エゾマテ

Solen krusensternii Schrenck, 1867

レア度:いつでも見られる

形態:殻長10cmになる。マテガイと比べて殻長に対する上下幅が大きいため、一見して太短い。また、本種の貝殻は少し湾曲しており、前端・後端も丸みがある。成長線に沿って赤褐色の縞模様が現れ美しいが、生時は褐色の殻皮に覆われている。足には白斑がありまだら模様となる。

生息域:模式産地は函館。日本海(沿海州~朝鮮半島沿岸+サハリン~九州)、オホーツク海(北海道)、太平洋西部(北海道~本州)、瀬戸内海に分布し、水深5~30mの砂底に生息する。

生態:潜砂性があり、貝殻と同じく湾曲した巣穴に潜っている (石川 2018)。危険が迫ると、急速に砂を掘り返して砂煙を上げるらしい (Yakovlev & Katugin 2007)。多分雌雄異体で、体外受精をおこなう。サハリンとピーター大帝湾では5–6月に浮遊幼生が確認されている (Kasianov et al. 1998)。また、苫小牧沿岸域では、8月に多くの稚貝が確認されている (櫻井ら 1991)。

2021年9月19日 りった
2021年9月19日 りった

引用文献:

  1. 櫻井泉・宮本建樹・高橋和寛. 1991. 北海道苫小牧沿岸におけるホッキガイ漁場の環境特性と二枚貝幼稚貝の分布. 北海道立水産試験場研究報告, 36: 39–59.

  2. Kasianov, V. L., Kryuchkova, G. A., Kulikova, V. A., Medvedeva, L. A. 1998. Larvae of marine bivalves and echinoderms (D. L. Pawson, trans.). Smithsonian Institution Libraries, Washington, DC. (Original work published 1983 and revised 1990)

  3. Yakovlev, Yu. M. & Katugin, O.N. 2007. Bivalves (Class Bivalvia). In: “Phoenix” Fund, Project Aware (UK) & Far Eastern State University. Plants and Animals of the Japan/East Sea: Short Field Guide. Far Eastern University Publishing House, Vladivostok. pp: 160–177.

  4. 石川裕. 2018. マテガイ類の軟体など. まいご, 25: 13–18.