全力で楽しもう この地で、この地域の人々と共に
【はじめに】
2023 年、未だ収束の兆しが見られない新型コロナウイルス感染症は長いトンネルの中に いるような様相を呈し、国際紛争も勃発し世界に暗い影を落としています。こうした厳し い状況の中で、我々青年会議所活動然り、働き方や人と人とのコミュニケーションのあり 方も多様に変化し、人々の生活に大きなストレスがかかり続けています。そんな誰もが 様々な不安を感じる中で何かできることがあるのではないか、地域や人々の思いに応えよ うと動き続ける人たちがいます。それは青年会議所です。
私自身、日本で新型コロナウイルス感染者の前兆が見られてきた 2020 年度に入会し、コ ロナ感染症と共にある青年会議所活動を余儀なくされてきました。事業計画を立て議案を 作っては白紙になり、また議案を作っては直前に中止を余儀なくされる。そういった場面 を幾度となく目の当たりにしてきました。多大な時間と労力を使いながらも開催が叶わな い状況。開催できる確約もないまま事業を構築して行かなければならない状況。そこに は、歯痒さ、悔しさ、もどかしさ、こういった類の言葉をありったけぶつけてもどうにも ならない時代の流れと壁がありました。しかし、そこに自分自身の目に焼き付いて離れな いものがあります。それは、決して投げ出さず、前を向き動き続け、笑顔を忘れずひたむ きに立ち向かっていく仲間の姿です。
世界はこれまでに人類が体験したことのないスピード感で動いています。そんな時代の 流れを超越し、地域社会に新しい時代のうねりを立ち起こす。それをできるのが我々中村 青年会議所ではないでしょうか。私がいつも心の芯に持っている思いが一つあります。 「楽しい気持ち、ワクワクした思いで考えできたものには、その思いが投影され、そこに は必ず人々の心に訴えかける強さが宿っている。」実現に至る過程の中で様々な苦労や葛 藤、失敗、時にはメンバーとぶつかることもあるでしょう。しかしその根底にはこの地域 にとっての何か楽しい新しいことをしよう、ワクワクするものを作ろうと立ち上がり、行 動を起こした確固たる思いがある筈です。メンバーと共にワクワクしながら新しい時代の うねりを地域に起こしていく。楽しい気持ち、ワクワクする気持ち、厳しい状況だからこ そ、そんなシンプルな気持ちが余計に尊いものに思えてなりません。そんな気持ちをメン バーみんなで共有し大事にしていきたい。この地域の人々と子ども達の明るい未来を信じ て、中村青年会議所メンバーとなら、この終わりの見えない長いトンネルの中に明るい風 穴を開けることができるのではないか。私はそう信じています。
【歴史の継承と継続】
本年度、中村青年会議所が発足されて 67 年となります。この中村青年会議所が半世紀以 上の時を越えて存在、継続できている何か根本の理由があるのではないでしょうか。そこに は時代を越えて受け継がれてきた揺るぎない基本理念があります。そんな時代を超越し受 け継がれてきた理念と指針を掲げ、それに向かってメンバーは懸命に動き続けてきました。 この 67 年間の中で自分自身の想像を遥かに超えた密度で、様々な事業、そして地域を巻き 込んだ運動が脈々と行われ、そして受け継がれてきました。その運動は確かに、この地域と 人々の生活に大きな効果と動きをもたらしてきたと私自身肌で感じており、決して絶やし てなるものではありません。
しかし、近年の人口減少、次の世代を担う我々若者世代の減少、それらの影響を直に受け、 青年会議所メンバーは年々減少の一途をたどっています。単純にメンバーが多ければ良し とは決して思いません。今現在の現役メンバーは少ないながらも一人一人がしっかり役職 を担い、個々の責任感や思いは数にも勝ると確信しています。しかし、これまで行ってきた 密度で青年会議所活動を継続していく為に個々の力に頼るにも限界があるとも感じていま す。加えて県内各地 L O M も同じ事が言え、高知ブロックや四国地区の運営継続も危機的 状況にあると感じています。まさにギリギリのラインに来ているのではないでしょうか。 先輩方がこれまで繋いてこられた 67 年の歴史の継承、そして継続の為にはやはり会員拡 大は急務であり各事業と肩を並べ力を注いでいくべき事項です。青年会議所の良さを思い を持って伝え、日々の活動を通して魅力を発信していく。発信、そして勧誘の手法も様々で す。模索葛藤を重ねながら中村青年会議所メンバー一丸となって取り組んでいきます。
【新年を迎える新たなスタート】
毎年、新年に行われてきた新年賀詞交歓会。しかし、新型コロナウイルスの影響を受け、 2020 年度に行われた賀詞交歓会を最後に過去 2 年開催できていません。
