故岩田重夫氏の植物標本廃棄についての要望書の提出について

2024年7月19日


奈良植物研究会は、1977年に創設され、奈良県の野生植物を対象としてその分布や分類学的な課題を研究する民間の団体です。

 また本会は、この間自然史研究教育の分野で関連する諸団体と共に、奈良県に自然系博物館を設立するはたらきかけをして参りました。その流れの中での第一歩として、貴重な植物標本の散逸を防ぐために県が適切に保存するとの奈良県知事との覚書に基づき、本会の元会長であった故岩田重夫氏の植物標本 (岩田コレクション)が2000年8月に県に寄贈されました。この約束にもかかわらず、2023年12月までにこの約10,000点の標本が相談なくすべて廃棄されたことを本会は2024年3月21日に知るところとなりました。

 これは奈良県ひいては日本の植物学にとっての重大な損失であり、県の自然環境や自然資産に対する認識や姿勢が厳しく問われなければなりません。

本会は、今回の事態について県に厳重に抗議するとともに、県がこのような事態を招いた経緯、原因を明らかにすること、また協働して奈良県の生物多様性の保全を推進するため、今後の県の自然資産への対応姿勢に抜本的な改善を求めることといたしました。



奈良植物研究会

会長 松井 淳

要望書 [PDF]