撮影でよく行く場所のひとつに、神社仏閣がある。
この頃は、お宮参りや七五三で参拝する様子を撮ってほしいと、出張撮影の依頼を受けている。
わたしにとっても好きなパワースポット。行く度に運気も上がっている気がして嬉しい。思い入れがつよくて、神社風景というページもつくってしまった。
土地勘のないわたしの東京の地図は、神社をもとにつくられていく。
神社では、できるだけ、失礼のないような態度を心がけている。そもそも、依頼されているとはいえ、神社からみれば見知らぬわたしが、境内でバシャバシャ写真を撮っているのである。神様から「誰?」と思われないためにも、まず一番最初に、自己紹介の参拝をする。手をあわせながら、依頼された内容と、撮影させていただく感謝を伝える。
些細なことではあるが、このルーティンを行うようになって、撮影もうまく運ぶようになったように思う。
近々、神社仏閣だけまとめた写真集をつくってみたい。
世界に点在する特別な「場」
写真を撮るときの気持ちが定まらない。ものすごくハッピーにもなるし、緊張もする。じぶんで撮った写真なのに感動して涙ぐむときもある。だいたいが下手だな、と反省することが多い。
今年4月に開催した写真展中に、勢いで ”ポートフォリオレビュー”を初めて申し込んだ。目黒・ふげん社で、雑誌「写真」編集長の村上仁一さんにレビューしてもらうというものだった。A4サイズにプリントした、モノクロの作品を40点用意した。参加者は8名ほどで、学生から作家として活躍する方までいて幅広かった。
わたしの順番がきて、テーブルにプリントを並べた。村上さんから「写真をはじめたばかりですか?」と聞かれて、緊張しながら「けっこう長いです…」と答えてしまった。
20代の頃に撮っていた尾道の作品を持っていったわけだから、写真をはじめたばかりという推測であっている。編集者の目は鋭い。つくづく、大人との会話に慣れていない。
主には、写真集としてまとめる場合の、組み方などのレクチャーをうけた。作品を見てもらうまでは、何を言われるのか恐ろしい気持ちだったが、村上さんは真摯に、誰にでもわかるような言葉で、ていねいに話される方だった。
同じような視点。同じような被写界深度。同じような距離感。縦位置と横位置。それらを分類してまとめ、ふたたび並べていく。
いままで、切り取った内容ばかり考えていたから、客観的に、作品をみつめる良い機会になった。写真集をつくるつもりで、最初から組み写真として考えていくと、もっと違う視点になるだろう。
他の参加者の作品にも影響をうけた。戦っているような、叫んでいるような、どこまでも行けるような、抽象的な写真たち。
まったくちがう世界のそれらが、等しく「写真」であることに、不思議な感覚をおぼえる。まだまだ先は長いなあと思う。
今後は、数枚の構成を意識しながら取り組めたらと思う。今や一冊から印刷のきれいな写真集をつくることができる時代なのだから、その恩恵をうけ、色々と試す方法もある。
コロナになって3年、尾道には一度も帰っていない。レビューの最後に「近所を、旅しているような気分で気楽に撮るのがいいよ」とアドバイスを受けた。
目の前があかるく、ぱあっとひらけたようなフワフワした気持ちになった。それだったら今のわたしにできることだな。
東京をあるこう。休みながら。
気楽に。旅をしているような気分で。
ボスベイビーに影響される
夢中になると、まわりのことが見えなくなるのは悪い癖だと思う。
9月はすこしペースをおとして、ゆっくりやっていこうと決めていたのに、没頭するとそんな決め事もどこかにいってしまう。
休む、という行為がむずかしい。いつも休むことを忘れるので、スケジュールに「休む」といれてみるのだが、それでも忘れる。たとえば、「今日はゆっくり休むつもりだから、カメラを持って展望台でものぼってみるか」と気軽にでかけても、いざ現場に着くと雲のうごきを一日中みたくなり、展望台に朝から日没まで居座り、あげく泥の様に疲れている。休みたいときにカメラを持ってはいけない。
むかしは寝るのも食べることもよく忘れていた。おかげさまで今は、子どもたちを寝かしつけたり食べさせたりするので、睡眠と食事を怠ることは減ってよかったと思う。結婚して子どもを産んで、生活は健全になった。
あとは、ほどよく休めると言うことない。休みたい。
不思議な話だが、今月は休む練習をしている。なのにホームページをつくってしまった。
9月は雨ばかり
あまりにも簡単にページが作れるので拍子抜けしてしまう。Googleサイトすごい。
東京に来てからもうそろそろ10年、このあいだにホームページをつくろうとして何度、挫折したことだろうか。2003年に開設した、地元にいた頃につくったブログもほったらかしだった。
簡単にわたしの過去をふりかえってみる。2003年にフリーで作家活動をはじめた。職業としてフォトグラファーになるつもりはなく、単にすきな写真を撮って個展をしていきたいという思いだけだった。地元福山のおとなりの町、尾道で作品を撮ることを決め、尾道に移住し、とにかくひたすら写真展をおこなった。
そうして、しつこいくらい写真展をおこなううちに、いろんな機会に恵まれて、いろんな人に会い、たくさん写真を撮らせてもうこととなった。
今思うと、ゆめのような独身時代だった。
この10年のあいだに、結婚して上京し、東京で子どもを2人産んで育てた。
わたしの神経のほとんどが育児に費やされて、制作をするような余裕がなかった。今もあまりないが、子どもたちが成長するにつれて、わたしの負担も減っている、ように思う。(この先また増えることがあるかもしれない)
そうしてようやく、ホームページをつくろうと重い腰をあげた。
やりたいことをあげれば、キリがない。それでも時間は有限だから、やれることをひとつずつクリアしていくしかない。今もなお、あいかわらずわたしは、フォトグラファーとして、写真を撮り続けたいと思っている。
ひとり、画面に向かって文章をつづる。ささやかなる、わたしの大きな一歩である。
日増しに、影がながくなっていく
そんなわけでとりいそぎ、ホームページつくってみました。Googleサイトで。
まだ、引越したてのあたらしい部屋みたいに、がらんとしたページです。
これから、すこしずつ手をくわえながら、充実させていければいいなと思います。
マイペースですがよろしくお願いします。
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今年の夏は、暑い中、たくさん写真を撮らせてもらった。
あまりにも暑いので、風が吹くダウンジャケット(工事現場の方がよく身につけているやつ)を
買ってみたけど
バタバタしているうちに試せず秋になってしまったようだ。
昨夜は中秋の名月で、家族で月をみるために夜道を歩いた。
月を追いかけて歩くのは久しぶりだった。
すっきりとまるい月が夜空に浮かんでいる。
うさぎはどこにいるかな?と娘の方をみると、ベビーカーで気持ちよさそうに眠っていた。
吹く風がとても気持ち良い夜だった。