仲間がいるからこそできる顧問拒否
神奈川県の部活動問題を考える会(KAPE)
代表 飯田 深雪
私が自身の働き方を考えるきっかけになる出来事が、これまでいくつかありました。産育休等により勤務時間というものを意識せざるを得なくなったことや、部活動がほとんど行われていない学校から活発な学校に転勤したことなど。中でも一番大きかったのは、コロナ禍による部活動の完全停止でした。
あのころ「学びを止めない」をキーワードに、学業の維持が試みられました。しかし部活動は原則停止のまま。その時に気付いたのです。部活動は学校に必要不可欠なものではないのだ、と。そんな中で行われていた #教師のバトン プロジェクト、皮肉にも私はそのおかげで仲間を見つけることができました。
同じような思いを抱いている仲間が全国にいて、中には顧問拒否をしている方もいる、その事実がどれだけ私を勇気づけてくれたか分かりません。そんな先生方と実際にお会いしてお話する機会をいただき、私のもやもやした思いは確固たるものとなりました。
1人ではここまで強い決心はできませんでした。仲間がいる、応援してくれる、相談にのってくれる…次は私も、他の人にために役に立ちたい。その思いからPEACHに加入し、色々と教わりながら、組合登録に至りました。
私自身もまだまだ勉強中ですが、ここにはたくさんの仲間がいます。部活動に振り回され、教師としての自分の働き方にお悩みの先生がいれば、PEACHに相談してみませんか。仲間入りをお待ちしています!
部活動を断れたのは組合のおかげ
愛知部活動問題レジスタンス(IRIS)
代表 加藤 豊裕
部活動に奪われた10年間は戻ってこない。しかし、部活動に苦しむ人をなくすことで、自分自身の犠牲を世の中のために役立てたい。それが部活動問題に関わるようになったきっかけです。
私自身は、IRIS流顧問拒否交渉術で紹介した方法で顧問を断りました。ただ、個人として管理職と対峙したわけではありません。地域で昔から活動している「闘う教職員組合」に所属していましたので、その「看板」のおかげで断れたのだと思います。
部活動問題を専門に扱う教職員組合は当時まだ存在していませんでした。そこでIRIS(愛知部活動問題レジスタンス)を立ち上げることにしました。組合の登録手続きは、この記事で書いたようにとても簡単でした。その後、こうした動きを全国に広げたいと思い、同じ思いを抱く方々とともにPEACHを結成しました。
今は、部活動によって苦しめられている全国の先生方の相談に乗っています。皆さんに申し上げたいのは、一人で苦しまず、また、自分だけで何とかしようとせず、IRISやPEACHなど、部活動の苦しみから皆さんを救うための組織に一日も早く頼ってくださいということです。苦しみから早く解き放たれて、私生活や教員人生を充実させることに時間を使っていただきたいと思います。
長時間労働の再生産を食い止めたい
IRIS茨城
事務局長 神谷 侑樹
「勤務時間などお構いなしに活動している運動部の顧問にさせられた。しかも残業代は出ていない。どう考えてもおかしいのではないか?」
教員になりたての友人から以上のような話を聞いた私は、「おかしい」と即答しました。大学院生だった頃、とあるNPOで労働相談に携わっていた私は、ブラック企業の最大の特徴が「勤務時間を意識させないように労働者をコントロールすること」であると経験的に理解していたからです。調べていくと、日本の教員は制度的にも文化的にも、勤務時間を意識しない働き方を強いられていることがわかってきました。国を挙げての「働き方改革」によって若干の改善が図られたかもしれませんが、依然として残業時間の平均値が「過労死ライン」を超えているという調査結果を踏まえると、学校は未だにブラックであると言わざるを得ません。
日本における長時間労働は、過労死という悲劇を生み出すだけでなく、労働生産性の低下、医療費の増大、少子化の進行とも深く関わる社会問題として長らく注目を集めてきました。昨今は、ようやく長時間労働の是正へと社会全体が舵を切り始めているにもかかわらず、学校教員がブラックな働き方のままでは、これからの時代を担う子どもたちに良いお手本を示すことができません。先生方がご自身の働き方を見つめ直し、「顧問拒否」等の実践を広げていくことは、部活動の地域移行を推し進めることに留まらない社会的・文化的意義があるように思います。
私は2017年に茨城部活動問題対策委員会(BMTI)という市民団体を立ち上げ、仲間と共に戦略を練りながら様々なアクションを行い、一定の成果を勝ち取ることができました。現在は、IRIS茨城の事務局長を務めています。長時間労働の再生産を食い止めるために、闘う先生方を全力でサポートして参ります。
組合パワーで顧問拒否&働きやすい職場づくり
福岡部活動問題レジスタンス(PLUM)
代表 北畑 裕也
私は新卒で教員として働き始めたのですが、2年目に部活動の主顧問からのパワーハラスメントが原因で教員を辞めました。この時の経験が現在部活動問題に向かう原動力になっています。
数年後福岡の教員採用に合格したため、以前と同じ轍を踏むまいと部活動顧問の拒否を心に決め情報を集めました。その中でIRISを知り、加藤さんと連絡を取っていく内に個人で戦うより、仲間を集めて戦うほうがいいことを知り、副代表と共にPLUMを立ち上げました。
福岡の中学校に赴任後、私は1年目に文化部顧問を持ち、2年目に顧問拒否をしました。顧問拒否の方法は校長に直談判。校長は私が組合の代表ということを知っていたため、来年度から部活動顧問を持たないと伝えるだけで話し合いは終わり、顧問拒否に成功しました。組合の看板の力は大きいなと感じました。
県や市・管理職との正式な交渉は組合に入っていないとできません。ぜひ組合を作ったり、組合に所属し、当局と交渉してより働きやすい職場を作りませんか?あなたの参加をお待ちしています。
自分自身、そして子どもたちのための部活動改革
オール静岡対部活動問題ユニオン
代表 鴨 剛太朗
令和5年12月に浜松市に、令和6年3月に静岡県に、そして令和6年10月には静岡市に「対部活動問題ユニオン」を立ち上げ、これらを統合して「オール静岡対部活動問題ユニオン」として静岡県全体をカバーする組合団体を設立しました。
私自身、これまで部活動の影響で多くの困難な状況に直面してきました。私立中学・高校教員時代には、部活動による生徒募集に貢献できなかったためにボーナスが3割カットされました。公立中学教員に転職した当初、長女が産まれたばかりでしたが、野球部を途中から担当することになり、全く休みが取れず育児に十分に関われませんでした。また、次に担当したソフトテニス部では保護者からの理不尽なクレームを連日受け、精神的に辛い日々を過ごしました。
部活動の存在に悩んでいたとき、全国の同じ悩みを抱える教員と繋がり、部活動が非常に理不尽なものであることに気づきました。平日は無給で働くのが当然となり、休日も低い手当で働かされます。また、教科指導がしたくて教員になったのに、部活動顧問として多くの時間が奪われてしまいます。生徒側に立ってみれば、ほぼ部活動でしか表彰されないことや推薦制度の問題、そして「テスト期間」といった部活動停止期間が必要になるほどに学業が圧迫されるなど多くの問題があります。
不況にあえぐ現代の子どもたちに必要なのは、部活動によって培われる忍耐力や忠誠心ではなく、確かな学力と広い視野です。私自身、保護者として学校には教科指導を徹底して行ってほしいし、そのために教員は学ぶ時間をしっかり確保するべきです。部活動改革をさらに推し進め、みなさん自身と子どもたちのために、私たちが本業に専念できる環境を作っていきましょう!
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