第15回研究会
2025年10月19日15:00開始
会場:上智大学四谷キャンパス3号館313号室イスラーム地域研究所(Zoomでのハイブリッド開催)
今回は当研究会会員の山口匠さんと池邉智基さんに下記の要領でご報告いただきました。
山口匠(人間文化研究機構人間文化創発センター・研究員/グローバル地中海地域研究東洋大学アジア文化研究所拠点・研究助手)
「増殖するジンのイメージ:テクスト・民族誌・文化表象」
池邉智基(国立民族学博物館・助手)
「セネガルにおける同性愛運動について:同性愛の「社会問題」化と、イスラーム系団体による社会運動の組織化」
第14回研究会
2025年9月27日15:00開始
会場:上智大学四谷キャンパス3号館313号室イスラーム地域研究所(Zoomでのハイブリッド開催)
今回は読書会形式で、10月に来日を予定しているチャールズ・ハーシュキンドの近刊の序章を扱いました。
課題文献:
Charles Hirschkind, 2021, "Introduction," in The Feeling of History: Islam, Romanticism, and Andalucia, the University of Chicago Press, pp. 1-34.(発表者:今城尚彦)
第13回研究会
2025年8月24日15:00開始
会場:京都大学吉田南キャンパス人間・環境学研究科棟333号室(Zoomでのハイブリッド開催)
今回は当研究会会員の田辺清鼓さんに下記の要領でご報告いただきました。
田辺清鼓(京都大学人間・環境学研究科博士課程)
「視線をかわす:トルコ農村のムスリムが生きる〈敬虔さ〉と〈日常〉のあわい」
要旨:本発表の目的は、トルコ内陸部における男女隔離の実践を、男女の視線が躱される/交わされる様子を中心に検討することをとおして、イスラームをめぐる近年の人類学的議論に新たな視座を提示することである。本発表では、ムスリムたちが日々イスラームの言説に依拠しつつムスリムとしてふさわしいあり方を探究しながらも、ときにそこからの「ずれ」を抱えた日常の中でみずからのふるまいを即興的に隠蔽したり適切な順序を事後的に遂行、披露することで〈敬虔さ〉と〈日常〉のあわいにある生を紡いでいる様子を示す。このようなムスリムの人々の生を考察することを通して本発表では、イスラームに敬虔な〈かれら〉と世俗的日常を生きる〈われわれ〉という二項対立的な枠組みを保持してきたイスラームの人類学研究の理論的課題に民族誌記述をもって応答し、その射程を広げることを試みる。
第12回研究会「イスラームをめぐるテクスチュアリティとマテリアリティ」
2025年6月29日15:00開始
会場:上智大学四谷キャンパス3号館313号室イスラーム地域研究所(Zoomでのハイブリッド開催)
共催:上智大学イスラーム地域研究所、東洋大学アジア文化研究所グローバル地中海地域研究拠点
今回は「イスラームをめぐるテクスチュアリティとマテリアティ」と題し、当研究会会員の平山草太さんと近藤文哉さんに下記の要領でご報告いただきました。
15:00
平山草太(独立行政法人日本学術振興会 特別研究員PD/東京大学)
「書物と供物:ムスハフの液化における/としての「間隔化の力学」」
要旨:本発表では、クルアーンの液化と飲用の実践を、書物と人間の一致に力点を置いて解釈するニーバーらの先行研究を「憑依モデル」として批判したうえで、ユベール=モースの供犠論を援用し、より優れた解釈の可能性として「供犠モデル」を提示する。発表者のフィールドにおける観察事例では、文字を水に溶かして飲むという実践には、きわめて多様な素材の利用や、プリンターや判子による大量複製など、誰がどの素材で書くかということに様々な工夫が施されていた。また、「誤記」を液化して飲用する事例や、液化されたムスハフを動物に投与する事例など、クルアーンの意味内容と人間の一致がその過程に含まれない実践も見られる。先行研究の憑依モデルは媒介の抹消への志向性と心身二元論を前提とするため、こうした物質的工夫や媒介者の権威が介在する意義を説明できない。対して供犠モデルは、ムスハフを聖化し、液化=破壊して飲用=消失させる過程こそが聖俗を「切りつつ繋ぐ」遠隔コミュニケーションとして機能していると解釈することで、物質的媒介のエージェンシーを理論的に位置づけることができる。したがって文字の液化と飲用とは、聖典を犠牲として扱う普遍的儀礼の一変種であり、物質宗教研究の「現前性の問題」に新たな視座を与えると言える。
16:00
近藤文哉(独立行政法人日本学術振興会 特別研究員PD/明治大学)
