高校入試の廃止を求める会

高校入試の廃止を求める会の公式ウェブサイトです。当会は、高校入試の全廃と、希望者全員入学を求めて活動しています。署名活動をしています。ご協力お願いします!https://chng.it/M4TgzhqZ8d 

高校入試を廃止すべき理由

当会が「高校入試は廃止すべきである」と考えている理由は、以下の5点です。

1. 高校は十分に足りており、高校入試によって入学者を絞る必要はない

現在、高校への進学率は97%を超え[1]、実質的な義務教育と化していることから、中学3年生の人数に対し高校は十分に足りていると考えられます。

実際、令和4年度における高校(通信制を除きます。以下、この段落と次の段落で同じです)本科の入学定員の合計は約112万人でしたが、中学校卒業者の合計は約107万人、入学者の合計は約100万人でした。つまり、高校の定員は、中学校卒業者に対しては約5万人、入学者に対しては約12万人も余っていたことになります[2][3]

高校1校当たり高校生数は、1989年に約1024人でしたが[4][5]、2022年には約613人になりました[6][7]。また、高校の本務教員1人当たり高校生数は、1989年に約20人でしたが[5][8]、2022年には約13人になりました[7][9]。これらのことから、入学定員だけではなく、高校の施設や先生も十分に足りていることがわかります。

2. 高校入試は生徒、保護者、教員にとって大きな負担である

高校入試は、中学校の生徒に重い負担となっています。中学生は、高校入試の対策のために辛い受験勉強をしなければなりません。また、高校入試に用いられる調査書(いわゆる「内申書」)の対策もしなければなりません。内申書の評定を上げるために、授業や課題、定期試験などを頑張らなければなりません。内申書には、部活動やボランティア活動、生徒会活動といった課外活動の実績も記載されるので、中学生は高校入試のためにそのような課外活動にも力を入れなければなりません。高校教育が実質的な義務教育と化した現状では、高校入試は、ほぼ全ての子どもたちが強制的に受けさせられる試験です。

高校入試は保護者にとっても負担です。ベネッセの調査[10]によると、中学3年生の学校外教室活動率は6割を超えており、これは小中高の全学年の中で最も高いです。学校外教室活動に対する支出も、中学3年生で月17,500円であり、これも全学年で最高です。この中学校3年生の高い学校外教室活動率および学校外教室活動費用は、まぎれもなく高校入試の存在が大きな理由でしょう。このように、高校入試は保護者にも大きな負担を強いています。

高校入試は中学校・高等学校の教員にも負担を課しています。中学校教員は、生徒の高校入試のために進路指導業務をしたり、内申書のために成績などの膨大な記録をつけたりしなければなりません。文部科学省の調査によると、中学校においては進路指導主任の勤務時間が長い傾向があり[11]、また、中学校教員の成績処理の業務時間は平日で平均38分、休日で平均13分です[12]。つまり、高校入試は中学校教員の長時間労働の一因なのです。また、高校教員も、高校入試のために、入試問題の作成、願書の受付、筆記試験の監督、面接試験の面接官、答案の採点、合格者の決定などの入試業務をしなければなりません。

3. 高校入試は日本の教育や社会に弊害をもたらしている

高校入試は、中学校教育に弊害を招いています。中学校教育を高校入試の準備のための画一的・競争的な教育に変容させてしまいます。これにより、個々の生徒のニーズに合った個別最適な教育や、生徒が主体的・対話的に学ぶ教育、生徒の将来やりたいことを見つけるキャリア教育などを中学校ですることが困難になります。

また、高校入試は内申書を通じて生徒の生活を隅々まで評価し、思春期という人格の形成に重要な時期において生徒が自由にのびのびと学校生活を送ることを妨げています。これは、学校における厳しい校則(いわゆる「ブラック校則」)の原因にもなっています。東京大学の中村高康教授の調査によれば、高校入試を控えた中3生の約8割が内申書を意識して学校生活を送っていたことが分かっています[13]

さらに、中学生を一方的に評価して優劣をつける高校入試や内申書は、子どもや若者の低い幸福度や自己肯定感の一因となっていると考えられます。実際、日本の子どもの精神的幸福度は38か国中37位であり[14]、また、日本の若者は「自分自身に満足している」人の割合が諸外国に比べて低いです[15]。令和4年における中学生の自殺の原因には「学校問題」が最も多く、そのうち「進路に関する悩み」「学業不振」「入試に関する悩み」が上位3位を占めており、いじめ等よりはるかに多いです[16] 。このことから、高校入試は子どもが自殺する理由の一つになっていることがわかります。

高校入試は、高校教育にも悪影響を及ぼしています。高校入試により、一部の人は、自分のやりたいことができる高校や自分の家の近くにある高校などの自分の行きたい高校に入学できず、不本意ながら入学を望まない高校に入学することになります。これにより、一部の高校生が学習意欲を失ったり、長距離通学を強いられることになり、ひいては不登校や中退にも繋がっています。また、高校入試は、高校を入学難易度によって序列化します。これにより、出身高校による偏見や差別が生まれ、さらに、高校生に歪んだ選民意識や劣等感を抱かせます。そして、高校入試は、同じ高校に同じような人を集めるので、高校内の多様性を低下させます。

