな事を聞くのだろう。
彼女の答えは決まって──
しょうじょ:「……君以外の人は、こわいから。」
私:「……。」
私:嗚呼──
私:「そっか……。」
しょうじょ:「ごめんね。」
私:「ううん。」
間。(私としょうじょ、その場に座り、景色を眺める。)
私:「……。」
しょうじょ:「……。」
私:「ねえ。」
しょうじょ:「んー?」
私:「君はこの景色、好き?」
しょうじょう:「うん!大好きだよ!」
私:「じゃあ。この景色を見て、君はどんな感想が出る?」
しょうじょ:「え?」
間。
しょうじょ:「すてき。あおい。きれい。おおきい。すごい。すずしい。」
私:「おお、沢山出たね。」
しょうじょ:「ふふん!」
私:「でも、私は、綺麗。凄い。素敵。」
間。
私:「それくらいかな。」
しょうじょ:「どれも私が言ったのだね?」
私:「ふふふ、そうだね。」
間。
私:「好きな人や……好きなものの事って、もっと色んな事知ってみたいって思わない?」
しょうじょ:「思う!すごく思う!」
私:「そうだよね。
きっと、この景色にも色んな一面が、色んな感想があると思うんだ。」
しょうじょ:「……。」
私:「私では、語彙が無くてさっきのくらいしか出せない。」
間。
私:「でも、他の人なら。もしかしたら、この景色の他の一面を見つけてくれるかもしれないよ。」
しょうじょ:「……。」
間。
しょうじょ:「こわいものはこわいよ。」
私:「……じゃあ、なんで私は怖くないの。」
しょうじょ:「君は、だって──」
(しょうじょ、自分の紅い髪を触る。)
しょうじょ:「私の髪の事、怖がったり、馬鹿にしたりしないでくれたから。」(はにかむ様に笑う。)
私:「……本当に、綺麗で、凄く素敵な紅い髪なんだもの。」
しょうじょ:「えへへ……ありがとう……」
私:「……。」
しょうじょ:「……。」
私:「きっと大丈夫だよ。」
しょうじょ:「……。」
私:「私と君、同じような感想が出たんだ。
きっと、私と同じように思ってくれる人は、必ずいるよ。」
しょうじょ:「……。」
私:「……。」
間。
私:少女は再び、顔を曇らせる。
嗚呼。また駄目だったみたいだ。
間。(私の口元が歪む。)
私:やはり、彼女の答えは決まって──
しょうじょ:「わかった。私、頑張ってみる!」
私:「え?」
間。
私:「……何を?」
しょうじょ:「私、君以外の人とお話してみる!
それで、こわくないって思える人に会えたら、ここに連れてくるの!」
私:「──っ。」
しょうじょ:「私、この景色の事、もっと知りたいの。知りたくなったの。
君のおかげで、勇気出た!」
(しょうじょ、私の方を向き、大空に背を向け笑う。)
しょうじょ:「ありがと!」
私:「…………………………ううん。」
しょうじょ:「あはははっ!」
私:弾ける様に破顔する紅(くれない)。
私は…………これが見たかったんだ。
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しょうじょ:「──あの大きい雲を“強い”って表現してる人も居たの!!」
私:「確かに、分かる気がする。」
しょうじょ:「でしょでしょっ!」
私:「……。」
私:あれから数日。ここは君と私だけの世界では無くなった。
しょうじょ:「……ああ……風が気持いい……」
私:君はいままで見せたことの無い、沢山の表情を見せる。
間違い無く、私が望んだモノだ。
しょうじょ:「あ!そういえば今日は花火大会なんだって!」
私:「そうだね。
今年は去年とは違って晴天で夜も晴れると思うから、きっと綺麗な花火が見れるよ。」
しょうじょ:「そうだね!うふふふ!とっても素敵!!」
私:「ねえ。今年は家の中からじゃなくてさ。一緒に──」
しょうじょ:「皆と花火大会に行くって約束したんだ!!」
私:「────」
しょうじょ:「だから、君も一緒に行こ!!」
(しょうじょ、私に手を伸ばす。)
間。
私:「私、今日ちょっと用事があっていけないんだ。」
しょうじょ:「…………そうなの……?」
私:「うん。」
間。
私:「ごめんね。」
間。
私:「だから、私の分も楽しんで。」
間。
しょうじょ:「うん。ありがとう。」(優しく微笑む。)
間。
私:「じゃあ。またね。」
しょうじょ:「えっ」
間。(私、去る。)
しょうじょ:「うん……。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
私:ジリジリジリジリ。
しょうじょ:どん。
私:ひゅ~~~~~~~~~~~…………
間。
しょうじょ:ばーん!!!
