(1) 研究を通じて目指すもの
・食料生産と生物多様性保全の両立
・人口減少社会におけるネイチャーポジティブの実現
・生態系サービスの活用による社会の持続可能性向上
・人と自然のより良い関係性の構築
(2) 研究におけるこだわり
・楽しい、面白いと思う気持ちを大切に
・お世話になった農家の方々への感謝の気持ちを忘れずに
・今すぐに役立つ成果でなくてもよい、未来へのビジョンを持って
(3) これまでの主な成果
Q1. 環境保全型農業は生物多様性保全に有効なのか?
有機農業・冬期湛水・IPMなどの環境保全型稲作が、植物・クモ・鳥類など多様な生物に与える効果を、大規模フィールド調査とメタ解析で明らかにしています。保全効果は取り組みの面的な広がりや継続年数、周辺の半自然生息地によって変化することも示しています。また有機農業水田ではサギ類の採食効率も高まることがわかっています。
Katayama et al. 2023 J. Appl. Ecol.Katayama et al. 2019 J. Appl. Ecol.Katayama et al. 2017 Agric. Ecosyst. Environ.Katayama et al. 2017 Ecol. Res.
Q2. 耕作放棄は生物多様性保全に良いのか?悪いのか?
農地の集約化と耕作放棄という二つの土地利用変化が、鳥類多様性に与える影響を検証しています。水田と放棄地が混在するモザイク景観では種多様性が維持されやすい一方、放棄率が高まると鳥類群集が草地性種へ置き換わることを明らかにしています。日本全国の水田メタ解析では、放棄による生物多様性への影響は分類群・土壌水分・周辺土地利用によって複雑に変化することも示しています。
Katayama et al. 2021 Agric. Ecosyst. Environ.Katayama et al. 2017 Agric. Ecosyst. Environ.Koshida & Katayama 2018 Conserv. Biol.Katayama et al. 2020 Agric. Ecosyst. Environ.
Q3. 日本の鳥類群集は減っているのか?増えているのか?
全国探鳥会データと階層ベイズモデルを用いて日本の繁殖鳥類の長期変動を推定しています。人口減少に伴う二次遷移と気候温暖化が鳥類個体群の減少をもたらしていることを示し、積極的な植生管理や再野生化が回復に有効である可能性を指摘しています。また40年間のデータから、温暖な地域での危機的状況が示唆されています。
Katayama et al. 2023 Conserv. Biol.Yamaura et al. 2025 Sci. Rep.
Q4. 保全科学の知見をどう統合し、活用できるか?
農地生物多様性に関するメタ解析・系統的レビューも精力的に行っています。和文誌を含まないメタ解析ではエフェクトサイズにバイアスが生じうること、果樹園・ブドウ園景観における生物多様性と収量のトレードオフなど、方法論的にも重要な知見を提供しています。
Konno, Katayama et al. 2020 Ecol. Evol.Katayama et al. 2019 Biol. Conserv.
Q5. 環境DNAによって農地の生物多様性を評価できるのか?
水サンプルの環境DNA解析で魚類・両生類・水生昆虫などを包括的に把握する評価手法の開発に取り組んでいます。適切なサンプリング数・時期・場所の組み合わせを最適化し、従来の目視調査に比べて効率的に水田の生物多様性を評価できることを示しています。
Yamamoto, Katayama et al. 2025 Environ. DNA