論文リスト

概要:Gを群とする。共形ネットのG-捻れ表現のα-誘導の一般化である、G-組紐多重テンソル圏内のG-同変Frobenius代数についてのG-同変α-誘導の圏論的な定義を与える。与えられたG-組紐融合圏内のG-同変Frobenius代数に対し、G-同変α-誘導Frobenius代数というG-同変Frobenius代数を、中性二重(neutral double)という適切に定義されたテンソル圏の中に構成する。この構成はRehrenのα-誘導Q-システムの構成を一般化している。最後に、球面的G-組紐融合圏G-同変Frobenius代数のG-同変フル中心の概念を定義し、両者が定義されている状況のもとでG-同変α-誘導Frobenius代数と一致することを示す。これはBischoff・河東・Longoの定理を一般化している。

コメント:最初の気づきは射の共役(Definition 4.9)のG-同変版が、Deligneテンソル積を接合積バージョン(Proposition 4.1)にすれば上手くいくということで、2021年11月のことだった。そこから色々なことが上手くいき、2022年2月には共形ネットの設定での主定理の証明ができたが、頂点作用素代数(VOA)にも適用できるように同変α-誘導の定義を書き直し、圏と群作用が非ストリクトな設定で定理を書き直していたら1年以上かかってしまった。とくにコヒーレンス定理が腑に落ちるまで時間がかかった。

概要Nataleの意味での(G, Γ)-接合テンソル圏の(G, Γ)-接合中心の概念を定義する。さらに、(G, Γ)-中心が(G⋈Γ, G×Γ)-組紐テンソル圏であることを示す。この構成は、次数つきテンソル圏の次数中心の構成、および群作用つきテンソル圏の同変中心の構成を一般化している。

コメント:たまたまMathSciNetで見つけたNataleの論文を覚えていたことが役に立った。(G, Γ)-接合テンソル圏では群作用が通常の意味でテンソル積を保たないので、もしNataleの論文を知らなければ、「接合中心には自然な群作用は入らない」と結論していたかもしれない。


私の博士論文は

Equivariant α-induction Frobenius algebras and related constructions of tensor categories

で、論文[1]に基づいています。