さて、能美市健康福祉センター「サンテ」は改修され、今年度から妊娠期から18歳までの子供に係る相談機能を集約し、便利で分かりやすい子育て窓口の統合化施設となりました。改修されたサンテ2階の「こども家庭センター」では、母子保健の相談機関である「子育て世代包括支援センター」と児童福祉の相談機関である「子ども家庭総合支援拠点」の機能の集約化と専門職の連携により、養護相談、発達支援及び障害児支援、虐待対応、いじめや不登校支援、ヤングケアラーなど、複合化、複雑化する問題にも対応できることとなりました。まさに子供に関する悩みや困り事はサンテに行けば相談できる機関となっています。
サンテのリニューアルオープンから約半年を迎え、その現状を聞き、新たに見えてきた課題はないか、今後どのような展望をもっているのかについて、以下質問しました。
【能美市児童虐待対応状況について】
質問>
令和3年度から令和5年度の新規に受け付けた件数はどのような推移であるか。そして、虐待の内容はどうであったか。また、緊急性が高く、県の児童相談所へつないだ件数は何件であったか。
答弁>
児童虐待の新規受付件数は、令和3年度27件、令和4年度13件、令和5年度35件と推移している。虐待の内容は、例年、身体的虐待や面前DVを含む心理的虐待が多く、次いで育児放棄や育児怠慢等のネグレクトとなっている。
そのうち、県児童相談所へつなげた件数は、令和3年度15件、令和4年度2件、令和5年度7件となっている。
中村発言>
市民の虐待への認識が高まり、それに伴い相談機関を訪れる機会が増えることで児童虐待対応の件数が増えることもあるかと思いますが、事前の相談により虐待を未然に防ぐことができ、悲惨な事件に至らないことを願っています。
【要保護・要支援児童について】
質問>
能美市が虐待対応している要保護児童の認定件数と、親が育児不安を抱えていたり子供の養育環境に問題があり、すぐには虐待に至らないものの、保護者の養育を支援することが特に必要と認められる要支援児童の認定数は何件か。また、それに対応する職員は、一人当たり何人くらいの要保護・要支援児童を担当しているか。
答弁>
現時点において、児童虐待等で本市が対応している要保護児童の認定件数は37件、児童虐待には至らないが何らかの支援を必要とする要支援児童の認定件数は55件である。
昨年度は、2人の職員が112件の要保護・要支援児童を対応し、職員1人当たり56人を担当していたが、今年度は、兼務ではあるが虐待対応職員を1人増やし、3人で92件の要保護・要支援児童の対応に当たっているため、職員1人当たり20人から40人を担当している。
中村発言>
以前、要保護や要支援の児童を担当している方から、「この仕事は時間に関係なくいろいろな相談や事案への対応しなければならないんですよ」と聞いたこともあります。今、担当している人数を聞きましたが、皆さんはどうなのかなと心配します。
【母子保健の相談状況について】
質問>
サンテはこれまでも母子健康手帳交付や乳幼児健診などで多くの保護者の方に利用されているが、施設が新しく整備されたことで利用者や相談される方からはどのような声が寄せられ、また、その声をどのように受け止めているのか。
答弁>
サンテの施設がリニューアルし、乳幼児健診の会場である健診ホール内に親子トイレや授乳室が設置されたことで利便性がよくなり、個室となった授乳室でゆっくりと気兼ねなく授乳することができるという声や、子供の遊具を備えたキッズスペースと保護者が子どもの遊ぶ様子を見ながら相談できるコーナーを設けたこと、子供が一人で飛び出していかないよう自動ドアに開閉時のスイッチがついたことで、安心して相談ができるようになったという声を聞いている。
また、父親だけで乳幼児健診に来所する人が増えており、親子トイレは父親がトイレに連れていきやすく、キッズスペースで遊ばす父親の姿も多く見られるようになっており、父親の育児参加の一助となっているのではと受け止めている。
これまでは、相談内容に応じて多職種に相談をつなぐ場合は別日に改めて相談の機会を設けていたが、こども相談ステーションがセンター内にあることで、その場で対応できることが増え、利用者の負担が軽減され、スムーズな相談が可能となっている。
中村発言>
私の時代ですと乳幼児健診はお母さんが行くものという観念でしたが、最近は育児に参加する若いお父さんも増え、普通にお父さんが健診に来られるとお聞きしてとてもうれしい気持ちです。
【児童福祉に係る相談について】
質問>
この4月からの7月までの4か月間で、養育相談、発達支援、障害児支援の相談件数と対応延べ件数はどのくらいであったのか。また、養育相談、発達支援、障害児支援のおのおのの対応職員は何人であるのか。さらに、子供に関する悩みや困り事などの相談機能を集約したことで、何がよかったと捉えているのか。
答弁>
こども相談ステーションを開設した4月から7月までの相談件数については、養育相談延べ284件、発達支援延べ1,172件、障害児支援延べ61件である。その対応職員については、重複があるが、養育相談3人、発達支援8人、障害児支援1人となっている。
子供に関わる相談機能を集約により、母子保健、児童福祉、教育相談、それぞれの動きがお互いに見えるようになり、相談員間の相互理解が進み、相談者を支援する上で柔軟な対応が可能となってきている。
また、児童虐待対応や障害児福祉サービスの支給について検討の際に、母子保健、教育部門との連携やチーム会議がタイムリーに行え、不登校児支援等においても専門職間での連携が深まり、少しずつではあるが相談対応の幅が広がってきていると聞いている。
中村発言>
