日本よりもフードバンク、フードパントリーが浸透しているイギリスでの状況について、NeighbourFood(ネイバーフード)のメンバーが現地でボランティアした体験も交えてお話します。
以前の記事で、フードバンクは、貧困対策とフードロス対策の2つの文脈から語られる、とお話ししました。
イギリスにおいては、前者の貧困対策としてフードバンクは位置付けられています。 特に、2010年代のキャメロン政権による財政緊縮によって貧困層の生活が悪化。それに伴い、食料支援のネットワークが急速に拡大しました。
ちなみに、イギリスでのフードバンクのイメージは、「わたしは、ダニエル・ブレイク」という映画でよくわかるので、おうち時間のお供にでも、ぜひ! (カンヌ映画祭のパルム・ドールも受賞しています!!!)
2019年時点では、イギリス国内に2,000拠点のフードパントリーがあるとされていて、過去5年でフードバンクからの食料支給量は約2倍になっています。 日本は、まだ100拠点程度なので、大きな違いですね!
例えば、大学寮においても、クリスマス前には、入口にフードバンクへの食品寄付用の箱が設置されており、(日本人の友人にフードバンクについて話す際は、まずそれが何かを説明することが99%なので、)肌感覚ではかなりシステムが浸透していると感じました。
さて、実際にどのようにフードバンクが機能しているか、というと まず、食べ物は、学校、スーパーマーケット、教会で集められた食料品や、企業からの寄付を受け取っています。そして、もらい方は、というと、Trussell Trust(一番大きなフードバンク団体)ではまず、紹介機関で、紹介状(バウチャー)を取得します。 紹介機関は、学校、病院、ソーシャルワーカー 等と、公的機関において幅広く窓口が設置されているようです。
日本では、区役所や連携するNPO団体が紹介状を発行するので、イギリスでは支援が必要な人をより広い網で捉えられるように思います。
紹介状をフードパントリーに持っていくと、3日間の緊急食糧セット+αを受け取ることが出来ます。中身としては、パスタ、米などの主食、スープ、豆の缶、ビスケットなどの常温の食品や、保存可能な脱脂粉乳やジュースなどの飲料、さらにトイレットペーパー、おむつなども含まれます。
より具体的な受け取り方をボランティアをした際に見たものをベースに書き下してみますね!
まず、利用者は家族構成、食品の好み(肉or魚? Coffee or Tea? 米 or パスタ? など)についてアンケートを書きます。ボランティアは、アンケートに基づき、3日分の食品パッケージを食料庫で作成します。
利用者は、パッケージが出来るまでの間、コーヒー、紅茶、クッキーなどをもらって、ラジオを聞きながら待ちます。この時に、ボランティアと世間話したりも。
でも、利用者が気が向いたらでOK。ボランティアも、こちらからは話しかけなくて大丈夫です。
ボランティアと利用者の接点は最小限に設計されているように見え、そこも日本のフードバンクや子ども食堂のコンセプトとは大きく違うように見えました。
パッケージが出来上がれば、それを受け取って終わりです。必要があれば、その他に受けられる福祉支援について紹介もされるらしいです。
イギリスでは、フードバンクの仕組みが社会に浸透している
寄付も何をどこで寄付したらよいかわかりやすく、寄付しやすい仕組みが出来ている
食品以外にも生活消耗品を受け取ることが出来る
利用者とボランティア・フードバンクの接点は限定的で、純粋な食品提供スポットとなっていた