仕事柄、図面での見積も多く、紙媒体の図面をよく扱います。
効率よく寸法を拾うため、図面をCADに取り込んで作業します。
つまり、
①図面の画像データへの変換
②JW-Cadへの取り込み
③JW-Cad上で画像サイズと実寸を合わせる
の手順を踏みます。
図面に何らかの歪みがなければ、これでCAD上で寸法を拾うことができます。
しかしながら、FAXで送られてきたり、コピーされたものであったりすると、縦横比がくるっていたり、
歪があったりして、CAD上で正確に寸法の取得ができない場合があります。
そこで、
④画像の縦横比の補正
⑤画像の歪補正
ができると、HAPPYな訳です。
画像変換ソフトに取り込んで処理する方法もありますが、弊社では、JW-Cadの外部変形機能を使って、これらができるようにしました。
具体的には、ImageMagickという画像変換ソフト(タダです)とVBScript(Windows標準機能)を組み合わせてJW-Cadから外部変形機能を使って画像変換をおこない、変換後の画像を自動的にJW-Cadに貼り付けるようにしました。これにより、図面からより正確に寸法が読み取れるようになりました。
また、写真から、寸法を読み取ることもできるようになりました。(誤差はあります)
以下順をおって説明していきます。
前提条件として、
(a)JW-Cadがインストール済みであること。
(b)JPEG用Susie PlugInがインストール済みであること。(JW-CadでJPEGを扱うのに必要です)
(c)ImageMagickがインストール済みであること。(画像変換ソフト本体)
(重要)ImageMagickのインストール時にWSH(VBScript)からのコマンドを受け付けるオプションを有効にしておいて下す。忘れるとVBScriptからの操作ができません。
(d)GhostScriptがインストール済みであること。(日本語のPDFを扱う上で必要です)
上記4つの項目が完了していることとします。
また、紙媒体を画像データに変換するため、FAX複合機の画像SCANにより、図面をPDFまたはTIFFで
パソコンに取り込める状況は必須です。(スマホの写真でもかまいません)
JW-CaddではPDFやTIFFなどマルチ画像はそのままでは扱えません。(PDFは不可・TIFFは1枚目のみ)
そこで、パソコンに取り込んだ図面の画像をJPEGに変換します。
ダウンロード からResizeをダウンロードし,適当なフォルダーにおいて下さい。
画像ファイル(PDFまたはTIFFを想定)をResizeにドラッグ&ドロップすれば画像をJPEGにしてくれます。
さらに、
フリーソフトのSHCMLを使って、コンテキストメニューにResizeを登録すると、画像ファイルを右クリックし、Resizeを選択するだけで、JPEGに変換してくれます。
前提条件の(b)JPEG用SusiePligInのインストールが済んでいれば、JW-Cad上で「文字」「文読」とコマンドを実行し開いたWindowの下部のドロップダウンメニューの中に「JPEG/JFIF」があるはずです。
これを選択し①で変換した画像ファイルを開いて下さい。
JW-Cad上に画像が貼り付きました。
取り込んだ図面画像の寸法を、CAD上の寸法と一致させます。
JW-Cadの「画像フィット」機能を使います。
手順
①画像上で寸法が読めるところで、JW-Cadの直線コマンドでその寸法の線を引きます(横線でお願いします)。
②JW-Cadのコマンド「編集」「画像編集」と進み、上部の画像フィットにチェックを入れます。
あとは、Window下部の指示に従い、画面上の2点を選択、つづいて先ほど引いた直線の両端を選択すれば、画像サイズを
CAD上の寸法に合うよう拡大(縮小)表示してくれます。
横方向のサイズ調整が済んだら、縦方向のサイズを確認します。
縦寸法がわかる場所で直線を引きます。(寸法値にチェックを入れておく)
図面寸法と直線寸法が許容範囲に入っていれば、良しとします。図面のサイズにもよりますが、0.5%以上くるっていたら補正が必要と思われます。
縦横比の補正を行いましょう。
これまでは、JW-Cadの機能を使ってきましたが、ここからがポイントです。
JW-Cadの外部変形機能から、ImageMagickをよびだし、画像変換を行います。
(準備)
ダウンロードページから Resize.exe/Resize.vbs/JW_resize.vbs/Resize.batをダウンロードし、JW-Cad以下のサブフォルダーにおいてください。(新しくWORKなど名前を付けたフォルダーを作成し、すべてのファイルをそこに入れる)
