人間は、環境や他者との相互作用を通じて、さまざまな概念や行動を学習し、状況に応じた適応的な行動を可能にしています。自身の身体(センサ)を用いて自律的に探索しながら、主観的な世界像(環世界)を構築していくこともその一部です。さらに、人類史や生物進化の過程で形成されてきた常識や文化的知識を活用することで、より効率的な行動が実現されています。このような人間の学習・適応の仕組みに着目し、「人のように成長する数理モデル」の開発に取り組んでいます。人と共生しうるロボットや人工知能システムの構築を目指すとともに、研究から得られた知見や技術を多様な応用領域へと展開しています。
【関心領域】
人間の認知機能や知能の獲得過程、社会の構造とその成立過程、社会と人間との相互関係、人間理解に基づくAIシステムの設計
【キーワード】
人工知能(AI)、ロボット、知能システム、機械学習、確率モデル、深層学習、環世界、世界モデル、強化学習、模倣学習
人間は知覚した少数のデータから意味のあるまとまり(分節)を分割・分類(分節化)でき、この分節を組み合わせることで多様な行動を設計できる。このような能力をシステムやロボットが持つことで、事前に動作などを設計することなく自律的に行動できる共生型のシステムやロボットを実現する。実際には、音声波形や動画などの入力のみからその構造の学習をする。他エージェント拡張を行い、行動のルールや戦略の学習へ拡張している。
人間は複数の物体が存在する環境で養育者などから発せられる単語と知覚情報を結び付けて、物や環境の名前を学習している。その際に共同注意が語意の獲得を促進していることが指摘されている。そこで、共同注意をモデル化することで環境から物体候補を抽出し、その候補からの選択と単語とのマッピングを行う。
人間が用いている記号システム(言語など)は他者や環境とのインタラクションを通してボトムアップに創発する。また、創発した記号を活用することで役割割り分担や協調行動が可能である。記号創発現象のモデル化とMARLやworld modelへの拡張を行う。
人間は他者の少ない行動データから行動を真似ることができる。ここでは見まねによる学習によりドメインのことなるエージェント間での模倣学習を行う。学習データ収集の容易さや報酬関数の設計をマルチモーダル基盤モデルを用いることで効率化している。
社会でロボットがタスクを達成するには、複数台のロボットが得手不得手に基づき協調する必要がある。また、人間と共生するためには自然言語での操作やロボット自体の行動説明が操作性や信頼性に重要である。また、それらを実現する通信システムを開発する。
石黒プロジェクト ムーンショット型研究開発事業 目標1:2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現 誰もが自在に活躍できるアバター共生社会の実現
研究開発項目4:CA協調連携の研究開発、複数CAの協調連携による家庭タスク達成 (2020~)
教師なし異常検知、技術相談・システム開発 w/ 企業 (2021~2022)
OCR・スポーツ選手動作解析、アルバイト w/ 企業・大学 (2019~2020)
画像認識入門、ティーチングアシスタント@企業 (2018~2019)
エンジン部品設計・製図、派遣職員 @研究機関 (2017)