事前課題の説明を動画とテキストの形式で公開しています。いずれかを確認した上で、事前課題を行ってください。
はじめに
こんにちは。イメージフォーラム・サマースクールの制作講座「ガタゴトフィルム・ワークショップ 写真で作る日記映画」に興味を持ってくださり、ありがとうございます。講師の野村建太です。
この講座は、8月3日(月曜日)〜5日(水曜日)までの3日間、渋谷のイメージフォーラム3階「寺山修司」で開催します。
そこでは参加者の皆さんに、「ガタゴトフィルム」という日記映画を作っていただくのですが、事前課題として写真を撮ってきてもらう必要があります。この映像のなかでは、ワークショップの概要と、事前課題の説明を行いますので、各自ご参照の上、参加をご検討いただければ幸いです。
資料の説明
今回でこのワークショップは3年目になり、毎年少しずつ改良しながら行っています。これまでは、最初の一日目を講義中心に行っていたのですが、今年は作業にかける時間を長くとるため、なるべく講義は少なくしたいと考えています。昨年までの講義の内容は、テキストにしてネットにアップしています。このテキストでは、日記映画について、私なりの理解をまとめていて、ネット上で見ることができる作品のリンクも紹介しています。事前課題の合間など、好きな時間に読んでみてください。ワークショップへの理解がより深まると思います。
ガタゴトフィルムの概説
さて、まずワークショップの概要です。タイトルになっている「ガタゴトフィルム」というのは、私が2010年から制作している日記映画のシリーズです。
実際どのような作品かというのは、ワークショップの1日目に参考上映します。ここでは簡単に説明すると、毎日少しずつ撮り溜めた写真を一気に連続して見せることで、撮影にかかった月日を圧縮して見せるという作品です。例えば2023年に完成した作品では、5年間を11分に圧縮しています。走馬灯のように流れ過ぎていく映像になりました。
電車の窓から、隣の線路を見ているところを想像してみてください。線路の上には等間隔で枕木があって、長方形に区切っています。そこに写真が並べられていて、その横を一気に走り抜けながら写真を見ていくという感じです。一枚の写真から次の写真へ移り変わるときに生まれる滑らかではない動きと、電車の走行音から、ガタゴトという名前を付けました。映画のなかにも、何度も電車の映像が出てきます。
一枚一枚の写真は高速で流れ去っていくので、何が映っているかはハッキリと分からないですが、見る人それぞれの頭の中で、一種の物語として組み立てられていくということをねらっています。
私の作品の場合、素材は私自身が日常目にする物や風景ということになりますが、自分の生活を見せたいという訳ではなくて、断片的な映像を一気に見せるというこの日記の形式が面白いと考えています。ですので、仮にガタゴトフィルムと呼んでいる作品にとって、私が撮影した素材であることは必要条件ではありません。この手法を使った色んな人の作品を見てみたいと考えています。皆さんの作品を見るのを、とても楽しみにしています。
ワークショップの概要
ワークショップは、事前課題と3日間の対面での講座で構成されています。
事前課題では、ワークショップへの参加を決めた日から、毎日写真を撮ってきてもらいます。撮影のやり方については、後ほど詳しく説明します。
・1日目
対面講座の1日目は、私が過去に制作したガタゴトフィルムを参考上映し、作り方を解説します。参加者の皆さんは、事前に撮影してきた写真をどのように整理し、作品としてまとめるかを検討します。考えがまとまった方から、作業を開始してもらいます。写真の整理にはノートパソコンを使用しますので、ノートパソコンは各自ご準備ください。WindowsでもMacでもどちらでも大丈夫です。
・2日目
2日目は作業日です。写真を整理し終わったら、動く映像に変換します。この映像を各自見てもらって、作品の完成形を決めていきます。
変換する作業は講師のパソコンで行いますが、映像編集ソフトを持っている参加者の方は、ご自分のパソコンで作業してもらっても構いません。AdobeのAfter Effectsを使って作業しますが、同じくAdobeのPremiere Proや、Final Cut Pro Xでも同じことができます。
また、映像編集ソフトを持っていないけれど、自分のパソコンで作業したいという方は、安価に購入できるソフトとして、Stop Motion Studioのデスクトップ版をお勧めします。Mac版は15ドルで購入できます。先程調べてみたところ、Windows版は日本向けには販売を停止しているようです。これはストップモーション・アニメーションを作るためのソフトで、スマートフォンやタブレットに無料でダウンロードできるのですが、有料版だと静止画像を読み込んで動画に変換することができます。
・3日目
3日目は完成作品の上映会です。私から作者の皆さんに、どのようなことを考えながら作品をつくったのかインタビューし、作品理解を深めたいと考えています。また、お互いの作品についてどのような物語を受け取ったのか、参加者同士で意見交換を行ってみてください。
事前課題の説明(撮影のやり方)
事前課題の写真の撮り方について、具体的に説明をしていきます。
・毎日写真を撮る
事前課題では、ワークショップ参加を決めた日から、毎日写真を撮ってください。
・1日に15枚撮る
写真を多く撮った方が、長い作品になります。今回は、1秒間に15枚の写真を使うことを基本と考えているので、例えば30日間、毎日15枚の写真を撮影すれば、最低でも30秒間の作品になります。
1日15枚撮ることを目標に、最低でも5枚撮影してみてください。
・撮れない日があっても大丈夫
