次世代の北海道特急の開発のため新機軸を満載して登場したものの、方針転換によりたった1度の本線走行のみで廃車となった悲劇の試験車キハ285系です。
きつく絞り込まれた車体断面、極限まで低く抑えられた重心、高運転台構造を引き継ぎつつも曲面で構成された独特の先頭部と模型的にも面白い車両です。
振り子式プラレールの試験をするには最適な車両だとしてこの車両の製作を決めました。幸いプラレールでは振り子式試験車の使命を全うし、技術は後の車両に生かされています。運転会では車両基地の奥に押し込まれて解体されかけていることが多いですが(笑)。
肝心の振り子式プラレールの構造については別のページ(準備中)で述べるとして、ここでは主に車体の製作について紹介したいと思います。
実車の構造は謎に包まれています。床下機器や配管など分からない部分がたくさんあるので適当に作っています。
振り子式プラレールはこれよりも前にえちごやさんが実用化していたのですが、自分なりの方法を開発したいと思い製作を決めました。
曲面で構成されている先頭部も含めてプラ板からのフルスクラッチです。曲面をプラ板から作るという意味でも試験的な試みでした。
車高の低い車体に振り子式機構を追加する関係で動力車も自作する必要がありました。このころから本格的に動力車の自作に挑戦し始めます。
先頭車が動力車でしたが、電池が収まりきらなかったので、電池は後尾車に積むという特殊な構成です。
自分の振り子式プラレールのアイデアを形にしてみることは大きな意味がありました。この作品の完成から6年以上経っても振り子式プラレールは研究中ですが、この作品の成果は生きています。
本当にこの機構で振り子式プラレールが実現できるのか試験しながら製作しました。車体と台車を同時進行で作る必要があります。
振り子機構の一部。振り子を確実に作動させるためには実車同様、低重心にする必要があり、裏の梁を削って軽量化しています。
キハ183系との比較。いかに重心が低いか分かります。
運転台も骨組みを作り、プラ板を貼り付けて作っていきます。キハ285系に見えるようになるか不安でした。
細かなモールド(おそらく警笛のカバー?)も再現します。曲面上にモールドを作る技術を試すことが出来ました。
前面に細い萌黄色のラインがあり地味に塗装がめんどくさいです。
落成後の試運転。一応振り子しますが、肝心の先頭車の傾きが弱いです。このような課題を見つけることが製作の目的でした。ヘッドマークは実車の無念を晴らす「スーパー北斗」です。
2018年10月のプラレールひろばinさっぽろでのスーパー特急並び。こんな世界線が見たかったですね。キハ287系やキハ263系はどんな車両になるのでしょう。
起工:2017年4月頃
竣工:2017年5月
現状:静態保存(2023年12月現在)