「タラル・アサドの言説伝統における「創設テキスト」の布置」
要旨:本発表は、タラル・アサドの言説伝統における「創設テキスト(founding text)」の位置づけを再考した。言説伝統を援用した議論では、クルアーンやハディースなどの「創設テキスト」は、しばしば言説伝統の中核と規定される。それに対して本発表では、拙論「タラル・アサドの「言説伝統」をめぐる連続と断絶の問題:1970年代後半~2000年代の著作から」(『宗教と社会』第31巻、31–45頁)を踏まえつつ、アサドのテキストにおいて「創設テキスト」それ自体への言及が少ないため、その位置づけは多義的に解釈可能であると示した。
第11回研究会
2025年5月24日15:00開始
上智大学四谷キャンパス3号館313号室イスラーム地域研究所(Zoomでのハイブリッド開催)
今回は宗教研究におけるマテリアル・ターンの重要論文を扱いました。
課題文献:
Sonia Hazard, 2013, "The Material Turn in the Study of Religion," Religion and Society 4 (1): 58–71.(発表者:山口匠)
第10回研究会
2025年4月20日16:00開始
上智大学四谷キャンパス3号館313号室イスラーム地域研究所(Zoomでのハイブリッド開催)
今回は小杉麻李亜『生き続ける聖典クルアーン:人類学者が見た実態イスラームと神秘力のメディア』の残る第IV部と、昨年刊行されたシーア派マテリアリティ研究の論集の序章を扱いました。
課題文献:
小杉麻李亜『生き続ける聖典クルアーン:人類学者が見た実態イスラームと神秘力のメディア』第Ⅳ部 音としてのクルアーン(発表者:二ツ山達朗)
Fouad Gehad Marei and Yafa Shanneik, 2024, "Religion That Matters: Shiʿi Materiality Beyond Karbala." In Shiʿi Materiality Beyond Karbala: Religion That Matters, edited by Fouad Gehad Marei, Yafa Shanneik, and Christian Funke, Leiden: Brill, pp. 1–42.(発表者:谷憲一)
第9回研究会
2025年3月16日15:00開始
上智大学四谷キャンパス3号館313号室イスラーム地域研究所(Zoomでのハイブリッド開催)
今回は前回に引き続き、小杉麻李亜『生き続ける聖典クルアーン:人類学者が見た実態イスラームと神秘力のメディア』の後半を扱いました。
課題文献:
第Ⅴ部 日常に埋め込まれた断片(発表者:近藤文哉)
第Ⅵ部 クルアーンがある空間(発表者:池邉智基)
第8回研究会
2025年1月26日15:00開始
上智大学四谷キャンパス3号館313号室イスラーム地域研究所
今回は、2024年10月に刊行されたばかりの小杉麻李亜『生き続ける聖典クルアーン:人類学者が見た実態イスラームと神秘力のメディア』の前半を扱いました。
課題文献:
序章 今を生きる(発表者:平山草太)
第Ⅰ部 生き方のソースコードとしてのクルアーン(発表者:二ツ山達朗)
第Ⅱ部 「記譜」された音としての書物(発表者:平山草太)
第Ⅲ部 クルアーンの原型をたどる(発表者:内山智恵)
第7回研究会
2024年12月15日15:00開始
上智大学四谷キャンパス3号館313号室イスラーム地域研究所
今回は、過去4回続いてきた存在論的転回の議論から少し離れ、クルアーンの物質性を論じる下記の論文を扱いました。
課題文献:
Anouk Cohen, 2019, "What is a "Moroccan Qur'an"? Book Materiality, Commodification and Islamic Authority," Cahiers d'études africaines, 59 (4), 236: 1119-1154.(発表者:池邉智基)
第6回研究会
2024年11月9日15:00開始
上智大学四谷キャンパス3号館313号室イスラーム地域研究所(Zoomでのハイブリッド開催)
今回は、いわゆる「存在論的展開」における、イスラームの人類学とも関わる重要文献を扱いました。
課題文献:
Rane Willerslev & Christian Suhr, 2018, "Is there a place for faith in anthropology? Religion, reason, and the ethnographer's divine revelation," Hau: Journal of Ethnographic Theory, 8 (1/2): 65-78.(発表者:山口匠)
