はじめに
高校生の頃からこの司法書士という職業には興味があり、日本大学法学部への進学をきっかけに大学在学中の合格を目標に受験勉強を開始しました。入学を機に司法書士科研究室に入室し、日本大学法学部司法書士講座(課外講座)を受講していましたが、1、2年生の頃は大学の授業やサークル活動に力を注いでしまい、まともに受験勉強していませんでした。そのため2年生の頃に記念で受けた本試験では、合格点どころか基準点すらも全く取れない点数でした。流石に焦りを覚え、2年生の後期から本格的に勉強するようになりました。ある程度力をつけた3年生の頃に受けた本試験では、ケアレスミスもあって午後の択一の足切りにかかってしまい記述も採点されませんでした。そこでようやく合格率3、4%の重みを知ることになりました。このまま続けても本当に合格できるのだろうかと不安になったり、大学の友人は就活へ向けて準備をしているのに俺は一体何をしているんだろうと考えたりして一度は試験を諦めようかと考えた時期もありました。しかし、どうせ辞めるなら自分が納得するくらい勉強してそれでもダメだったなら諦めようと決め、もう一年本気で頑張ることを決意しました。そして友人達は続々と将来が決まっていく中自分だけが決まっていない焦りの中令和3年度司法書士試験を向かえ、大学4年生である今年合格することができ、大学在学中の合格という目標を無事達成することができました。
私の勉強方法
私は勉強するにあたって“予定表“と“やることリスト“なるものを使って勉強に取り組んでいました。大学在学中の合格を目指す以上、自分の生活の中で、一体どの程度勉強に割く時間があるのか把握する必要があったし、限られた時間の中で効率よく取り組む上で必ず役に立つと思ったからです。
まず予定表ですが、具体的には過去問や参考書をその日何ページやるのか、何時間やるのかまで事細かく計画し、それを一週間ごとに作成する方法をとっていました。予定表を作成している方は多くいると思いますし、個人的にも必要不可欠なものだと思っています。作成するのに大体30分程度の時間を要しますが、それでも予定表を作る価値はあります。毎日机に向かう度に「今日は何しよう」と考えて、その日その日の気分で闇雲に勉強するよりも、あらかじめ計画を立てておけばその日のノルマや、勉強の目標が明確になるため、効率的にもいいし、モチベーションのアップにも繋がります。ただ予定表を作る上で1番気をつけなければいけないことは自分が達成することができる勉強計画を練ると言うことです。私は2年目からこの予定表を作成しました。1年目の時にただその日やりたい科目を闇雲に勉強していて計画性が全くなかったからです。何よりこの予定表を作成してからは成績がかなり上がりました。
次にやることリストとは、辰已の司法書士オープンや全国公開模試などを通して自分の勉強が足りない分野や自分に必要な横断整理を記録して弱点を洗い出していくものです。その洗い出した自分に足りない論点を予定表に反映させていくという方法をとっていました。
(択一編)
私の択一式の学習の基本は「参考書の周回」です。参考書は辰巳法律研究所の「リアリスティックシリーズ*注1」をメインに勉強していました。勉強開始から合格まで参考書を繰り返し読み込むことに重点を置き、参考書に書かれていることは聞かれたらなんでも答えられるくらいにはしました。ただ読むだけではなく読むべきところと読まなくていいところを区別したり、自分の中で各分野ごとに優先順位をつけたりと色々考えながら読み進めました。直前期は主要科目は20周くらい参考書を周回していました。また当然過去問も解きますが、参考書に載っていない過去問が出たらその論点を参考書の方に書き足したり司法書士オープンや模試で出た知らない論点書き足していました。そうして自分のオリジナル参考書を作り上げました。また過去問を解く際は時間を計って解いていました。なぜなら特に午後の試験において択一をいかに早く解くかが鍵になってくるため常日頃から早く解く訓練をしておく必要があるからです。1問(5つの問題)に対して1分を目安に解きそれを60問で1セットを繰り返し行っていました。また択一を勉強する際は、1日に何科目も勉強するようなことはせず、基本は一科目多くても2科目を目安で勉強していました。
また、日本大学法学部では司法書士科研究室に所属しており、毎週行われるゼミで自分が解けなかった問題や、難しいと感じた論点などがあれば積極的に質問していました。
(記述編)
私は記述を解くにあたって最も重要なことは自分の中で解く順番や確認すべき事項すなわち解法をあらかじめ持っておくことだと思っています。どれだけ簡単な問題であっても、どれだけ難しい問題であっても絶対に解法を変えないというのを徹底してやっていました。例えば①依頼→②問い→③注意事項→④登記記録の順番を必ず守り、最後は必ず混同、名変の確認を行うなどしていました。明らかに混同がないとわかっている問題でも最後に混同を確認するという“習慣“を身につけました。そうすることで本試験でどんな問題が出てもいつもの解法で冷静に解くことができるし、見落としを防げるからです。この特訓があったからこそ実際の本試験でも枠ずれなく合格点を取ることができました。また具体的な目標としては、得意な不動産登記法を常時30点を超えれるよう目標を定めて取り組んでいました。記述を解く頻度としては週一回必ず解くようにしそれを2年間やってきました。最初は申請件数が全然合わなかったり、的外れな登記を書いてしまったりと10点にも満たないような回答を連発していましたが、次第に申請の流れを理解していき「この論点が来たってことは次この論点来るかもな」とか、「登記記録にこれがあるってことはこの人に相続が発生するかもな」と簡単な論点であればある程度予想できるようになりました。直前期では辰已の全国公開模試や過去問や司法書士オープン、記述パワーアップ答練の問題を解いても大枠を外すことはなくなりました。
試験当日
いつも通りに解くことを意識しました。試験本番になって焦っていつもと違うペース配分で解いたり、不安になって全肢検討することがないよう決めて試験に臨みました。また試験中は、自分は天才だと思って問題を解きました。例えわからない問題があっても自分がわからないなら他の受験生も解けないだろうくらいの気持ちで割り切ってやりました。
ただ午前の問題は全く手応えがなく、何問正解しているか全然検討もつきませんでした。午前の部を終え、正直合格は無理かもしれないと落ちこんでいました。ただここで諦めるわけにもいかず、午後で挽回しようと気を持ち直しました。
午後は択一が例年よりも難しく感じましたが、いつも通り落ち着いて解くことができ50分もかからないくらいで終わることができ残りの時間を記述に当てることができました。ただ、不動産登記法の記述の登記不要が3件発生して、絶対にどこか見落としてしまったと思い何回も見直しをしてしまいました。その時私は『絶対に自分を信じるな』と言い聞かせてしまい大幅に時間をロスしてしまいました。結局答えはあっていた為、もう少し自分を信じてあげていればよかったなと思います。ただ商業登記法の記述が基本的な問題だったため時間内に解くことができました。
最後に
司法書士試験は合格するためにかなり多くの知識量を必要とするため、それに見合う勉強量と勉強効率が求められます。私自身学生であるため時間を見つけるのにかなり苦労しましたし、限られた時間の中で自分に合った勉強方法を探すまでにかなりの時間を費やしました。大学1、2年生の頃は、勉強以外にもサークル活動やアルバイトや友人関係といった経験も大事だから両立してやればいいと思っていましたが、コロナもあり最終的にはこれらを捨ててようやく合格することができました。また、日本大学には司法書士を目指す人たちのために、教材や自習室を提供してくれます。難関国家資格と言われるほど厳しい試験ですが、最後まで諦めず強い気持ちを持って努力すれば必ず合格出来るはずです。最後となりますが皆さんが合格できることを心から祈っております。