地方の救急医療実態

本メディアの目的

2022年2月13日、父は65歳という若さで脳動脈瘤の破裂(クモ膜下出血)により救急搬送された病院で息を引き取った。へき地診療所の診察、外科医の減少、コロナによる病床数の逼迫、など様々な不運が重なった。これを受け、メディアによる情報発信を通じて、地元岡山県を中心として医療の地域格差緩和に貢献することを目的とする。

救急医療の実態と参考情報

コロナ禍の受け入れ病床数逼迫

『「搬送が困難な事例」は5400件余りと4週連続で過去最多を更新...東京消防庁によりますと...3時間以上が合わせて162件に上っています。このうち56件は5時間以上かかったということです。』(引用元救急医療ひっ迫「最後のとりで」の大学病院 受け入れ困難も

「次の病院が引き受けてくれる」と急性期病院の集中する都会こそひどい状況になっている。
それが
地方まで同じ状況になっている


岡山でのドクターヘリの使用実態

  1. 午前8時30分〜午後5時(日没時間に応じて柔軟に対応)

  2. 保有元の川崎病院に限らず受け入れ可能施設へ搬送

  3. 2015年〜2019年の統計

    1. 平均出動日数 290.75日/年

    2. 平均出動回数 1.6回/日(出動日のみ)

  4. 医療機関または消防署が呼ぶことができる(一般市民は呼ぶことができない)

  5. 安全が確保できる場所(学校のグラウンドなど)があれば着陸可能

  6. 無料

参照:岡山県全域・広島東部等のドクターヘリ概要(30分以内の到着が可能な地点)


へき地医療の取り組み

地方では、生活圏内に診療所すらなく医師からの診断が受けられなかったり、施設の乏しい診療所のみというのが現状です。県内の医療機関と提携や政府の支援はりますが、いざ救急が出た場合の対応経験も乏しさや提携先までの移動も長くまだまだ課題は山積みです。

政府支援の例として、出身地の指定医療機関で一定期間務めることを条件にした無料で通える医大と言ったものもあります。

参照1:へき地ネット
参照2:自治医科大学
参照3:おかやま医療情報ネット


重度別にランクされた搬送先

救急では1次、2次、3次(軽症〜重症)と症状別に搬送先が分かれている。今回の例でも重篤な脳疾患の疑いがあっても、6件の受け入れ拒否の末、2次の病院に受け入れられた。本来なら、重篤患者は岡山では5件以上の受け入れ拒否の後、次の病院が合意する。最終に受け入れる病院は本来3次の病院であった。

参照:救急医療体制


諸外国での受け入れ拒否は違法

知り合いの外国人から日本の救急のたらい回しということが存在することに驚かれたぐらいだ。
それもそのはず。例として米国では医者に550万、医療機関に550万の罰金が下される。


対策を考える

ドクターヘリの使用促進・出動時間帯拡大

夜間飛行が可能な飛行機はある一定の離着陸地点に設置されたレーダーの届く範囲内から航空管制官が飛行指示を飛ばすため、操縦士は視界に頼らない操縦が可能。

そこで、夜間運行を進めるにはIFRの導入が必要になる。着陸地点の照明を確保したり、操縦士の暗順応が30分ほどかかることを考慮した運営が必要になる。

参照:ドクターヘリ夜間運行の課題


手術支援ロボ保険適応範囲拡大

2020年に今までの一強であった「ダヴィンチ(da Vinci)」の特許20年の期限が切れ、国内外で手術支援ロボの開発が急増しています。現在は、保険適応のある泌尿器科、消化器外科、心臓血管外科、呼吸器外科、女性診療科、肝胆膵外科での手術適応に限られていますが、これを契機に拡大していけば外科医不足の地方の手術対応にさらに貢献範囲が拡大すると考えます。

参照:ハイブリッド手術室
参照:資料内「5.新規保険適応の手続きの流れ」


負担の少ないカテーテル手術のAI支援技術適応

 日進月歩を進めるテクノロジーやデバイスのおかげで、破裂した動脈瘤や10ミリ以上の未破裂動脈瘤なども脳血管内治療(カテーテル)が適応できるようになった。一方で、経験のある医師でも未だ難易度の高い手術である。足の付け根の動脈から挿入したカテーテルが血管を突き破ってしまわないよう4枚の X 線映像を見ながらミリ単位の調整を行う。複数の医師や助手が映像を見守り、危険な前兆が見えたら「危ない」と声を掛け合って事故を未然に防いでいるのが現状。

参照1広がる脳血管内治療の進歩と課題 ( 2018/11/16 )
参照2:脳血管内手術の手術支援AIを開発するiMed Technologies、初のエクイティファイナンスで1.7億円を調達


受け入れる運営を成功例から学ぶ

年間約9,000件に及ぶ救急搬送に応え、ウォークイン患者2万人を受け入れるのは、「断らない医療」を理念にしている埼玉石心会病院である。最新最先端の医療設備を多数保有し、重軽傷問わず受け入れる戦略をとっている。また、大学病院以外では珍しいEMT(救急救命士)課と、CE(臨床工学士)部(診療支援課・医療技術課)が設置されている。

参照:年間9000超の救急搬送…「断らない医療」をどう実現したか


外交政策を通じて世界基準の「拒否=違法」導入を狙う

高度外国人材の招へいを強化したり、外資の戦略特区を作ったりと海外からの移住を強化しているからには、出身国と同じ条件で安心して暮らしたいという外国人の気持ちの答えるのは当然の流れである。救急医療を初めとした日本の医療現場の現状を各国に理解してもらい、政府への制度改革の圧力に勢いをもたせる狙いが期待できる。