第5回研究会
2024年10月26日15:00開始
上智大学四谷キャンパス9号館053A室(Zoomでのハイブリッド開催)
課題文献:
Joel Robbins, 2024, "Afterword," Hau: Journal of Ethnographic Theory, 14 (1): 88-94.(発表者:二ツ山達朗)
第4回研究会
2024年9月22日15:00開始
東京大学駒場キャンパス18号館コラボレーションルーム2
課題文献:
Ismail Fajrie Alatas, 2024, "Voicing God’s presence: Qurʾānic recitation, Sufi ontologies, and the theatro-graphic experience," Hau: Journal of Ethnographic Theory, 14 (1): 47-60.(発表者:池邉智基)
Lili Di Puppo, 2024, "'What does the heart want?': Being seen, 'heart ethnography,' and knowledge through surrender in a Bashkir Sufi circle in Russia," Hau: Journal of Ethnographic Theory, 14 (1): 61-73.(発表者:平山草太)
Annika Schmeding, 2024, "Dreaming the Path: Ontological Shifts in a Sufi order in Afghanistan," Hau: Journal of Ethnographic Theory, 14 (1): 74-87.(発表者:内山智恵)
第3回研究会
2024年8月18日15:00開始
駒場キャンパス18号館コラボレーションルーム2(Zoomでのハイブリッド開催)
課題文献:
Fabio Vicini and Lili Di Puppo, 2024, "Rethinking the anthropological enterprise in light of Muslim ontologies: Secular vestiges, spiritual epistemologies, vertical knowledge," Hau: Journal of Ethnographic Theory, 14 (1): 7-18.(前半部分、発表者:二ツ山達朗)
Fabio Vicini, 2024, "God is everywhere: Islam, Christianity, and the immanence of transcendence," Hau: Journal of Ethnographic Theory, 14 (1): 19–32.(発表者:近藤文哉)
Maria Louw, 2024, "Staying behind: Divine presence, virtuous emplacement, and sabr at the end of life among older Kyrgyz Muslims," Hau: Journal of Ethnographic Theory, 14 (1): 33-46.(発表者:山口匠)
第2回研究会
2024年7月14日15:00開始
駒場キャンパス18号館コラボレーションルーム3
課題文献:
Pooyan Tamimi Arab, 2022, "Can Muslim Drink? Rumi Vodka, Persianate Ideals, and the Anthropology of Islam," Comparative Studies in Society and History, 64 (2): 263-299.(発表者:平山草太)
第1回研究会
2024年5月25日15:00開始
駒場キャンパス18号館コラボレーションルーム2
課題文献:
Sindre Bangstad, 2009, "Contesting secularism/s: Secularism and Islam in the work of Talal Asad," Anthropological Theory, 9 (2): 188-208.(発表者:近藤文哉)