Ⅰ はじめに
私が司法書士を目指すことにしたきっかけとしては、法学部に入ったからには、なにか資格を取得したいという思いからです。私は、高校まで野球をしていて、勉強をするという習慣が身についていませんでした。どの資格を取得するかを調べていくうちに、司法書士を知りました。資格試験の中で司法書士試験は、試験方式が筆記試験でほぼ合否が決まるというほかのものと比べても単純なものだと知り、これなら自分でも頑張れそうだと思ったからです。司法書士の魅力としては、取得後の人生の選択の幅が大きく広がるということです。独立して開業することができるのは、資格の中でも多くはないので大きな魅力でした。また、今後の高齢社会のなかで司法書士が輝ける場面は多く存在するのではないかと思ったからです。後見業務や信託等の新しい分野は、これからの社会に密着していると思いました。大学1年生の時から2年後の2020年での合格を目標にして、勉強を始めていきました。2019年の司法書士試験を受験し択一の基準点落ち、2020年の試験で合格できました。
Ⅱ 私の勉強方法
①択一対策 目標:午前30/35問 午後30/35問
1年目は基礎講座を中心にインプットをし、アウトプットには過去問を使いました。2年目のインプットでは、テキストを中心にしました。過去問をやり込むことは短期合格のために必須だと思います。ですが、過去問の知識だけでの合格は難しいと先輩方から話を聞いていましたし、実際、一年目に受けた試験ではなかなか思ったような点数は取れませんでした。過去問と全く同じ問題が出るということは少ないため、テキストを繰り返しての、知識の定着が有効だと考えました。アウトプットでは、辰巳の司法書士オープン総合編(8回一括)で、自分の苦手なところ、どのような問題でミスをするのかを把握して、普段の勉強に生かすようにしていました。在学中に合格をするためには、あまり手を広げてしまうことは避けなければならないと思っています。なので、答練の使い方には深く追いかけて勉強をしすぎないように注意が必要です。日本大学では、司法書士科研究室で日本大学法学部司法書士講座(課外講座)に対応したゼミが開かれています。そのため、ゼミでアウトプットや、つまずいたところをゼミの講師に質問することで効率的に勉強を進めていけました。
②記述対策 目標:40/70点
最初にする記述対策としては雛形を覚えていくことだと思いますが、これをしっかりやることが重要です。記述式問題は、司法書士試験の合格に必要な知識の応用問題なので、記述式問題の点数アップを図るために、基礎知識をしっかり固めることに、私は注力しました。記述式問題では解法を身に着けることが私は必要だと思います。はじめてやる問題にもしっかり対応でき、大きく減点しないことが解法を使うメリットです。解法には、様々な各予備校の講師のものがありますが、自分が使い易そうだと思ったものを選べばいいと思います。使う解法は、ひとつで、なるべく解法を変えないことが重要です。そして、その解法を使って問題を解くことを繰り返します。司法書士科研究室のゼミでは、解法を学ぶことができるので活用することをおすすめします。記述式問題は、不動産登記法、商業登記法の2問ですが、時間との勝負になります。私は、午後の択一で1時間程度、記述を残りの時間でやるという配分でした。模試や答練は新作の問題を解くことや客観的な視点で採点してもらえる場なので、こういう機会はなるべくとったほうがいいと思います。辰巳の記述パワーアップ答練では、試験でよく聞かれる論点を網羅しており難易度としては、試験よりも少し難しいレベルなのでこのレベルに慣れていたため本番は少し余裕をもって臨むことができました。
Ⅲ 在学中の合格のために
