東京理科大学のオンライン教育に関するアンケート調査の実施と学生の声の発信をしています
2020年度から多くの大学でオンライン教育の実施が余儀なくされました。
東京理科大学においてもそれは例外ではありません。
このサイトでは東京理科大学におけるオンライン教育に関する学生へのアンケート調査を実施し、その結果を発信しています。学生同士の情報交換の場を提供し、また社会の皆様に現在大学生が置かれている状況を理解していただくことを目的としています。
この調査は東京理科大学の有志の学生 による活動であり、他の団体・組織とは一切関わりがありません。
新型コロナウィルスによる感染拡大を防ぐことを目的として、大学のオンライン教育が半ば強制的にスタートしました。
学生・教員ともに不慣れな中でのオンライン講義は双方に大きな負荷を与えていることは疑いの余地がありません。
オンライン講義には対面講義にはないメリットが存在しますが、それと同時に多くの技術的な課題と問題も抱えています。
そして、教育の質、人間関係の構築の観点から対面講義を望む学生・教員が数多くいるのもまた事実です。
オンライン教育の現状を正確に理解するために、学生の生の声を聴くことがなにより必要です。
2020年度から新型コロナウィルス感染拡大防止の措置として、多くの大学でオンライン講義が導入されました。
オンライン講義には従来の対面式講義にはない多くのメリットがあり、コロナ禍の中で一定の役割を果たしましたが、同時に多くの技術的・原理的な課題と問題を抱えています。
オンライン教育が包含する問題の中で特に致命的なのは「公正な試験の実施ができない」「実験・実習科目の実施ができない」「人間関係を希薄化させる」ことです。
ネットワークインフラがハードウェア・ソフトウェアの両点で非常に発達した現在においても、原理的に回避不可能な問題として立ちはだかります。
公正な試験の実施ができない
理数系科目においては、公正な試験の実施による定着度の確認が学習者にとって特に重要であることは疑いの余地がありません。
科目を通して習得すべき専門知識、思考力、計算能力は、公正な試験によってその評価がなされ、学生が身に付けた能力が保証されます。
しかし、オンラインによる公正な試験の実施は、不正の抑止と発見、通信機器やソフトウェアのトラブルシューティングといった観点から実現は厳しいと言わざるを得ません。
公正な試験の実施が不可能になったことの埋め合わせとして、1.課題が激増、2.定着度の低下、3.適切な評価が行われないため学習の成果が見えづらくなった、という教育上の3つの弊害が生じました。
これは、オンライン教育の利点として挙げられる「ユビキタスなアクセスによる学習の効率化」を打ち消すほどに、学生と教員へ過剰な負担を引き起こしており、教育の質の著しい低下を招いています。
実験・実習科目の実施ができない
多くの理数系の大学生にとって、実験・実習科目は非常に重要な位置を占めています。
実験・実習科目を通じて得られる専門知識・実践経験は、大学を卒業し社会に出たときに期待される能力の一つです。
また、最先端の設備とハイレベルな人材による実験・実習科目の実施は、大学の教育能力の価値づけとなっている側面もあります。
しかし、大学における多くの実験・実習科目は、専門的な設備と人材を必要とすることから、オンラインでの代替は原理的に不可能です。
現状、多くの実験・実習科目は十分に実施されておらず、理数系学生の能力育成と教育機関としての大学の価値づけという両点において危機的な状況です。
人間関係を希薄化させる
オンライン講義が始まり、その長所を見出す学生が一定数いる一方で、対面式講義の価値を再認識し、それを望む学生が多くいるのもまた事実です。
講義・演習科目にしても、実験・実習科目にしても、単に知識を得たり実践を積むことと同等以上に、学友や教員とのコミュニケーションを重ねることによる議論する力の向上や人間関係の構築が期待されています。
大学における人間関係の構築の機会やコミュニケーションスキルの養成が、社会にとって強く望まれていることは、多くの企業や機関が求める学生像を見ても明らかです。
