部門賞
脚本賞
「dragginboogie」
脚本:つばきつばさ
(斑屋)
講評
「小粋なセリフの応酬で冒頭からこの世界観に一気に引き込まれました。
説明臭いセリフは一つもないのに、エドワードの目的、思考、性格が読み取れる台詞回しは圧巻の一言でした。大変勉強になりました」
「斑屋とゴッコヤで接戦となりましたが、僅差で斑屋となりました。同じような背景(アメリカン映画みたいな雰囲気)で同じような展開でシリアスかコメディかの差となりましたが、演者を活かし切った脚本という点で斑屋さんに軍配が上がりました」
「序盤の浮浪者との対話により主人公エドワードの悪事に対し、【嘘を幻覚で隠していた】というまるで映画「ファイトクラブ」のような使い古されたオチに対しても若干のかっこよさを引き出した台本です。それも、序盤の警鐘者である浮浪者の存在がこの作品の神の視点であり、語り部の存在だったこともとてつもなくクールにまとまっており、最も「罠」というテーマに沿っている作品だと思いました」
他ノミネート作品
「合わない何か、とそれに対する何者かの一撃。」
脚本:やまさん
(ポロンクセマ)
「現代社会の触れづらい所に真っ向から斬り込みつつ、それを押し付けるでもなく敢えて多面的に誘導するからこそ真相の気づき方にはエグいまでのものを感じた」
「ハマらない男」
脚本:柿間朱夏
(声の劇団ゴッコヤ)
「タイトルからどんな話だろうと興味をわかせ、最終的にハッピーエンドに持って行くところが素直に楽しめた」
編集賞
「合わない何か、とそれに対する何者かの一撃。」
編集:やまさん
(ポロンクセマ)
講評
「この編集方法は今までに触れた音声作品として類を見ない斬新なものでした。
舞台の上手、下手、センターを脳内で立体化させられあたかもリスナー側もその世界の中に居るような衝撃的な体験をしました」
「田中と他メンバーのズレを妥協無く追及して編集をしていった点、他の作品とは違う気味の悪さを実は劇だったのかという形で洗い流してくれるところですかね。」
他ノミネート作品
「dragginboogie」
編集:アルコ
(斑屋)
「その場所、場面の空気感を作る技術に、とても長けているなと感じた」
「カメの恩返し」
編集:はちゃこ
(劇団隙間産業)
「細かいところまで作りこんでいるなと思いました。動きだけでなく心情を現すSEなど、物語をより分かりやすく伝えるための工夫が随所に見られて感心しました」
「ハマらない男」
編集:柿間朱夏
(声の劇団ゴッコヤ)
「うまい!面白い!」
主演賞
「ハマらない男」
デービット役:でぇちゃん
(声の劇団ゴッコヤ)
講評
「デービットの熱くもコミカルな役柄の表現力は勿論、そこに「どこか憎めない人間臭さ」の入れ込み方が兎に角絶妙でした。
でぇちゃん様にしか表現できない「役者の味」を感じました」
「焦ったときのキャラの崩れるところが、いい力加減で楽しめた」
「めちゃんこ笑った!うますぎる!」
「ハードボイルドなんだけどどこかずれている。ハードとコミカルの差をポップに演じ切ったところ。それが一番の理由かと思います」
他ノミネート者
「dragginboogie」
エドワード・コリンズ役:アルコ
(斑屋)
「世界観を作り出す演技力、怪しさ、色気、渋さ、物語が進むにつれて現れる怒り、悲しみ。終盤に見せられるどんでん返しからの狂気。一言で表すとカッコいい!!の一言です。劇中兼ね役の演じ分けなども素晴らしく、終始、聴きやすく惹き込まれる演技力でした」
助演男優賞
「合わない何か、とそれに対する何者かの一撃。」
辻本公浩役:中村宏平
(ポロンクセマ)
講評
「これだけ難しい脚本であるにも関わらず、常に「真ん中」と言うポジションのリズム感をキープする力と自然体な台詞回しの中に敢えて独特な引っかかりを待たせて、分散しかけた視界を元に戻させる中村様のバランス感覚はこの作中でとても大切な作用を待たせていたと思います」
