当研究室では、場の理論や量子力学を用いた解析計算(手計算)および、fortran 等による数値計算を主に用います。「量子力学1,2,3」および「計算機処理・同演習」の履修を推奨します。各学年での活動内容は以下の通りです。
4回生
【前期】卒業研究1
理論系研究室のゼミを二つ受講する。(一つはハドロン研)
ハドロン研でのゼミ
... 相対論的量子力学に関するテキストの輪読(日本語 or 英語)
【後期】卒業研究2
卒研に関するゼミ
卒業論文の執筆・発表
大学院生
場の理論に関するテキストの輪読
修士論文に関する個別ゼミ
日本物理学会や研究会、国際会への参加。研究成果の発表。査読論文執筆。
修士論文執筆
研究室訪問を歓迎します。
近年、charm quark や bottom quark といった (陽子や中性子をつくるup quark や down quark に比べ) 重いクォークを含んだ新しいハドロンが続々と発見されています。これらのヘビーハドロンの構造は、軽いクォークと重いクォークの大きな質量差のせいで、軽いクォークだけで構成されるハドロンより、内部構造をシンプルに記述できる可能性があります。これまで軽いハドロンだけではわからなかった、内部構造とハドロンの性質 (質量や寿命など) の関係を明らかにすることができるかも知れません。
これまでハドロンはクォーク3 つ、もしくは、2 つの組み合わせで出来ていると考えられてきましたが、最近、4 つや5 つの組み合わせでしか説明できないような、新ハドロンについての報告が続々となされています。このような新しい形態のハドロンは、エキゾチックハドロンと呼ばれ、様々な実験施設で探索が行われています。この他にも、単一のハドロンだと思われていた粒子が、実は二つのハドロンの束縛状態であるというハドロン分子共鳴など、これまでの単純な模型では記述できないハドロンの性質解明を目指しています。
ここでも解き明かしたいのは、内部構造がハドロンの性質にどのように影響するかです。量子力学的状態では、同じ量子数をもつ状態は互いに混合し、物理的状態は「複数の異なる存在形態の重ね合わせ」になる可能性があります。我々は、このような混合効果がハドロンの性質の「どこに」「どのように」反映されるか、何を見たら内部構造が分かるか、について研究をしています。
中間子原子核束縛系
核子を構成するクォークの質量は一つあたり 5MeV程度なのに対し、核子は一つ約1GeV (1000MeV) 程度しかありません。『部品を組み立てたら、材料よりはるかに重いものができた』ことになります。なぜそんなことが起こるのか︖ この謎を解く鍵としてカイラル対称性の破れと言われる現象が理論的に提唱されていますが、これを実験で確かめるのは容易ではありません。
当研究室では、ハドロンを原子核に束縛させた系に注目し、ハドロンを有限媒質中に入れた際の性質の変化を見ることで、この謎を解こうとしています。