学部生(学内進学)

研究室の概要

本研究室は大きく,

を行っています.何かしら目で見えるアウトプットを得られるような研究を実施したいと考えています.場所は理学部IV号館 4F 4440室です.エレベータを出て右手に進んですぐ左手に学生居室(4440),右手に教員居室(4443)があります.


やること

基本的には考えたアルゴリズムをプログラミングすることが中心となりますが,人によってはRaspberry Piや,光学部品などを触ってものを作ることもします.動くものを作る喜びは工学の文脈で語られることが多いですが,個人的に情報科学は理工融合的な分野だと思っており,学生の就職先もシステムエンジニアなどが多いでしょうから,ものを作る経験は,理学部の中にあっても,非常に教育的だと考えています.

みなさんが学部で中心的に取り組んできたJava言語ではなく,計算速度からC/C++をメインで使用します.また,GPU(Graphic Processing Unit)を使う場合や,FPGA(Field Programmable Gate Arrays)を使う場合には,それぞれ対応した言語を使用することになります.なにか一つの言語をしっかりと取り組んでいれば,文法の差はすぐに吸収できます.JavaとCなら文法的には近いですから,習得は比較的容易だと思います.このあたりについては,下の必要な知識,技術も参照してください.


運営ポリシー

学生の皆さんには自分の能力を高めることを最優先に動いて欲しいと考えています.学生の皆さんに研究成果を強く求めることはしません.もちろん,研究活動をしている以上,学会発表や論文化,プレスリリースなど,目に見える成果が出ることが望ましいです.さらに言えば,研究を生業の一つとしながら学生指導をする身として,学生の皆さんと立派な研究成果を創りあげることが出来れば,これほど心強いことはありません.ただ,皆さんのモチベーションは様々です.また,私自身は,学生である期間は自分をしっかり認識して磨いていく期間だと思っています.皆さん自身にも,その意識を持っていて欲しいと強く思っています.これらの理由から,研究はあくまで手段であり,研究を通じて様々な能力の向上に努めて欲しいと思っています.支援は惜しみません.


こんな人にオススメ

難しいことをシンプルに説明できたら気持ち良いな,と思える人.プログラミングスキルを高めたい人.未来技術を作ってみたい人.

社会人基礎力(プレゼン力や論理的思考力など)を高めたい人


必要な知識・技術

少なくとも授業で取り組んだ内容はよく理解した上で配属してください.プログラミングや計算機の知識,技術は必須です.物理周りや画像等の知識もあるとなお良いでしょう.もし不足を感じるようなら,3年秋学期のうちに取り戻しましょう.また,英語力は徐々にマストになってきます.後の研究に関する補足でも書きましたが,研究とは誰もやっていないことをやる,ことです.そのため,「誰もやっていない」を示さなければ行けません.これには広範な調査が必要です.私達の研究は世界各国で競い合うジャンルですから,論文等の文献は基本的に英語です.また,発表する際も可能な限り英語であることが望ましいです.もし,英語やプログラミングがすごい苦手,ということであれば,どうすれば苦手じゃなくなるかを考えて,あるいは,アドバイスを受けてください.知識や技術は努力すればいくらでも身につけられます.


プログラミングについて

スキルレベルとして,言語不問ですが,入門書(大学の初級授業で使う程度のもの)は,十分に理解していることが最低限求められます.テストの問題が解けるというよりは,欲しい出力の得られるプログラムを,ゼロベースで書ける or 読めることが重要です.研究室に入ってからでも学習は可能・必要ですが,授業内容の一通りの習得を前提に研修等を進めていきますので,初級レベルのプログラム構造が理解できていないと,なかなか大変であろうと思います.一方,競技プログラミングや商用プログラムを書く程のスキルは全く求めません(あるに越したことはないです).

プログラミングスキルとは,言語仕様(文法など)をよく知っていることばかりが重要ではありません.それよりは,プログラムを構築するための思考力こそがスキルです.例えるなら,ことわざや難しい漢語をやたらと多用する小説は人気が出るでしょうか.平易な言葉であっても,よく構成の練られた絵本の方が楽しく読めそうな気がしませんか?同じようにプログラミングでも,少なくとも学生のうちは,難しい・特殊な文法を使うより,簡単でわかりやすい関数等のみであっても,しっかりとした(=正確に動く,他人も理解できる)プログラムを書いた方が良いです.これには考える力と経験が必要です.研究活動を通じて,必要なスキルを身につけていきましょう.

昨今の情報系人材の需要増から,オンライン教材を含めて,プログラミングの学習環境はかなり良いものが多いと思います.もちろん,大学の授業でも提供していますが,独学も非常に重要です.大学とは自ら学ぶ場です.学びは一生続きますから,学ぶことの訓練の1つとして,必要なスキルは,自ずから,様々な手段を持って習得しようとすることを心がけてください.学び方についてはいくらでも相談に乗ります.