「演技力で中村さんが問答無用で一番という結果となりました。安定の演技力、言葉の分かりやすさ。これにつきます」
他ノミネート者
「dragginboogie」
ドナルド・ダーク役:アルコ
(斑屋)
「安定して聞ける演技。重みがあって、よかった」
「合わない何か、とそれに対する何者かの一撃。」
平野哲也役:スナイパー
(ポロンクセマ)
「ノリの軽いどことなくいけ好かない、でも悪気はない。そんな凡庸なキャラクターを嫌味なく自然に演じられているなと思いました。台本のうまさもあるとは思いますが「いるよね、こういう人」を一番感じたキャラクターでした。特に「あ、裂けそう」の言い方が秀逸でした」
「ハマらない男」
怪盗ダッド役:ゆえ☆ミ
(声の劇団ゴッコヤ)
「キッド!すき!」
助演女優賞①
「カメの恩返し」
カメ役:MIACOffee
(劇団隙間産業)
講評
「最後の最後までカメの本性を隠し切り、最後に一転してシリアスに攻める演技は脱帽でした。まさにすっかり騙された感じですが、MIACOffeeさんの演技力あってのものだと思います」
「この話は乙姫という主役がぶっとんでいるのでそれをしっかりとコントロールしながら主軸を担っている助演がカメだと思います。MIACOffeeさんは、下ネタを言う割に初心?な乙姫をからかいつつ、次のシーンでは暴挙を諫めて、最後は、浦島にしなだれつつも全て持っていくという三様の変化が素晴らしかったです。個人的には「そこ、たまごかけごはんみたいに言わない」のツッコミの言い方が好きでした」
助演女優賞②
「ハマらない男」
エマ役:れいく
(声の劇団ゴッコヤ)
講評
「とにかく『いい女』。きっと金髪でスタイル良くて口元にホクロがあって好きなお酒はバーボンで父の名前はボブ、母の名前はキャサリン。キャサリンは通称キャシーと呼ばれ、スタイリッシュな家で育ったエマは幼少の頃から周りに好かれ、そしてそれに驕る事なく常に周りを気遣う優しさと少しシャイなプリティーさを持つ所謂「モテるいい女」なのです。
ジャズダンスを踊っていたお陰で会話の中にもキラリと光るリズム感を持っていて、それがこの仕事にも存分に活かされているのでしょう。
などとエマの妄想を勝手に掻き立たせる程レイク様のアプローチは奥深いものでした。躍動するお芝居がとても好きです」
「キャラのイメージが脳内で描かれ、自由自在に動き回っているような素敵な演技だった」
他ノミネート者
「dragginboogie」
浮浪者、リリィ・メリー、メグ、サラ・コリンズ役:麻音
(斑屋)
「声色変化!すごい!かっこいい!」
総合結果
(有効票数:81票)
優勝
「ハマらない男」
声の劇団ゴッコヤ
得票数:70票
【出演】でぇちゃん、れいく、ゆえ☆ミ
【脚本・監督】柿間朱夏
視聴者からの声
「テンポのいい会話の応酬が、聴いていてとても楽しい。エマの手のひらの上で転がされるデービッドがとんでもなく可愛い。最後の方のエマも可愛い。もはや全員可愛い。全員キティちゃん。」
「ハードボイルド・コメディとしてのバランスが素晴らしい良作でした。あと、際立って感じるのはMIXの塩梅。話を展開させるモノローグの背景にうっすらと、絶妙なボリューム感で掛け合いをオーバーラップさせるなど、情報量を増やすことで雰囲気を退屈にさせない演出が巧みでした。」
「編集がとても丁寧だし、役者さんもみんな上手…!スッと作品世界に入れる。ファミリー映画みたいに、場面がコロコロ変わるのがとても楽しいです。飛行機で飛んでいくのは全く予想できませんでした!15分でこんなに盛り沢山だとすごく満足感あります。」
準優勝
「dragginboogie」
斑屋
得票数:62票
【出演】アルコ、麻音
【脚本】つばきつばさ 【監督】アルコ
視聴者からの声
「全体的に外画風なのに、下手に粘らない芝居が凄く良かったです。この雰囲気だと、印象付けるためにセリフがねばねばした芝居になりがちなのですが、そういうのをそぎ落としているので非常に聞きやすい。」
