「テノイ」という単語について
2025/9/8
2025/9/8
「テノイ」という言葉は、#1や#4、およびそれらに関連する世界観における重要な一般名詞です。
しかし、実は現実世界に同じ言葉がなかったわけではありません。私はそれを知ったうえでこの単語を創作に使用しています。
「テノイ」という言葉を私が使い始めたのは、#2を作り始めるもう少し前でした。
ちょうど当時仕事で忙しくしていた頃で、この仕事がひと段落したら何か創作をしてみたいと思っていて、もし創作を始めるなら、登場するキャラクターには何らかの形で「テム」という名前をつけようと考えていました。
「テム」とは、私が小学生ごろから自分の考えたキャラクターにつけていた名前で、中学生ごろにジオシティーズで運営していたホームページの名前も、一時期『temmの部屋』(”テムのへや”と発音)としていました。
そういった経緯もあり「テム」という単語に思い入れはありましたが、ちょうど同じころスペインのMMORPGで「Temtem」(テムテム)というビデオゲームが公開されたばかりでした。
出てしまったものは仕方がないのですが、後出しで名前が似ているのもあまりよくないかなという理由で、「テム」をあきらめ「テノイ」に変えることを考え始めました(その後、テムについては綴りも本来の発音に近い中国系の通販サイトが登場するわけですが)。テノイという単語にした理由としては単純に語感がいいからであり、その時は特に既存の単語があるとは思っていませんでした。現在のTENOIはこれがきっかけです。
ただ、語感で決めたつもりが、既に何かの著作物や商標として使われていた、というのは避けたいので、一応「テノイ」または「TENOI」で検索をかけてはみました。
当時、「TENOI」という単語を検索すると「Urban Dictionary」の記事がヒットしていて、その内容は「常に天国にいる神の使い、誰に対してもおしゃべりな彼には、本当の友達は一人しかいない」…というような、よくわからない内容でした。
他を調べてもRedditなどの掲示板サイトで、たまに文末に「tenoi」と付け足す人がおり、意味や理由についても「tenoiはtenoiさ」とか「○○という人がよく使ってるよ」という内容ばかりで、何かはっきり意味のあるものではなさそうでした。
商標になっているわけではなく、著作権的にも「意味のない単語に権利はない」という事のはずなので、テノイについても「特に意味はないけどあいさつや感心するような体験をした時の感嘆詞」("カワバンガ"とかに近いものかもしれません)くらいととらえ、私は「テム」のかわりとして「テノイ」を使うことにし、#2の制作を始めました(実は#1の方が後です)。
ただ、しばらくして2023年ごろから、当時ジャンプに連載中の「カグラバチ」のファンの方々の間で、海外ファンが使用していた「tenoi」を合言葉として使うブームが起こりはじめます。
僕はこの時気を揉みました。あまり疑うのも失礼かもしれませんが、合言葉を勝手に創作に使われていると思われたり、いつの間にかテノイが全く関係ないコンテンツの商標に登録されたり、こちらの作品群の展開に影響があるかもしれないなど、ブームの影響で僕の作品より「テノイ」という単語だけが有名になるのが怖かったのです。
何か言われたって「意味のない単語に権利はない」だったり「そもそも語源が違うし、こちらのTENOIは”テノイ”と読むが、”tenoi”は実際何と発音するのか」等、主張できそうとは思っていたものの、やはり心配でした。
最近その勢いも下火になり(カグラバチではなく、ファンの合言葉として「tenoi」を使うこと)、結局取り越し苦労のままで終わりそうなのですが、tenoi自体もともとが合言葉的な使い方なので、今後もこういった心配は起こりそうな気がしています。
単語や設定こそ少し変えましたが、「テム」および「テノイ」は、僕の創作の支えです。