中村青年会議所が 67 年の歴史の中で継続できているのは、地域の人々、そして先輩方の 存在あってこそです。中村青年会議所の新たな幕開けを新年賀詞交歓会を通して、地域の 人々、そして先輩方に感謝と決意を持ってお伝えしたい。新体制の紹介、前年度に行われた 事業の紹介。それらは日頃我々が行なってきた青年会議所活動をより身近感じてもらう為 に、そして今後の活動協力のお願いの為、さらには今年度の決意を共有していただく場とし て無くてはならないものだと考えています。これまでコロナに翻弄されてきました。コロナ 禍ではあるものの今年 3 年目を迎え、その全体像が見えつつあり、感染対策の手法など様々 な形が生まれてきています。中村青年会議所としても開催できる方式を全力で見出し実践 しなければならないと考えています。過去 2 年分の思いも込めて、今年の賀詞交歓会を企 画、実現させます。
【枚方青年会議所との歴史】
本年度、枚方青年会議所姉妹締結 50 年の節目を迎えます。自分自身が 2020 年からの在籍 期間の中で 2 度枚方の地に赴き、1 度中村の地にお越しいただき交流を交わすことができま した。コロナ禍の影響はありながらも枚方青年会議所との交流は確かなものとして続いて います。昨年の交流事業では四万十市にお越しいただき、そして枚方青年会議所創立 60 周 年の記念式典には枚方の地にシニアメンバーと共に出向き、お祝いすることができました。 場所は違えど同じ志を持ってこれまで歩んできた枚方青年会議所と同じ時間を共有でき、 仲間としての絆をより深くすることができました。いつも盛大にお出迎え、お見送りの時間 まで全力でおもてなしいただき、この恩を忘れること無く次には必ず返さなければならな いと胸に刻んでいます。
そして今年は姉妹 J C 締結 50 周年という節目での交流事業は枚方の地で開催されます。 枚方メンバーからするとお出迎え、おもてなしの気持ちが生まれるはずです。しかし、締結 50 周年という両青年会議所の記念すべきお祝いの日、中村青年会議所メンバーは単なるお 客さんになってしまってはいけません。開催場所は枚方、しかしこれまでの両青年会議所の 先輩方の思いも背負って最大限にできるおもてなしと感謝の気持ちを中村青年会議所メン バー一丸となって表したいと考えています。
【幡多 J C として】
宿毛青年会議所と中村青年会議所が幡多 J C を締結してから 2 年が経過しました。締結の タイミングとコロナ禍の影響が重なり、これまで対面での交流の機会は決して多くはあり ませんでした。宿毛青年会議所とは近隣 J C としてこれまで土佐清水青年会議所を含めた 幡多 3J C 時代、そして幡多 J C に至る長い年月友好を育んできました。近隣の J C である からこそ、その絆はより深く強いものであるべきです。
私の好きな言葉の一つに「同じ釜の飯を食う」という言葉があります。10 回の会議より食 を 1 回共にする。人が生きていく上で最も重要な「食」という行為。これを共にすることで その人となりが知れ、その先の友情、絆、しいては 2 団体の結束力、さらには幡多地域の活 性にも繋がっていくはずです。締結後 2 年間、コロナ禍によりなかなか気軽に開催できな かった懇親の機会。世情と感染対策を踏まえた上でできる限りその回数を増やしていきた い。深い友好無くして幡多地域を共に盛り上げていくのは困難です。新型コロナ感染症の真 っ只中の年であった一昨年の歴代理事長が所信で述べていた「何度も会う」これを今ここで 実現しましょう。
【自然の力、地域の宝】
中村青年会議所の活動範囲である四万十市、そして黒潮町。そこには壮大な自然が広がっ ています。私自身、黒潮町で生まれ育ち、物心ついた頃から山や川、海といった自然を相手 にした遊びに明け暮れていました。それは 40 歳を間近にした現在も大きくは変わっていま せん。時間こそ限られるものの、海で貝を採ったり近くの川でエビやウナギを捕まえたり、 サーフィンをしたり、大自然の中をランニングしたり散歩したり。これらは間違いなく自身 の人生に豊かな彩りを与えてくれています。こちらで生活していて度々耳にする「こっちに は何もない、遊ぶ場所がない」。煌びやかな都会の風景は確かにありません。しかし都会に は無い、あまりにも美しく、壮大な自然が確かに存在しており、そこでの遊びは無限に用意 されているのです。コロナ禍以降、働き方や住まい方などが見直され、地方に目を向けられ る機会が増え、移住者や観光客もこの雄大な自然を求めて毎年多く訪れています。そこに 人々を惹きつける力があるのは事実です。気づくか気づかないか。思春期を過ぎ大人になり 就職し仕事に追われ、いつの間にか休日は手軽なショッピングやレジャーで済ませ、知らず 知らずのうちに自然との距離が開いているのではないでしょうか。大人と連動してそれは 子供にも伝わっていきます。昔ながらの自然相手の遊びも年々忘れ去られ、次世代の自然と の関わり方の希薄化が懸念されます。