(使い方)
「外変」をクリックすると「ファイル選択」のWindowが開きます。
先ほど配置したResize.batを選択しす。
画面下に「範囲選択の始点をマウス(L)で、連続線をマウス(R)で指示してください。」と指示がでますので、変換したい画像を囲みます。
「選択確定」をクリックすると、「サイズ変換」の入力ダイアロボックスが開きます。
あらかじめ画像のサイズが表示されています。
例えば、「679×452」と表示されていれば、横679ピクセル縦452ピクセルの画像ということになります。
例えば図面上縦寸法が3850だとして、線コマンドで引いた線が、4000だったとします。
この場合、画像の縦方向を3850÷4000分だけ縮めれば図面とCadの寸法が一致します。
そこで 452×3850÷4000=435.05 となるので、
上記ダイアロボックスを編集し「679×435」として、「OK」ボタンを押します。
すばらくして、変換終了のメッセージが表示され(「OK」します)、変換された画像が元画像の右に貼地けられます。
元図面に歪がなければ、上記まででCAD上で寸法が読み取れるようになったはずです。
【補足】
①画像ファイルのパスについて
画像ファイル名及びパスはアルファベット表記がよろしいようです。
ImageMagickが元々英語圏のものであるため、日本語表記が混じるとたまにエラーを起こします。
また、画像ファイル名及びパス空白が入るとかなりの確率でエラーを起こします。
②変換後のファイル名について
例えばsample.jpgをresize.exeやperspextiveで変換すると変換後の画像ファイルは元画像と同じフォルダー上にsmaplex.jpgとして新たに作られます。
2回変換すると、samplexx.jpgとなります。
元図面が歪んでいた場合は、さらに画像補正を行います。
現時点で補正できるのは「台形歪み」です。
(準備)
ダウンロードページから、perspective.exeとperspective.batをダウンロードし、JW-Cad以下のサブフォルダーにおいてください。(perspective.exeはパスが通っているフォルダーならどこでもいいです。)
(使い方)
変換したい画像上、本来長方形になっている部分を線コマンドで、囲います。
「外変」をクリックすると「ファイル選択」のWindowが開きます。
先ほど配置したperspective.batを選択しす。
画面下に「範囲選択の始点をマウス(L)で、連続線をマウス(R)で指示してください。」と指示がでますので、変換したい画像を囲みます。
「選択確定」をクリックすると、投射変形後の画像が右に貼り付けらます。
現場で、寸法の取り忘れや、後日意図せぬ場所の寸法が必要になったりすることは、頻繁に起こります。
写真から寸法が読めたらどれほどいいかと考えたことは、ありませんか?
JW-Cad上で、上記の応用から「写真から寸法を読む」事ができます。
実際の例から、説明します。
写真1は、現場で全天球カメラで撮影したものをスマホのスクリーンショットで切り取ったものです。
写真で寸法を知りたい箇所と同一平面上にある、他の箇所で寸法が分かっている事が必要です。
(手順)
①JW-Cadに取り込んで、投射変形を行います。
知りたい箇所と同一平面上にある矩形を指定します。(写真2)
外部変形Perspectiveを実行する。
(写真3)は変換後
②画像フィットで横方向のサイズを合わせます。(写真4)
(ここで、横方向2742は既知、縦はCAD上寸法)
③resizeで縦方向の補正を行います。
縦方向の実寸は2645(既知)なので、
外部変形resizeを実行し、縦サイズを2645に合わせます。(写真5)
写真1
写真2
写真3
写真4
写真5
④結果検証(写真6)
各部の寸法は実測してあります。
各箇所をCAD上で確認してみましょう。
緑はCAD上の寸法、赤は実測値です。
今回はそこそこの精度で寸法測定できていることが分かります。
写真6
(考察)同一平面上にある、構造物の縦横の寸法が分かれば、その平面上にある他の構造物の寸法がある程度分かる。写真の鮮明さや、寸法値の分かる構造物の位置などで、誤差の大きさも変わってくるが、比較的手軽に寸法値が分かるのはうれしい。
写真から寸法を得る方法はいろいろあるが、「簡単さ」という1点で優れていると考えます。