研究予定
1. エラストマー表面における微細構造形成
プラスチックとして知られる高分子材料は、私たちの身の回りにたくさんあります。電気電子工学では、曲がる特性を活かしたフレキシブルデバイスへの応用も期待されています。今後の研究ではゴムのような弾性体であるエラストマーを加工し、マイクロリンクルをはじめとした微細構造を作製します。実際に作製したシリコーンゴム上の微細構造を図に示します。ヒトの髪の毛の太さが約100 μm(0.1 mm)ですので、この構造がとてつもなく小さいことが分かります。
2. 「Dewetting」による微細パターン形成
Dewettingは「濡れ」を意味するwetの反対の意味であり、薄い液体の膜が壊れるときなどに観察される現象です。この際、膜が分裂した後に液滴が形成され、これが右に示すようなパターンを形成することがあります。今後の研究では、このDewettingによる自己組織化について調べ、より簡便かつ画期的な微細構造作製法を提案します。
3.多様なパターンに合わせた解析手法の検討
自己組織化によるパターン形成では、ストライプパターンのようにきわめて規則的なものもあれば、微細なパーツが集まってできたランダムなものもあります。従ってこれらの研究においては、評価手法を適切に使い分ける必要があります。今後の研究では新たなパターン形成を模索するとともに、その評価手法についても探索を行います。
現在までの研究
固体に対してイオンビームを照射すると、固体中にダメージが生じます。このダメージは原子のズレや動きにつながり、結果として固体表面に様々な変化を引き起こします。このとき、照射条件が適切であれば、表面に微細な構造が生じます。Ge・GaSb・InSbにおいては点欠陥自己組織化と呼ばれる現象により、表面に直径~20 nmの孔が多量に生じます(ポーラス構造形成)。このナノ構造のSEM像を下に示します。また、下図は構造形成の様子を模式的に表したものです。
点欠陥自己組織化によって形成された
Geのナノ構造
Nanoporous structure formed on Ge substrate
点欠陥自己組織化の模式図
Schematic diagram of self-organization of point defects
一方、金属や絶縁体を含む一般的な固体においては、点欠陥自己組織化による表面構造形成は報告されておらず、表面の切削(スパッタリング現象)によって構造が生じます。著名な例としては基板表面のリップル構造が挙げられます。これは特定の周期性をもって表面に形成される、さざ波状の構造です。
Si基板上のリップル構造
Nanoripples on Si substrate