身につけられること,身につけて欲しいこと

プログラミング等のスキルもそうですが,社会人基礎力も非常に重視していますです.具体的には文章力やプレゼン能力,論理的思考力などです.大学や大学院での研究が,直接社会に出てから役立つということはおそらく稀だと思います.私も修士を卒業してから企業に勤めましたが,最低限プログラミングのスキルは役に立った一方,それよりも,研究を通じて得た思考力やプレゼン能力(入社後にかなり鍛えられましたが・・・)の大切さを痛感していました.本研究室では,論理的に文書/文章を書き,必要であればPowerPointでのプレゼンをゼミ等で行い,ときには研究以上にしっかりと指導することで,これらの能力の醸成を図ります.


研究環境

理学部IV号館 4F 4440室が学生居室です.学生には,基本的に1席分のスペースとPC,ディスプレイを貸与します.自分の城ができます.自身のPC等を持ち込んでいただいても構いません.高性能計算機を必要とする学生には,高性能GPUが搭載されたPCを貸与,あるいは共用で使用頂きます.


研究テーマの決め方

主宰者がサポートする研究テーマを中心にテーマ案を提示するスタイルを原則としようと考えていますが,皆さんからのテーマ提案は大歓迎です.あまりにも分野外なもの(卵焼きの上手な焼き方とか)は実施を躊躇しますが,基本的に,皆さんのアイディアをベースに進められることが理想だと思っています.素人発想は,できるうちが大変に貴重なので,躊躇せずどんどん提案してほしいです.一方で,我々もそうですが,発見した研究テーマは調べてみると誰かがやっていることがとても多いです.なので,教員との議論と,皆さんの調査活動のなかで,研究としてなり得るものを見つけていきましょう.どうやって見つけるかは,下の「研究とは?」を参考にしてください.


研究の進め方

週1回ゼミを開催し,2回に1回程度のペースで進捗報告してもらう運用としています.また,少なくとも配属~研究が軌道に乗るまでは,月1回程度,1-on-1での短時間ミーティングを実施し,ゼミでフォローしきれなかった部分をサポートします.

研究スケジュールの予定です.毎年改善する予定です.


3年生

※10月~1月,3月は30分程度の1-on-1面談を実施


4年生


当研究室は,基本的に対面コミュニケーションを重視しています(感染症流行時等においては別です).そのため,原則的には空いている日中は研究室にいるようにお願いしています.教員は学生の顔色を見ながら手助けをでき,学生は教員,先/同/後輩にすぐに頼れる環境に置くことが進捗が進みやすく,精神衛生上も良いと考えるためです.今のところコアタイムを設定する予定はありませんが,多くの学生が1年と少しでフルタイム勤務を始めることを考えれば,徐々に体と心を慣らしていった方が順調な社会人生活のスタートを切れるでしょう.私の実体験からです.また,来ない人は進まない,というのは,私の経験則上,成立することが多いです.来やすい,長く居たい環境づくりは努力していきますから,ぜひ,研究室の空間を活用して,楽しんでください.


進学について

大学院進学はかなり積極的に勧めます.はっきり言えば,1.5年程度では,研究の面白さ,あるいは,研究活動から得られるスキルの習得は不十分のまま終わってしまう可能性が低くないと考えています.一般に,国公立大学・理系学部の大学院進学率は6割程度だったと思います.また,大手私立大学の理系学部も高い水準のところが少なくありません.これの意味するところは,理工系大学生に社会が求める学力・能力水準は,修士卒が基準になりつつある,といっても過言では無いということだろうと考えています.社会は競争です.また,学生は失敗できる期間です.失敗こそ学び成長する機会です.本学は大学院の学費が国立並かそれ以下です.もちろん,様々な事情がありますが,それらが許すのであれば,積極的に検討していただくことをお勧めします.

大学院の期間は,多くの人にとって,自分の意志で学問を純粋に追求できる最後の期間です.自分が立てた仮説を,自分が立てた計画に沿って,自分の手で実施し,結果を自ら文書やプレゼンにまとめる作業から得られる経験は,2年早く社会人になって得られるものとは,また違った,そして大きな価値があるものです.他大学への進学も考えて良いと思います.ただし,研究テーマが似た教員でなければ,大学院から新たな研究をスタートすることになり,一層の努力が必要になるでしょう.大学院進学については,ぜひ前向きに考えてください.できるところで支援します.


(補足) 研究とは?

様々な定義があると思いますが,簡単にいえば,「世の中で誰も知らない,何かしらの価値があること」を見出す作業です.創薬などはとてもわかり易い例だと思いますが,今までなかったものを,見つけたり,作り出したりすることが,研究の意義であり,醍醐味です.言い方を換えると,答えのある問題ではない,ということです.もちろん,仮説検証が研究のベースである以上,答えを想定して研究に臨むべきですが,正しい答えを誰も知らないのが,研究です.研究を進めるうちは,まさに暗中模索で,成果が出なかったり,信じていたことが間違っていたりすると,救いようのない絶望感に襲われることもありますが,予想があたったり,私の場合だと計算がぐんと速くなったりすると,目に見えるもののすべてが光り輝いて見える,ぐらいの喜びに満たされます.つまり,研究はとても楽しいものです.語弊を恐れずに言えば,最高の趣味であり,多分,多くの研究者はこの喜びが忘れられていないのかな,と思います.ぜひ,自分の手で答えを探り当てて,この上ない喜びを味わってください.