はじめに
私は法学部に入ったからには法律資格を取得したいと考え、人の節目に立ち会うことができ人の暮らしを守ることができる司法書士に魅力を感じ目指すことに決めました。2年で合格を目指す「日本大学法学部司法書士講座(課外講座)」を受講し学生研究室を利用しながら目標としていた令和2年度の試験に大学3年在学で合格することができました。
私のとった勉強方法
最初の1年半ほどは「司法書士講座」を受講しテキストの読み込みを行いました。私は法律の勉強自体が初めてでしたが丁寧な指導で基礎を固めることができました。また、講義の合間に講師の先生から実務での経験を聞き司法書士への思いが強まりました。講座は初めから日程が決まっているためペースメーカーのような役割を果たし独学と比べ無理なく勉強を続けることができるという利点もあります。「司法書士講座」が終了してからは辰已法律研究所の「記述パワーアップ答練」と「司法書士オープン」を受講しました。「記述パワーアップ答練」は不動産登記と商業登記の記述式問題と関連する知識を択一式の問題として解くものです。私は記述式の問題に慣れるために用いました。「司法書士オープン」は本番と同じ試験時間で同じ量の問題を解くものです。主にペース配分を確かめることに用いました。試験1か月前には模試を受け受験生全体の中での自分の位置を確かめました。司法書士試験の基準点、合格点は受験生の得点を基に定められるため平均的な受験生が解ける問題を知ることは重要です。答練以外の時間は過去問をひたすらに解きました。
択一対策
司法書士試験には民法、会社法、不動産登記法、商業登記法の主要科目とそれ以外のマイナー科目があります。マイナー科目は出題数が少ない割にしっかり勉強すると難しいため、過去に問われた部分を中心にして細かい部分までやりすぎないように意識して勉強しました。民法は債権法と相続法の改正が試験範囲となる最初の年だったので条文からそのまま出題されることが予想されたので主に条文を読み込む勉強をしました。不動産登記法は最初はとっつきにくい科目ですが、1度理解すると比較的安定して取れる科目だと思います。記述と合わせて勉強すると理解しやすいです。商業登記法は会社法が理解できていればほとんど解くことができる科目です。そのため会社法については過去問に加え条文を丁寧に確認することが重要になります。また、似たような規定が多いため論点を比較できるよう整理してあるテキストを用いると勉強しやすいと思います。
記述対策
記述式は択一を解くための知識に加え注意力が必要となります。勉強方法としてはまず基本的な書式を覚えることから始めます。書式の完成度が非常に重要です。司法書士試験は時間配分が難しい試験であるため書式がすぐに思い出せないと問題を考える時間が無くなります。特に、商業登記は書く量が多いため余計なことに時間をかけるのはもったいないです。試験までには考えないでも書けるぐらいまで確実なものとする必要があります。毎日繰り返し書くことが重要です。書式を覚えたら問題演習を行います。身に着けた知識を基に問題文から必要となる部分を抜き出していくのですが、その際注意することは問題文に表れていない情報を見抜くことです。その作業に慣れるまでは時間がかかると思います。問題演習も毎日やることが重要です。やる内容としては難しい問題を解く必要はありません。私は、市販の問題集と過去問を毎日不動産登記と商業登記で2問ずつ解きました。
不動産登記で一番気を付けなければならないのは必要な申請を忘れないことです。例えば、不動産の売買による所有権移転の登記で売主の住所が変わっていた場合には前提として住所変更登記が必要となります。この申請を忘れると試験上は1つずつ書く欄がずれ以降の申請が正しくとも採点されなくなります。
商業登記で1番気を付ける点は役員の任期だと思います。会社法で最初の方に学ぶ基本的な部分ですが、条文の文言で正確に覚えていないと間違えてしまいます。役員の任期にさえ気を付ければ覚えた書式で十分に対処できるはずです。
大学の講義
私は大学に通いながら受験勉強をしました。試験科目*注1となっている講義をとることをお勧めします。専門に研究している教員から指導を受けることでその科目への理解が深まり、忘れることの無い実力が身につくと思います。仮に忘れても問題を解く過程で思い出しやすくなります。特に憲法と刑法は講義で扱う内容の方が試験で出題されるよりも細かいので得点源にできます。
試験当日
午前は時間が十分にあるため余計なミスをしないことだけを考え選択肢の1つ1つを念入りに読み込んで解きました。解くペースとしては答練や模試と同じぐらい、民法で苦手な保証債務が出てきたときは少し焦りましたが落ち着いて解くことができました。余裕をもって解き終わり基準点は問題なさそうだと感じました。
午後は記述式で時間を使いたいので解くのに必要な選択肢だけ読んでいきました。私は択一では不動産登記法が1番苦手であったため緊張していましたが、今年は問題の形式、内容ともに簡単であったため予定より早く択一を終えることができました。ただ、不動産登記の記述式で明らかに申請件数が少なく不安なまま終えることになりました。商業登記は基本的な問題で安心して解くことができました。
最後に
自己採点をした段階で択一については合格が狙えるぐらい得点できましたが、不動産登記記述で申請が1件足りず合格発表まで不安な気持ちでいました。結果としてはかなり余裕をもって合格することができました。択一でしっかりと得点できれば、記述は受験生が誰でもわかる基本部分さえ落とさなければ十分合格が目指せます。最後まで諦めないで基本に忠実にやることが重要です。大学には図書館で自習ができるほか学生研究室でも教材や自習室の利用ができ受験勉強を行う環境が整っています。科目数が多く試験時間も短く難しい試験ですが、強い気持ちで努力すれば結果はついてきます。皆さんが合格できることを祈っています。