私:赤、青、黄。
色んな火薬が空で弾け、綺麗な大輪を燦(きら)めかせる。
しょうじょ:「わ~~~!!!……綺麗~~~~……!!!」
私:君の紅(くれない)も、風に揺られて、綺麗に煌く。
しょうじょ:「あははは……!!」
私:私が見た事の無い表情。
間。
私:私の前では見せてくれなかった表情。
間。
私:…………ぱらぱらぱらぱら……
しょうじょ:「──あ……終わっちゃった……。」
間。
しょうじょ:「うん!そうだね!凄く綺麗だった!!
誘ってくれてありがとう!!!」
私:夜空の藍の中でも明るく輝く君は、やはり素敵だ。
しょうじょ:「あはははっ!!」
私:弾ける様に破顔する紅(くれない)。
私は…………………………これが見たかったんだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
私:「………………。」
私:視界に広がる先の無い崖と、見渡す限りの空と海の蒼。
大きくて白い入道雲が、海に藍色を落としていた。
私:「…………。」
私:けれど、風に靡(なび)く紅い髪も、楽しそうにきらきら笑う声も無い。
私:「……。」
私:肌にベタつく潮風とジリジリと焼く暑さが、この場を去れと急かす。
私:「──」
(私、去る。)
間。
しょうじょ:「はっはっはっはっ……!」
(しょうじょ、私が居た場所に辿り着く。)
しょうじょ:「……。」
間。
しょうじょ:「……今日も、会えなかった……。」
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私:ジリジリジリジリ。
私:「…………。」
しょうじょ:「あ!」
私:「っ!」
しょうじょ:「やっと会えた!」
私:「……なんだか、久しぶりだね。」
しょうじょ:「本当だよ!最近何してたの?」
私:「ちょっと忙しくてね。ごめんね。」
しょうじょ:「ううん。私も、中々ここに来れなかったから。
こっちこそごめんね。」
私:「……ふふ。」
しょうじょ:「あはは!」
私:視界に広がる先の無い崖と、見渡す限りの空と海の蒼。
大きくて白い入道雲が、海に藍色を落としていた。
間。
私:そして、弾ける様に破顔する紅(くれない)。
私:「──嗚呼、綺麗だ。」
しょうじょ:「?」
(しょうじょ、私の目線の先を追うように後ろを振り向く。)
しょうじょ:「────!!
本当だ……!すっごい大きい入道雲!!!」
私:「……。」
しょうじょ:「空の水色と合わさって、とても綺麗だねー!!!」
私:「────ッ!!」
しょうじょ:「すごい!すごーい!」
私:輝く様に破顔する紅(くれない)。
私は、これが見たかったんだ。
間。
私:「ふふ、そうだね。本当に、素敵で凄く綺麗だ。」
しょうじょ:「ねー!」
(しょうじょ、崖手前まで足を進める。)
しょうじょ:「皆にも見せたいな~」
私:「──────」
私:どん。
しょうじょ:「──えっ」
私:「え──」
しょうじょ:ひゅ~~~~~~~~~~~…………
私:「え、えっ」
間。
しょうじょ:ばーん。
間。
私:「え……え、あ……あ……っ」
しょうじょ:ばらばらばらばら。
私:弾ける様に大輪を咲かす紅(くれない)。
間。
私:昼間だというのに、綺麗な花火を見た。
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END