司法書士試験を大学在学中に合格するために重要だったと思うことを何点か書いていこうと思います。まずは、明確に在学中に合格するという目標を持つことです。また、自分がどのように合格するかのビジョンをできるだけ明確に持つということです。私は、択一午前30問、午後30問で記述は基準点あたりをとって逃げ切って400位以内で合格すると言う戦略を立てていました。模試でも、常にこの点数を取れるように訓練しました。人は、目標がなければ効果的な行動はできないと思っています。最終的なゴールを合格として、そのためにはどうしなければならないのか細かく設定し、そのために努力することで常に最適な行動をとることができます。大学生は、周りに楽しそうな事があふれているため、誘惑され、やらなければならないことがおろそかになってしまいます。そのため、絶対に在学中に合格すると決めて行動する必要があると思います。大学生が司法書士を目指すことは、他の受験生と比べて自由に使える時間が多いという点で有利な環境にあると思います。それを生かして、毎日ちょっとでも試験の勉強をすることができれば、結果は良い方向に向かうと思います。一日一日の積み重ねが重要です。
勉強の範囲については、前述しましたが、合格に必要な範囲に絞ってその知識を正確なものとすることが重要です。試験で武器となるのは、多くのあいまいな知識よりも一つの正確な知識です。また、なぜそのような規定となっているのかを理解しておくことは、知らない問題に出会ったときに応用が利くため意識して勉強することが重要です。あまり大きな声で言えませんが、合格できればいいのでわかっていなくても問題の正解を導けるという能力の方が在学中の合格には必要だと思います。合格をしてからゆっくりと法律の専門家として勉強をしていけばいいと思います。大学の在学中に合格するためには、はっきり言ってつらいこともあります。それを乗り越えて、合格できたときの達成感は他に変えることができません。高ければ高い壁のほうが上ったとき気持ちがいいものです。是非、頑張ってみてください。
Ⅳ 試験当日
試験の前日からの私の状況を書かせていただきます。前日は、先輩方から以前から緊張するぞと言われていましたが、わかっていても緊張というものはするもので、勉強していても何も頭に入ってこない状態に陥りました。それでも、やらないとやばいという焦燥感から17時までと決めておいた勉強時間をズルズルと延長していき21時までやってしまいました。結局、満足できることはなく勉強を終えたのですが、最後はこれまでやってきたことが全てだと自分に言い聞かせて寝ました。試験当日は、1時間前に到着するように家を出ました。会場に着くと既に多くの方が受付の手続きのために列を作って並んでいました。試験の緊張感がその場所にはありました。試験会場は、場所にもよるのだと思うのですが、私のところは一人で大きな机を使うことができたので良い環境でした。試験開始までの時間はとても長く感じました。試験開始の合図が出て問題を解き始めるとようやく緊張が解け始めました。午前中は、1時間20分くらいで解き終わり見直しまですることができたので普段通りの力は出せたのだと思いました。午後は、時間がとにかく余裕がありませんので自分の中でとても不安がありました。問題が試験官から配られた時に、記述式の解答用紙の形式がこれまでみたことのないものだったので、ここで不安が一気に高まりました。焦って午後の択一は45分で解き、記述に移りましたが不動産登記法が問題の形式も少し変わっていて1時間10分程かかりました。記述の解き方は、解法の手順で、絶対に変えないということはやってきたことだったのでそこは意識して解いていきました。商業登記の記述が終わって試験終了まで15分あったので見直しを急いでしました。試験は全力を出し切って終えることができました。
Ⅴ 最後に
司法書士試験の合格を目指されている方へ私から、司法書士になりたいと思う気持ちを忘れずに強く持つことの重要性をお伝えさせていただきます。
司法書士試験の合格のための勉強は、自分の思っているように成績がのびないと苦しいものになってしまいますが、その時に一番心の支えになるのは、司法書士になりたいと思う強い気持ちです。私は、コロナの影響で試験が延期して勉強期間が延びた時、はっきり言って、きついなと思いました。7月の試験に合わせて勉強を追い込んできたため、まだこの大変な勉強を続けなければならないのかと思ってしまいました。しかし、この時に、自分を奮い立たせたのは司法書士になりたいと思う気持ちでした。司法書士には、かっこいい事をしている人が多いです。多くの情報が様々なところにありますので、司法書士の人の情報をかき集めてみるのもいいかもしれません。とても良い刺激になると思います。
少しでもみなさんの司法書士試験の合格のために、この合格体験記が役に立てば良いなと思います。ありがとうございました。