在宅学習の長期化による学業に対するモチベーションの低下と大学としてのサービスの質の低下を理由に、中には休学という選択をとる学生すら見受けられるようになり、ますます看過できない状況になってきています。
学生個人の学習意欲と能力の低下、人間関係構築の機会の喪失、そして大学のブランド力の低下を招きかねない事態に我々は直面しています。
この由々しき事態を打破するために、まずは学生各々が置かれている状況を正しく把握する必要があります。
コロナ禍による社会の混乱は著しく、様々な業界が多大な影響を受けています。
大学もその例外ではなく、従来の対面式講義からオンライン講義への移行を余儀なくされ、多くの学生の生活は一変したかと思います。
実に多くの学生が学業や研究のみならず、部活・サークル活動、アルバイト・就職活動などに困難を抱えている中、
それに対する社会の認知度と理解はたいへんに低いと言わざるを得ません。
また、「社会」という大局的な視点に限らず、局所的に見ても大学職員・大学教員と学生の間に浅からぬ認識の差があり、
この乖離が学生に多大な労力と不利益をもたらしている現実があります。
コロナ禍による影響は、医療現場の混乱、オリンピックを始めとした各種イベントの中止、経済活動への大きな打撃と枚挙に暇がありません。
大学生においても、その例外にもれず、従来の対面式講義からオンライン講義への移行が余儀なくされ、部活・サークル活動の再開はいまだ光明が見えません。
新入生や編入生は大学に来ることもできず、学友や部活・サークル仲間もいないまま、慣れないオンライン講義を受けているという悲惨な状況です。
また、就職生は、各種イベントの中止やリモートでの面接といったイレギュラーな活動を強いられ、多くの学生が先の見えない不安を抱えています。
教員と学生の間の意識共有の不足
このような状況にも関わらず、大学内において現場での教員・学生の声の共有がなされているとは到底言えません。
オンライン講義に対する種々の問題に関しては、教員が問い合わせのある個々の学生に対応するに留まっているのが現状です。
直接顔の見えない今の状況において、教員と学生の考え・声が共有されないことは、教員と学生の認識のズレをより断絶させるのは明らかです。
この断絶は、学生側には過剰な課題として、教員側には課題評価のための超過労働として現れ、双方に多大な労力と不利益をもたらしています。
これは大学における教育と研究の質の低下に繋がりかねない事態であり、一刻も早い解決が望まれます。
学生の苦境に対する社会の認知の低さ
より大局的な観点で見ても、様々な業界で各人の直面する困難や解決のための努力が取り沙汰される中、大学生の直面するこの苦境に対する社会の認知度と理解はたいへんに低く、メディアによる報道が十分になされているとは言い難い状況です。
オンライン教育に対する系統的な調査は数えるほどしか行われておらず、その有効性のエビデンスや学生の生の声を提示するに至っていません。
オンライン教育に対する学部、学科別での考えや声すら見えないこの状況においては、現状を打破する解決策を議論することもままならず、学生は先の見えない苦境に立たされ続けることになりかねません。
この未曾有の事態に対処するために、学生間での意見の共有、教員・職員との意志疎通の機会、そして大学の置かれたこの状況を社会に発信していくことが必要不可欠です。
大学における教育の質の低下、人間関係の構築の機会の損失は決して無視できるものではなく、人生レベルの損害になりかねません。
それにも関わらず、大学生による意見表明や議論の機会はいまだほとんどないのが現状です。
この混沌とした状況を少しでも改善するために、大学生の意見表明の場が必要であると考えました。
理科大生の生の声をお聞かせください。
アンケートの調査結果は随時更新していく予定です。
ここで集められた意見の一つひとつが大学教育の今後の在り方を考える上での大事な糧になります。
一人でも多くの学生の意見を発信していくことが、学生の未来を明るくする一歩であると考えています
サイトに関するお問い合わせは、[online.lec.survey.tustu@gmail.com] まで
この調査は、東京理科大学の有志の学生による活動です。