ごあいさつ

 こんにちは、またははじめまして。サークル「月面終末観測所」の運営者、及びフリー音源縛りコンピ『ORiGiN REGRESSiON』シリーズの主宰を務めましたFullMoonです。


 このシリーズは元々「フリー音源だけで作曲をしたらどうなるんだろう?」という私の純粋な問いから始まった企画でした。2021年の秋のことです。学校から帰宅している途中にふと浮かんだその問いに思考を支配され、家に帰るや否や勢いのまま「vol.1」の企画書を書いたのを覚えています。

 その頃の月面終末観測所は私FullMoonの個人作品を発表すること以外は特に何もしていなかった小さなサークルでした。「6~7曲くらい集まったらいいなあ」なんて思いながらvol.1の楽曲募集を行ったのですが、思った以上に話題を呼んでしまい最終的に17曲入りの大型コンピレーションアルバムが完成しました。

 vol.1で掲げたテーマは「全ての金欠DTMerに捧ぐ。」━━全ての音屋に夢と希望を与えたいという想いがそこで芽生えたのを切っ掛けとして、このサークルの活動理念は「人に希望を与えること」「これから芽生えるであろう若い芽を見守ること」にシフトしました。フリー音源縛りコンピは、間違いなく月面終末観測所の大きな転換点だったわけです。


 DTMに興味を持った人が「無料でここまでできるんだ!自分もできるかも!」と希望を持ってこちらの創作の世界に踏み出してくれたらそれは大変幸せなことだと思いながら『ORiGiN REGRESSiON』シリーズを制作してきたわけですが、最終回にして「vol.2を切っ掛けにDTMを始めた」という人が現れました。その時、この企画は、そして月面終末観測所はやっとその役目を果たすことができたんだと胸が熱くなりました。

 ちなみにその人こそが今回楽曲選考で勝ち残ったHachidorI氏です。こんなにアツい展開があるでしょうか。(もちろん楽曲選考の審査は一切の贔屓をせず厳正に行いました)


 周りの先輩音屋に面倒を見てもらいながら創作をやってきた私もいよいよ作曲活動は9年目、月面終末観測所のサークル運営も5年目になりました。自分も先輩音屋の皆さんと同じように「見守る側」になったんだと実感する日々です。


 フリー音源縛りコンピ『ORiGiN REGRESSiON』シリーズに2年半もの間お付き合い頂き、本当にありがとうございました。このシリーズは今回で終幕となりますが、成長した月面終末観測所はこれからも若い芽を見守り続けます。

 そしてフリー音源はこれからもきっと進化します!

 フリー音源、フリープラグイン、その他無料で手に入る作曲道具。これらはこれからも、未来を拓く若い音屋を育てるための良き土壌であり続けると私は信じています。

 このコンピレーションアルバムの存在が、今これを読んでいる全ての人にとってフリー音源に改めて思いを馳せる切っ掛けになれば幸いです。



FullMoon