安眠 [R15] 中編(ロベリア視点)
安眠 [R15] 中編(ロベリア視点)
目の前の光景が未だに信じられない。
あの天星剣王が真っ白な首元を晒して横たわっている。まるで死体のようだ。肺も心臓も小さくゆっくりと動いている。限りなく音を消して眠るので、間違えて発する音まで消してしまったかと思ったくらいだ。首に手をかけると脈の音を微かに感じ取れる。手を胸に滑らせると心臓の鼓動も感じ取れる。
このまま力を込めて骨を折ったらどうなるだろう。魅力的な選択肢だが、部屋に入れてくれて隣で寝かせてくれる相手が今後一切いなくなるだろうことは容易に想像がつく。
こんなにも無防備に眠られると何かしたくて仕方がない。あのいつも自信に満ち溢れ、己の強さを誇る男がオレの能力を頼りすがってきたのだ。笑顔で感謝してきた時には愛らしく思わずキスをしてしまうくらいだった。早く帰ってきて欲しいと言った時、どんな顔をしていたか本人はわかっていないのだろう。あんな媚びた顔を見せる方が悪い。徐々に依存させて美味しく頂こうと思っていた矢先にこんな無防備に眠るだなんて、興奮してきた。首元に顔を埋めて匂いを嗅いで、頬を指で突いても眠ったままだ。唇を重ねてみても反応はない。さっきは顔を真っ赤にして慌てていたのに。
人形のように静かに横たわる体に触れ、撫で回し、舌を這わせた。触れ合う肌は温かく、飽きることがなかった。
いかに起こさず異変を感じ取られないように抱けるのか、慎重に尻の穴をほぐして根元まで陰茎を沈めきった時の達成感は最高の快感で、すぐに達してしまった。あまりに早かったから相手の意識がなくて本当に良かった。
行為は夜を迎える毎に段々とエスカレートしていくが、シエテの体調は朝を迎える毎に良くなっていった。顔色も良くなり体の動きも元に戻りつつあるらしい。不調でもいつもと変わらなく充分に動けていたということは、普段はどれだけ手を抜いて戦っているのだろうか。
日中あまり顔を合わせることはないが、体を好き勝手されていることには全く気がついていないようだ。目覚めても何も言ってこない。どれだけ鈍いのか。
なんだか面白くなくなってきて態と痕跡を残すようになった。乳首が赤くなるまで弄ったり、顔射して口元に精液を少し残しておいたり、中に出したものを全て掻き出さないでおいたりした。いくらなんでも気がつくだろうことを続けた。
「ちょっと待って。あのさぁ、いつも感謝してるけどさー」
いつものように同じベッドで隣り合い、魔術をかけようと手を近づけたタイミングで話し始めた。こちらを見る目は不安そうにしているのに、口を尖らせて責めるような口調をしている。
「その割には不満そうだ」
「寝てる間に何かしてない?」
「ナニか?」
質問に質問を重ねる。とうとう気がついたようだ。今からどんな修羅場になるのか期待に胸が熱くなる。
「俺の体に……なにか……その……」
予想外にも頬を赤らめて言いにくそうにしている。問答無用に剣で切りかかってくるかとも思ったが穏便に済ませようとしている。
「くはっ! ああ、してるよ」
見ていない、触れていない場所はない程度にはしている。固く閉じていた穴が柔らかく吸い付くように俺が躾けた。
「だよねぇ、やっぱりそうだよね。お前、同意も得ずにそういうことするのはだめでしょ」
未だ諭すように話を続けるので、こちらも対話を続ける。
「何故? キミはオレのおかげで眠れてるんだから、オレだってご褒美を貰いたい。近頃は体の調子がいいって喜んでいたじゃないか」
「ご褒美って……うーん……いや、でも」
悩んでいる。シエテの中では、毎晩かけている俺にとって簡単な魔術がよほど大事なようだ。こちらの手札の価値がわかれば対価の要求もしやすい。
「キミがいつまでも気がつかないのはフェアじゃないと思ってわざと痕跡を残していたんだ。今後は痕跡を残さないようにするから、安心して眠り続けてくれ」
シエテは眉間に皺を寄せ、目を瞑って暫くの間うんうん唸って頭を抱えてからようやく決意したようでゆっくりと口を開いた。
「……痛いのと、口に何かするのだけはやめてよ」
何もするなだとか、抱くのは勘弁して欲しいとか言われると思っていたが、言うに事欠いて口とは。彼の中での優先順位が理解出来ない。抱かれても構わないと言っているのだと、わかっていないのだろうか。口にだけ触れないようにすればいいなんて簡単なことだ。
「くはっ! 今までも痛くはなかったろう? それに今後は口だけは避ける。約束だ」
「他は……いいや、どうせ対抗できないんだし。体の調子はいいし。あいつもお前のこと苦手みたいで……」
「アイツ?」
聞き返すとこちらに背を向けて横たわった。
「いやいや、なんでもないよ。魔法、よろしくね」
仄かに色づく耳の近くで指を鳴らす。熟れた果実のような色になっている耳に、今すぐに喰みたい衝動をぐっと堪える。シエテは緊張しているのか眠りにつくまでいつもより時間がかかった。それでも尚、熟睡できるのだから彼の神経は相当図太いのかもしれない。
意識のない状況での一方的な行為も背徳的で気持ちが良かったが、今後は合意の上での行為だと思うと余計に興奮した。相変わらず人形のように動かないが抱き続けると体もこちらを受け入れやすく変わってくる。柔らかく挿れやすくなっているだけでなく、中の前立腺を指で重点的に刺激すると体が反応するようになってきた。足の先を丸めて感じている。
そろそろ挿れるかと脚を持ち上げて、ガチガチに固くなった陰茎をゆっくり沈めていく。散々弄った前立腺を抉るように角度をつけると、シエテの喉からくぅんっと小さく声が漏れた。
その声を聞いた瞬間、理解してしまった。声が出た方がいい。反応があった方がより興奮できるのだと。
どうして今まで声を出させず、音も立てずに我慢出来ていたのかわからない。小さな呼吸音だけじゃ満足出来ない。大きな声で喘がせたくて堪らない。腰だって音を立てて打ちつけた方が絶対に気持ちがいいに決まっている。
早速、シエテの音を戻すように指を打ち鳴らした。