高校入試は、社会にも弊害です。高校入試は、子育て世帯に大きな教育費負担を課しています。前節でも述べた通り、中学生の保護者の多くが高校入試準備のための塾・予備校に通わせています。これが、子育て世帯に対する経済的負担になっています。

4. 高校入試は日本特有のガラパゴスな制度である

先進国で高校入試が一般的な国は日本ぐらいしかありません。ほとんどの高校で入学のために入試の受験と合格を要する日本のような国は極めて珍しいのです。

アメリカやカナダのような国々では、高校は、中学校や小学校と同じように学区制なので高校入試はないことが一般的です。

フランスやドイツ、イギリスなどのgヨーロッパの国々でも高校入試はないことが一般的です。ただし、中等教育のコース(普通教育や職業教育など)を決定するための試験や、卒業・修了試験がある場合がありますが、これは日本の高校入試のように学校ごとに行われるものではありません。

韓国では、「平準化政策」と呼ばれる政策が施行されており、高校入試は存在せず、教育委員会が生徒を当人の希望や内申書、居住地などをもとに各公立高校に割り当てます。私立高校や国立高校では、入学希望者から抽選で入学者を決定します。

台湾では、名門高校に無試験入学枠を設置し、また拡大する動きが活発になっています。

そもそも、高校教育まで義務教育である国も多いです。

5. 高校入試は時代遅れな制度である

高校入試は、高校進学率と高校生の数が急増し、設備の建設が追い付かなかった戦後間もない時期の名残であり、現代では全く不必要な時代遅れな制度です。戦前、当時の高等学校にあたる旧制中等教育学校の進学率は20%もありませんでした。戦後、学制改革により新制高校が誕生しました。当時は、高校は志望者全員入学が理想であり、入学者選抜は定員超過の場合に例外的に行うものとされていました[17]。ところが、1950年にはわずか42.5%だった高校進学率が、54年には50%、65年には70%、70年には80%、74年には90%と、わずか20数年の間に急激に上昇しました。また、高校生数も、1950年には193万人しかいませんでしたが、1965年には507万人にと急増しました。このように高校の需要が増大する中、高校が不足したため、例外と原則が逆転し、ついには高校入試をすることが原則となっていしまいました。しかし、高校進学率が飽和し、高校設備も十分にあり、少子化により高校生数が減少している現代では、高校入試は不必要です。今こそ、新制高校の理想であった志望者全員入学を実現すべきです。

高校の入学者受け入れ方式の改善すべき点

当会は、高校の入学者受け入れ方式について、以下のような改善が必要であると考えます。

入学者選抜は廃止し、中3の入学希望者全員に入学を許可する

上で述べたように、不必要であるのみならず様々な問題点がある高校入試は廃止し、原則として各高校は中3の入学希望者全員に入学を許可すべきです。でも述べたように、日本全体では高校の入学定員は12万人も余っていました。また、NHKによると、全国の公立高校の40%以上が定員割れしました[18]。そして、文科省の調査によれば、令和4年に延べ1631人もの定員内不合格が発生していました[12]。したがって、高校の希望者全員入学も決して不可能なことではないはずです。

需要に応じて各高校の定員を機動的かつ柔軟に調整する

なぜ、総量では高校定員は余っているにも関わらず、高倍率の高校が生じるのでしょうか。それは、定員の配分が需要を反映したものになっていないからです。入試を行って入学者を絞るより先に、この不適正な定員配分を是正すべきです。例えば、入学希望者の少ない不人気な高校の定員を減らして、その分、入学希望者が多くて人気のある高校の定員を増やすといったことをするべきです。そのためには、中学3年生に対して進路希望調査を行い、その結果を高校の定員配分や教職員の配置、設備の整備に反映させていくような仕組みの構築が必要です。また、定員そのものについても、定員は入学させなければならない人数のことではなく、入学させてもよい人数であるという認識を定着させ、定員割れを許容し、余裕を持った定員配分をしていく必要があるでしょう。さらに、同じ地域にある複数の高校で定員を一括化したり、公立小中学校のように定員自体をなくすといった、抜本的な改革を検討しなければなりません。

設備や教職員を有効活用する

希望者全員を受け入れるために、高校の設備を最大限に活用するべきです。でも述べたように、高校1校当たり・教員1人当たりの高校生数は減少しています。すなわち、各高校には、空き教室のような、かつては使われていたが現在は活用されていない設備があり、また、担当の授業や担任のクラスをもたない教員がいるのです。入試で入学者を絞る前に、このような不活用設備・教職員を最大限に有効活用し、可能な限り多くの入学希望者を受け入れるべきです。

上記①~③を踏まえ、文部科学省は、現行の高校入試の法的根拠となっている学校教育法施行規則[13]第90条を改正すべきです。また、都道府県等の地方公共団体も、同条第2項・第3項が高校入試をしないでもいいことを認めていることや、条例制定権を活用して、上記①~③を行うべきです。

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代表:竹岡