当たり前のように存在している自然、そこに目を向け、我々中村青年会議所で何かできる ことがあるのではないでしょうか。この地域の魅力の再認識、この地をもっともっと好きに なってもらう。この地に誇りを持って日々の生活を送ってもらいたい。この地域で生活する 広い世代の人々に今一度この地の圧倒的な自然の美しさと力、そして可能性を感じてもら いたいと考えています。
【歴史と伝達のお祭り】
新型コロナウイルスの影響もありながらも、昨年は四万十市の伝統行事の一つでもある提 灯台パレードが例年とは異なりお祭り広場の特設会場内を練り歩くという新たな方式で開 催されました。コロナ禍で開催する最善策として四万十市や提灯台保存会、実行委員のみん なが考え出した新しい開催方式の一つです。単に中止を選択するのは簡単なことです。しか しそんな中でも開催できる新しい方式を考え実現させた。そこに、この提灯台パレードにか ける四万十市、そして市民の思いを強く感じることができました。昨年は大雨の中で、本物 の炎を提灯に灯すという新しい手法を委員長を中心に見出し、実現させ、多くの感動を与え てくれました。本物の炎を使う。例年と違った変則的なことをするには、それを実現する為 の様々な困難や苦労が付きまといます。花折作業から提灯の組み立て、そして炎の着火、担 ぎ手の力も借り大雨の中やり切った。それを実現できた先に中村青年会議所の強さが見え ました。
本年の開催場所は未だ未定です。しかし、今年はまた違ったアプローチで四万十市民祭の この提灯台パレードという伝統行事にまた新たな息吹を巻き起こす。この地域と共に担ぎ 手ありき、市民ありきで脈々と受け継がれてきたこの提灯台パレードの新たな形を作り出 し、次の世代へと繋いでいきます。
【未来へ繋ぐ青少年事業】
私がまだ 8 歳前後の頃。今から 30 年前、あれは確か今の赤鉄橋の河川敷付近で。今まで の人生で一度きり。自衛隊のかっこいい迷彩柄のヘリコプターに乗せてもらい四万十市周 辺を周遊させてもらった体験が思い出として残っています。子どもながらにも、その時の体 験を 30 年たった今でも鮮明に思い出すことができます。時が経ち中村青年会議所に入会し、 それが当時の中村青年会議所が起こした事業だったと聞きました。感慨深さと共に中村青 年会議所の歴史の深さと実行力に感銘を受けた事象でした。
子どもにとって「体験」はどんなことでも刺激的なものでありその後の人生に豊かさと大 きな活力を与えてくれるものです。そもそも体験の積み重ねが人生とも言えるかもしれま せん。決していい体験だけではありません。しかしその様々な体験から、感動をもらったり、 悔しさを感じたり、時には悲しさを感じたりと、豊かな次のステップへと、一人の大人へと 成長していく。豊かな経験なくして豊かな人生はありません。
コロナ禍で子ども達の行動も大きく制限され貴重な時間を自粛ムードで過ごしています。 きっかけは何であれこの貴重な青少年期に我々青年会議所でこの地域と共にできる豊かな 体験を提供してあげたい。この地域を背負う明るい未来ある子ども達の為に。
【卒業式】
私は今年 40 歳という一つの節目を迎えます。本来なら卒業となるのですが直前理事長と してもう一年中村青年会議所で過ごすことになります。しかし、同じ年でこの中村青年会議 所で苦楽を共にした仲間が今年卒業を迎えます。青年会議所の入会時期や立場も様々です が同じ時間をこの青年会議所を共にした仲間には人一倍思い入れがあり、正直、自分自身こ の同じ年のみんなと共に卒業したい気持ちがあります。しかし、ここはグッと涙を堪えて全 力で送り出す側に回りたいと思います。
色々なことがこの青年会議所であったと思います。終わりよければ全て良し。いや、終わ りもよければ全て良し。最後の最後まで中村青年会議所で過ごせて最高だった、本当に良か ったと思える最高の卒業式で卒業メンバーの門出を全力で祝いましょう。これからも共に この地域の主役となって活動していく卒業メンバーの新しい旅立ちを祝して。
【最後に】
入会当初、仕事も忙しく、中村青年会議所に大きく足を踏み入れる事ができない時期もあ りました。しかし、徐々に役職を受け関わっていくうちに中村青年会議所の存在が大きくな っていきました。そこにはいつも、苦楽を常に共にしてきた仲間がいました。仕事や家庭の 時間を割いてまで会に出て、ああでもない、こうでもない、みんなが必死で動いていました。 時にぶつかり、涙を見せる場面もありました。みんなが本気なのです。
本気、一生懸命、そんな人は輝いて見え、かっこ良く、とても美しいです。いま、中村青 年会議所でも会員拡大が大きなウエイトを占める状況に差し掛かっています。今できるこ とは、本気で青年会議所活動を頑張る。それに尽きると感じています。本気で頑張れること の根本には楽しさが必ず存在しています。中村青年会議所の人ってなんか輝いているな。こ んなメンバーと一緒に何かできたら楽しそうだな。そう思って入会してくれる新しいメン バーが出てくる筈です。メンバーみんなの輝く個性を全面に押し出し、楽しさを忘れず 2023 年度を共に本気で、そして全力で楽しみましょう。