子供に関わる機関が集約されているのはとても合理的で、複合的な対応が必要な問題にも即時情報共有ができ、連携して対応できる環境はすばらしいことだと思います。
【健康増進エリアの活用について】
質問>
今回のリニューアルで、未病・予防ステーション、研修室、多目的ホール、相談室、キッチンスタジオが整えられた。その中で大変興味深い未病・予防ステーションと、以前よりも使いやすく、最新設備にバージョンアップしたキッチンスタジオの利用状況と今後の利用計画を聞く。
答弁>
1階の未病・予防ステーションは、健康情報の発信の場として活用しています。1日分の野菜摂取目安量の展示や、飲み物、菓子類に含まれる砂糖量の展示を常設しており、個別の保健指導での利用のほか、来所者に気軽にご覧いただいている。また、血圧測定機器や新たに体成分分析装置(InBody)を導入し、筋肉量や体脂肪量を測定することで体の中を見える化し、測定データと健診結果に基づき保健指導を行っている。
今後は、定期的にテーマに沿った展示やイベントを開催する計画し、第1弾の9月は高血圧をテーマにした展示と健康チェックを予定している。
2階のキッチンスタジオは、毎月、乳幼児の健診や教室の試食づくり、マタニティクラス、栄養教室、糖尿病学習会での利用のほか、新たな食育事業として、例えば夏休み期間には祖父母と孫のおやつ作り教室や親子の簡単クッキングを開催し、多くの参加がある。
今後は、防災食の調理実習、ママ向け離乳食講座、市内企業と連携した料理教室、地産地消料理教室など、様々な教室の実施を予定している。新たに市民や関係機関等へキッチンスタジオの貸出しを行っており、町会・町内会でのいきいきサロン等の利用も予定されている。
中村発言>
キッチンスタジオは調理器具も新しく、使い勝手がよくなりました。ぜひ男女を問わず、あらゆる年代の方に利用していただきたいと思います。
【能美市健康福祉センター「サンテ」の今後の展開について】
質問>
これからも多くの方の利用が予想される能美市健康福祉センター「サンテ」について、寄せられている利用者の声や、リニューアル後半年経過から見えてきた課題などを踏まえ、今後はどのような点を充実し、さらなる利用促進、そして機能強化を図る考えか。
答弁>
今後は、胎児期、乳幼児期、小中高校生の年代まで切れ目のない支援において、サンテに行けば子供に関する相談ができるという市民の安心感を高め、さらに子供に関わる専門職が連携を深め、それぞれの専門性及びチーム力を発揮し対応できるよう、人材の確保及び質の向上を図り、様々な悩み・心配事に寄り添う。将来的には、こどもまんなか社会の実現に向け、地域のインクルージョンも視野に入れ取り組む。
健康増進においては、市民への健康づくりの新たな取組みとして未病・予防ステーションに体組成計などを設置し、自ら健康づくりに取り組める環境づくりを進めており、今年度、健康アプリと連動して健康の見える化やインセンティブの仕組みを整え、働き盛り世代をターゲットに健康づくりの応援をする。
さらに、子育てアプリはぐはぐ、市公式LINEを活用し、子供に関する相談場所や自身の健康づくりの場所として、子供自身や働き盛りの世代、祖父母世代へ積極的に周知することで、利用したことのない市民への利用促進と利用した人がまた来たくなるような環境づくりを図り、市民が世代を超えて交流し、愛され親しまれる施設となるよう邁進する。
中村発言>
サンテは、子供の相談機能を集約し、市民に使いやすい施設としてリニューアルされました。相談の実績をお聞きしましたが、思っている以上に相談件数は多いと感じましたし、職員1人当たりの対応件数も多いなと思いました。相談対応というのは一度きりで終了せず長い年月にわたる上に、年々新しい相談が増えていきます。なかなか地味で厳しい業務だと思っています。
また、様々な相談に対応できるようになるには、相談対応能力の日頃からの向上を図り、経験を積むことが必要であります。相談員として一人前になるには長い時間を要します。
今後、職員へのフォローや職員数の確保などにより、相談員が時間的余裕、心の余裕を持って相談対応できる環境であるか注視してゆきたいと思っています。
男性の育休取得が初めて30%を超え、取得期間も長期化しているという記事を読み、今後も男性の育児への関わりが増えてくることになると思います。ママもパパも育児の心配事を抱え込まず、この「サンテ」に気軽に足が運べる、そんな施設へと育ってほしいと思っています。
【小学校、中学校における舞台芸術鑑賞事業について】
質問>
舞台芸術鑑賞は子供の想像力や独創性を育む上で、映像やCDなどで学ぶ授業以上の生で本物を目にする貴重な機会であると思う。トップレベルの文化芸術団体を学校に派遣する文化庁の巡回事業や、本県のオーケストラ・アンサンブル金沢公演など、優れた舞台芸術鑑賞の機会をできるだけ計画的に確保することが必要と考えるが、教育委員会の方針を聞く。
答弁>
能美市教育委員会としても、トップレベルの舞台芸術に間近に触れ、体験させることを方針としています。今後も市教育委員会と学校が連携し、児童生徒が芸術文化に触れる機会を増やすことに努めるとともに、鑑賞指導や実技指導、共演の練習等も実施可能なワークショップの機会も設けていきたいと考えている。
中村発言>
優れた舞台芸術観賞は、成長期にある子供たちの感性を磨き、感動する心を育む上で非常にすばらしい機会となると思います。能美市の子供たちが、体も心も豊かに成長することを願い、できることならば、能美市で学ぶ小中学校9年間の間に一度はバレエやオペラ、声楽、演劇など、本物の優れた芸術を鑑賞する機会が確保できればと思います。