「出だしの雰囲気からぐっと世界観に引き込まれました。画像が見えていないのに、風景が浮かんでくる。BGMや効果音のセンスの良さが光っていました。セリフも思わず真似たくなるような洒落た言葉選びで、台本を拝見したいと思いました。」
「最初から最後までハードボイルドな展開で、凄い引き込まれました。次々と展開が変化していき、全ては男の…という展開、わし大好物っす。」
第3位
「合わない何か、とそれに対する何者かの一撃。」
ポロンクセマ
得票数:47票
【出演】是枝留、スナイパー、もものえ、
中村宏平、ぽんず
【脚本・監督】やまさん
視聴者からの声
「これは凄い。凄いが、万人受けは絶対にしないしするつもりもないだろう。静かに、しかし確実に軋む人間関係とディスコミュニケーションを見せながら左右からの会話波状攻撃にくらくらしていると不意にリスナーへの一撃をお見舞いして終幕する。」
「やまさんの作品は他のやつも前から好きだけど、今回はとにかく……感動した。「感じて動く」と書いて感動。泣けたわけじゃなく、とても、心が動いたってことです。(中略)やまさん!!!お前は!!!ラジオドラマ界に必要な存在だぞ!!!」
「ここが一体どこなのか、明記はしてないけど、セリフの感じで場所が大体わかってくる、じわじわ場所が想像のうちに絞られ伝わる感じが大変よかったです。女子の反応がリアルなのがいいな。本当に空気読めない奴への反応が見れて気持ち悪かったです(褒め言葉)」
第4位
「カメの恩返し」
劇団隙間産業
得票数:35票
【出演】はちゃこ、MIACOffee、
蛇蠍・ザ・ストーリーテラー
【脚本・編集】はちゃこ
視聴者からの声
「日本の昔話と、海外の童話をミックスアップしたような不思議な展開も魅力的でした。海を舞台にすると、確かにそこは共通した題材として機能し得るなと膝を打ちます。最後のオチもひとひねりが効いていて、冒頭からの流れでは予想もつきませんでした。コメディなんだけど、最後のオチで少しブラックにオトすユーモアが素晴らしかったです。」
「登場キャラの粒が立っていて面白かったのと、乙姫とカメの本能が赴くままにがめつくいる姿が人間っぽくなくてよかったです。 最後のカメが嵌めるところで、あーなるほどカメは万年で、そこと繋げたかったのかぁと思いながら聞いていたら、ちゃんとセリフとして出て来て正解がもらえて嬉しかったです。」
「乙姫のキャラがファンキーで行動の理由に笑ってしまいました。ストーリーが無理なく進んでいって、落ちの亀の裏切りもまた納得できる気持ちの流れで自然で面白かったです。」
第5位
「プロジェクトT」
オフィス・キリー
得票数:26票
【出演】東雲やみこ、佐倉亮、藤森まい、
猫守よもぎ、ホリヘイリ、harlequin moon
【脚本・編集・演出】灰谷霧人
視聴者からの声
「ギャグ路線もいい意味で振り切れていて、お約束をこなしながらも突拍子もないことをしでかす。 そして、どこか「なろう系ディスってる?」的な危ない橋も華麗に渡る度胸が清々しいですね。マトモという名のラインの両脇にギャグの線が引かれていて、そこを反復横跳びしてたかと思ったら、ギャグからギャグへシャトルランし出すという高等テクはコメディファンからも感嘆の溜息が漏れたでしょう。」
「とても熱く、滾る作品。ファンタジーとドキュメンタリー番組の掛け合わせって、こんなに相性いいのか、と気付かされました。何というか、やられた!ナレーターの全肯定というか、解説が個人的にすごく好きです。」
「なろう小説やカクヨムで今ではすっかり定着した異世界ファンタジーですが、それを現代的なドキュメンタリー番組風にとらえるという発想がまず素晴らしいですね。職人の朝は早い……というようなネットミームも感じさせつつ、異世界であっても職人の持つ矜持やこだわりをドラマとして仕立てたのがお見事でした。」