(1991年公開)
監督 マーク・L・レスター
作品紹介
サクサク進みすぎて話が全く理解できない?
ドラマがない?
日本描写意味不明? この祭りは、中国っぽくない?
そんなの関係ねぇ!!
この世には、アイドル映画と言うものがございます。
話は何度も観ても意味不明だったり、「え? そのロジックはSFにしても雑すぎない?」となったり、、、
(もちろん、面白くて、出来の良いアイドル映画もございます)
だけど良いのです!
「綾瀬はるかがとにかく可愛いから!
とか、
「新垣結衣が可愛いから!」
とか、
「橋本環奈が可愛いから!」
などなど、枚挙に糸間がないほど、兎角日本人は「可愛いは正義」と言って、作品についての駄作性はひとまず棚上げする風潮がございます。
これらの作品はおそらく監督が心底、女優に恋し、ある種のフェティッシュが作用して、この様な作品が出来上がるのでしょう。
では、本作リトルトウキョー殺人課は「誰が誰に」恋しているのか?
もちろんマーク・L・レスターがドルフ・ラングレンに恋している。
いや、「コマンドー」の後と考えると、シュワルツェネッガーから浮気して、ドルフ・ラングレンをカッコよく撮る事にだけに終始してる!!
別に監督インタビューや役者陣のコメントを読んだ訳ではない(この作品にそう言った資料があるとも思えない)。エビデンス、出典、引用元はゼロである事は声高らかに言うが、アジアの大スター、ブルース・リーの息子ブランドン・リーの扱いの雑さに、ドルフ・ラングレンへの愛が感じられる。
Amazonのストーリー紹介にはこの様な文章が記載されている。
「ジャパニーズ・ヤクザに支配され、凶悪な犯罪都市に変貌したL.A.リトルトウキョー。ロス市警の刑事ケナーは相棒のジョニーと共にヤクザ顔負けの強引な捜査で組織壊滅を狙う。そしてついに組長と対峙の時を迎える。ケナーは両親を惨殺した男と同じ刺青を組長の体に見つけ、正義感を超えた怒りを燃え上がらせる! 鍛えぬいた肉体を武器に、ドルフ・ラングレンが壮絶な死闘を繰り広げるポリス・アクション。ブルース・リーの息子ブランドン・リー共演。」
まずまず、長い歴史を振り返ってもロサンゼルスで、否アメリカで、ジャパニーズ・ヤクザが現在のメキシコ系ギャングの様に問題になった事は無いであろう。しかし、スーパー強引に説得的に考えるのであればL.A.と言う土地柄と当時の日本の機運に対する脅威があると思われる。
ロサンゼルス暴動(92年)に代表される様に、ロサンゼルスは比較的人種差別的な土地柄である事が伺える。本作が91年公開である事を踏まえると、大変「おめでたい」作品にも見えてくるし、どことなく「良い気なもんだな」感も否めない。また、実はロサンゼルスがあるカルフォルニア州内には戦時中に日系アメリカ人の強制収容所であった「マンザナー強制収容所」がある。
(同じ州にあるだけで、距離にして350キロ離れており、ロサンゼルスとは関わりは基本皆無と言って良いだろう。)
この様な日本人、日系に対する負の側面とロサンゼルスの差別的土地柄が作用して、映画内の間違った日本文化表現になったと思えなくもない。
また、91年当時は日本景気もよく、いわゆる俗にバブル景気と呼ばれている時期とかぶっている。本作のヤクザが持ち込んできている「日本製の薬物」は、海を越えてやってくる日本製品がアメリカ製品を駆逐していく様を表現しているのかもしれない。
では、積極的な好意的解釈を前提とした時に、ドルフ・ラングレンはなんのメタファーを表しているのだろうか?
もちろん!!
それはユナイテッドステイ!!
合衆国のヒーローを表している!!
日本に造形の深いはずのラングレンが「トンデモ日本」を受け入れている。そして、日系設定のブランド・リーを雑に扱い、アメリカから日本へのマウントを取ろうとしていると考えられる!!
で、なければ金髪、碧眼、筋肉モリモリと絵に描いたような「アメリカ白人マッチョ」を起用するだろうか!
つまり、本作は監督の浮気心を満たしつつ、日本マウントを取りアメリカの自尊心を満たすための作品だったのだ。
「ラスボスの最期に新しい学校のリーダーズ味を感じる。時代がこの映画に追いついた!」
と、当学会幹部がコメントを出していたが、新しい学校のリーダーズにも失礼だ! むしろ、こんな映画に時代が追いついて欲しいとも思えない。とだけ管理人からは付け足しておこう。
80分以内の親切設計。絶妙な日本語と片手でデザートイーグルをぶっ放し、陣羽織にM16ライフルという出立で登場するドルフ・ラングレンが見たい方にお勧めです!