有機固体若手の会 2019冬の学校

講師紹介

  • 中村 優斗 先生 (名古屋大学 大学院工学研究科 応用物理学専攻) HP

「分光学的手法を用いた有機強相関電子系の研究」

<講師の紹介>

中村先生は、有機強相関電子系における光学応答に関する研究を精力的に行われてきました。特に有機電荷移動錯体においては報告例の少なかった電子ラマン散乱(電荷ラマン散乱、磁気ラマン散乱)現象を観測し、当該物質における電子状態の解明に貢献されてきました。ご講演では、分光測定の基礎から応用的な手法まで、最近の研究例を用いながらわかりやすくご紹介いただく予定です。

  • 宮坂 等 先生 (東北大学 金属材料研究所 錯体物性化学研究部門) HP

「金属錯体格子で電荷とスピンを動かす:有機導体の知恵は、金属錯体格子でも使えるか 」

<講師の紹介>

宮坂先生は、金属錯体を材料基盤とする分子磁性体に関する研究を精力的に展開されてきました。特に、一次元磁気相関のみで極めて遅いスピン緩和を示す単一次元鎖磁石とその関連物質の基礎学理の構築や、格子内電荷移動・電子移動を利用した磁気相関の合理的制御、化学的外場による磁気相変換など、「錯体化学を基軸とする低次元系磁性体」の新しい研究分野を活発に開拓しておられます。ご講演では、電荷移動型金属錯体格子の柔軟な電荷・スピンに基づく様々な磁性体についてご紹介いただく予定です。

  • 山本 貴博 先生 (東京理科大学 工学部教養/大学院工学研究科電気工学専攻) HP

「ナノカーボンと有機結晶の熱電応答の理論」

<講師の紹介>

山本先生は、低次元ナノ物質の電気伝導、フォノン熱伝導、熱電効果などの量子輸送現象の理論研究に従事されてきました。特に最近は「熱電効果に対する線形応答理論」の確立において中心的な役割を果たし、その応用として、カーボンナノチューブやグラフェンなどの低次元ナノカーボン物質や有機結晶αET2I3の熱電効果の理論研究を推進しています。ご講演では、熱電効果の基礎と応用に関して、最新の研究成果を交えながらわかりやすくご紹介いただく予定です。

  • 島津 彰 先生 (日東電工株式会社 )

「分子シミュレーションの高分子素材研究への産業利用」

<講師紹介>

島津先生は、これまで有機固体系素材の構造と物性研究に関する分子シミュレーションと評価技術に従事されてきました。高分子物性の分子レベルの理解には、高分子の一次構造と高次構造の解析が有効であり、分子の挙動をマクロな物性に関連付ける技術が要求されます。ご講演では、分子動力学法、密度汎関数法を利用した高分子系分離膜、電池膜、および接着剤の素材研究について、基礎科学と企業の製品開発の接点についても触れながらご紹介いただく予定です。