近年、「発達の気になる子ども」が増えていると言われています。特に幼少期には、保護者が子育てに苦慮しながらも、その育てにくさに気づかず、日々の子育てに行き詰まりを感じている現状があります。核家族化が進み、地域での支え合いも少なくなってきた今、子育てについて気軽に相談できる相手が見つからないなど、保護者(特に母親)への負担が集中しているのを感じます。本来なら幼少期は親子の信頼関係の基礎を築き、少しずつ保護者以外の大人や同年齢の子どもに目が向いていく時期ですが、このような親子は周囲になじむことが難しく孤立してしまいがちです。
私たちは、保育現場で長い間過ごしてきた中で、子どもたち、そして保護者から多くを学びました。その中には、「普通とは?」「みんなと一緒とは?」と改めて考えさせられる出会いがありました。さまざまな子どもがいるということに対する理解が進みつつあるものの、当事者、そして保護者、また現場の保育者らも多くの悩みを抱えていることを、現場で子どもたちにかかわるほど感じます。
私たちは、これまでの保育現場や研究活動の中で、子育てに不安や閉塞感を抱える保護者に出会い、現代社会の子育て環境の変化を再認識し、子育て中の親子へのサポートの必要性を実感してきました。現場を知っている私たちが、子どもたちや保護者や同僚らから教わったことを伝えていくことで、解決することは無くても、その悩みを、不安を少しでも小さくすることはできるのではないかと思います。また、発達の気になる子どもとその家族が、いきいきと自分らしく生きていける社会、また、すべての子どもとその家族が、お互いにのびのびと育ち合える地域社会作りが必要だと考えています。
この法人は、障がいの有無にかかわらず、発達に心配のある子どもとその家族、関係者に対して、居場所づくりや、専門的視点での発達支援、家族の交流や学びの支援、発達障がいに関する地域啓発活動等の事業を通じて、子どもの健全な育成と家族の成長を促し、すべての子どもが健やかに育つことができるまちづくりに寄与することを目的に設立します。