コチドリ

Charadrius dubius Scopoli, 1786

レア度:いつでも見られる(春~夏)

形態:全長15㎝程度のチドリ類で、トウネンとほぼ同大。嘴は直線的で短く、目と口角の間と同じくらいの長さ。黄色いアイリングがよく目立つ。夏羽では目元がはっきりと黒くなり、黒いはちまきと黒いスカーフを巻いたような模様も現れる。腹面、喉元、および首回りは白い。足はオレンジ色。

生息域:函館には繁殖のために飛来し、3月下旬から姿が目立つようになる。七重浜では波打ち際で採餌する個体をよく見かけるほか、海浜草地や空き地に営巣している個体もいる。繁殖期が終わると、低緯度地方に渡って越冬する。

生態:基本的に群れを作らない。干潟や池の泥底で足を小刻みに震わせ (foot-trembling/foot-tapping)、底質から出てきた小動物を食べる習性がある (Coleman 1960)。地上営巣性で、開けた砂礫地などを利用する。卵数は通常4個で、22–25日抱卵する (中村・中村 1995)。抱卵期間中に捕食者 (主にハシボソカラス) が接近すると、積極的に巣を離れることで卵の位置を隠蔽する (Salek & Cepáková 2006)。「ピゥ」と鳴くほか、繁殖期には濁った声混じりに「ピピピピ」などと複雑に鳴く。

その他:函館にはよく似たイカルチドリ C. placidus も分布するが、河口部や海岸に出現することは稀で、主に河川中流域を生息圏としている。

2020年4月 山上
2020年5月@常盤川周辺 山上抱卵中
2020年5月@函館 木戸

引用文献:

  1. Coleman, R. W. 1960. Little ringed plover" foot-tapping" to collect food. British Birds, 53: 444.

  2. 中村登流・中村雅彦. 1995. 原色日本野鳥生態図鑑〈水鳥編〉. 保育社.

  3. Salek, M., & Cepáková, E. 2006. Do northern lapwings Vanellus vanellus and little ringed plovers Charadrius dubius rely on egg crypsis during incubation?. Folia Zoologica, 55: 43–51.