とは言え、撮り忘れてしまうことも当然あると思います。何を撮って、何を撮らないかということを自分の中で決めるまでに時間がかかると思います。また、仕事が忙しくてそれどころではなくなってしまうということもあるでしょう。
撮れない日があっても焦らず、自分のペースで、好きなものを撮影してください。
私の場合は、毎日日めくりカレンダーをめくって、その日の日付を3カット撮影するというのを、今年になってから朝の日課にしています。最初にロングの絵を撮って、次に少し近づいて撮り、最後に日付をアップにして撮ります。また、私はフリーランスで基本的に家にいるので、妻が毎朝出勤していくところを撮影しています。日によりますが、平均して10枚くらいは撮っているのではないかと思います。それ以外は特に撮るものを決めず、常にカメラを持ち歩いていて、撮りたいと心に強く思った瞬間に撮影するようにしています。
・使用するカメラについて
使用するカメラは一眼レフ、コンパクトデジタルカメラ、スマートフォンなど、種類は問いません。
ただ、複数のカメラの写真が混ざると作品化する際に処理が煩雑になるため、一種類のカメラで撮影してください。
・持ち歩けるサイズのデジカメがおすすめ
カメラの種類は問わないと言ったばかりなのですが、スマートフォンは日常的に別の用途でも使うため、様々なデータがカメラロールの中に混在しています。作品として使う素材を整理するときに、作業がより複雑になってきますので、あまりお勧めしません。ワークショップ専用のカメラを準備してもらうと良いと思います。
おすすめは、常に持ち歩いていても苦にならない、コンパクトデジタルカメラです。使わなくなったスマートフォンがあるという方は、それをワークショップ専用として持ち歩いても良いと思います。
最近は、キーホルダー型のデジタルのトイカメラなども販売しているので、そういうものを使ってみるのも良いと思います。そういったカメラは、大抵あまり画質が良くないのですが、このワークショップで作る映像作品では、1枚1枚の写真はほんの一瞬しか表示されません。画質が低くても、ピンボケでも、全く問題ありません。
・横位置(長辺を横)で撮影
写真の画角は、長編が横向きになるように、横位置で撮影してください。なぜなら、上映するスクリーンが横に長いからです。スマートフォンを使う場合は、縦位置で撮影することに慣れていると思うので、間違えないように横に向けて撮影してください。
・ガタゴトフィルムで目に残る写真
今回制作するガタゴトフィルムは、高速のスライドショーのような作品です。1枚1枚の写真はじっくり見る訳ではなくて、一瞬だけ表示されて、すぐに次の写真に移り変わっていきます。
例えば、同じ対象を何枚か連続して撮影すると、その対象が見える時間が長くなります。また、連続ではなくても、同じ対象を定期的に撮影すると、繰り返し表示されることになるので、見ている人の目に残りやすくなります。作り手の対象への思い入れの強さが、表示される時間に反映される映像作品だと考えてみてください。
・ガタゴトフィルムで写真が映えるコツ
ガタゴトフィルムでは、瞬間的に目に入るものしか頭に残りません。
例えば、家族や恋人を撮影したとして、その人の顔がはっきり写っていても、一瞬なので顔はよく分かりません。撮影対象との距離感から、親密な人なのだなということは伝わると思います。
一瞬のうちに伝わることは限られているので、1枚の写真にあまり沢山の要素を入れないように注意したいです。じっくり見ないと分からない写真は、何が写っているか分かりません。
特に、スマートフォンなど、撮影中の映像を大きな液晶画面で確認しながら撮影できるカメラだと、一つの画面に多くの情報を配置してしまいがちです。そうすると、写真を撮るときに見せたかったものが、映画になったときにはよく分からないということが起こってしまいます。
大きな液晶画面を見ながら撮る場合も、自分が興味を持った対象を、画面全体に配置することを意識して撮影してみてください。
ファインダーのあるカメラであれば、50mmなど人間の視野に近いサイズのレンズで覗きながら撮影すると、撮影者のまなざしが残りやすいと思います。
・出来事は写らない
私は常々、「出来事は映らない」と自分に言い聞かせながら撮影しています。自分にとって大事な出来事が起きているからといって、そのときの写真を撮っても、そのときの出来事そのものは写らないということです。
それよりも、視覚的な事件を撮影して残そうと意識しています。例えば天気が良い日に窓から光が入ってきてレースのカーテンに美しい形を作っているところであるとか、街を歩いているときに見つけた特徴的な形の陽だまり、いつも通る道で見かける工事現場の様子などです。工事現場は撮影する度に少しずつ変化していくところが視覚的に面白いと感じています。
・これまでに撮った写真
最後に、今回のワークショップのために撮影した写真以外でも、作品に使いたい写真があれば持ってきてみてください。
ワークショップ用に撮影した写真と画像のサイズや向きが違ったりすると、上手く一つの作品にできないかもしれませんが、確認して使えそうであれば作品に入れてみましょう。
おわりに
以上で説明は終わりです。もし何か質問があれば、私のホームページの問い合わせフォームから送ってください。それでは、ワークショップ当日に皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。
野村建太 June 6, 2026
講師が過去に制作した「ガタゴトフィルム」からの抜粋映像です。
過去のワークショップで行った日記映画についての講義をWEB記事にまとめた文章です。ネット上で見られる作品のリンクも紹介しています。日記映画について、より詳しく知りたい人は事前課題の参考に読んでみてください。
※ 講義編④〜⑤は後日公開予定です