PSGエディタ(ミュージックエース)を使う

ミュージックエースはMZ-1500付属のソフトでPSG機能を使った音楽作成ソフトです。

BASICではMUSIC命令でMML(Music Macro Language)を記述を必要としますが、ミュージックエースではGUIによる楽譜入力に近く作成中の曲の確認がとても容易となっています。

作成したデータはQDにセーブでき、別途付属のデモエース(DEMOM1.00)のサブルーチンコールでBGM再生、効果音再生することが可能です。

ミュージックエースは付属QDのUTILITIES/APPLICATIONSのA面に収録されています。

どんなものか

まずは楽譜エディタです。

最大6パート(6重和音)毎に鍵盤と音階の記載に沿って右端の音の種類・休符を示すQ~Xキーのアイコンを配置していきます。

配置は画面上段に記載されている1小節目から順に最大48小節分まで、1小節16マス内に配置できます。

配置の仕方によって音が4分音符なのか8分音符なのか16分音符かを意味します。

設定するテンポにより1マスの時間が変わります。(後述「テンポについて」参照)

指定できる音程は 0A~6Bの範囲で、周波数は0A が110Hz、6Bが7902Hzです。

次にサウンドエディタです。

前の楽譜エディタの画面のメインメニューからF2キーで切り替えます。

楽譜エディタでQ~Kキーの各音の定義をします。経過時間に対する音量の変化(エンベロープ)、経過時間に対する音の高さ(周波数)の変化(周波数シフト)をグラフを引く感覚で設定します。

横軸は経過時間で20ミリ秒単位、4つの区画で各16単位あるので各320ミリ秒(4区画全体で1.28秒)になります。再生時のテンポに影響を受けません。

縦軸はエンベロープの場合は16単位で底辺の0がミュートになります。

周波数シフトの場合は ±16段階の範囲で半音上下します。 また1段階に付き更に8段階あるので、1/8半音単位で上下します。

エンペロープと周波数シフトはF3キーで切り替えますが、線引きにF1とF2キーを使うので途中押し間違えて不意に切り替わってしまうこともあります。

音源としてオシレータとノイズのどちらを使用するかを指定でき、ノイズを指定した場合は3または6パートでの使用のみになります。

出力データについて

QDに楽譜データとサウンドデータを出力できます。出力するファイル名は起動時にのみしか設定できないので、一時的にセーブして後で再セーブすることを考えるとファイル名を指定出来たらよかったと思います。

■楽譜データ        ※括弧内の数字はバイト数を示す。アドレス値はリトルエンディアン。


音程:

0A: 0x00

6B :0x4A

 スペース:0x7F

 休符:0x80

間隔:次の設定までの間隔数

音種:0 ~ 15

■サウンドデータ

以下の2データで構成されます。

  • 音程・ 周波数変換テーブル(192バイト)

  • 音色データ(2160バイト。135バイトx16音)


 (1)音程・ 周波数変換テーブル

音程からSN76489に設定する周波数(分周比)に変換するためのテーブルです。

0A~1G#までの12音x8段階の2バイト値を定義しています。

変換する音程が1Aの場合、テーブルの 0A より1オクターブ上なので0Aの値を1ビット右シフトした値となります。

シフトによる計算で全オクターブの音程をカバーしているのでオクターブが上がるほどズレが大きく、例えば音程6A(7A)は 本来7040Hzですが計算では 7457Hzになりズレます。(SN76489の精度も影響していますが)


 (2)サウンドデータ

サウンドエディタ画面で設定している各音色データです。経過時間(20ミリ秒毎)の音量、周波数シフト値を2バイトで記録しています。6文字分の音色名と音源がノイズかどうかのフラグ(0x01の時ノイズ)に続き、2バイトの値が64回続きます。

周波数シフト値は 127 ~ 0 ~ -128 の値 、音量値は0~15の値です。

テンポについて

楽譜データでは四分音符は4マス毎に配置します。

テンポ3の場合、4分音符1つの長さが640ミリ秒で、サウンドエディタでの音のエンペロープ定義の最大時間は1280ミリ秒なので、大体4分音符2つ分(2分音符)ぐらいの長さぐらいになります。

その他

以上で大体の仕様ですが、できない、またはないものとして

  • 32分音符の設定が出来ない

  • 楽譜データ上に何小節までかの情報がない。

  • ミュージックエース上で指定できる演奏開始と演奏終了の情報もない

  • 同じパート内での楽譜のコピーはできるが、別パートにコピーするのはできない

  • サウンドエディタで音の定義のコピーができない。(元のを派生して作成したいときなど。)

ぐらいでしょうか。。







また、ミュージックエースで作成したデータは、同じくMZ-1500に添付されているデモエース(およびそのサブルーチン)で演奏させることが出来ます。それが前提になっています。

※デモエースとは3x3セルのパズル風のデモプログラムを作成するためのプログラムです。


参考文献

MZ-1500 UTILITIES/APPLICATIONS MANUAL

パターンエース・ミュージックエース アプリケーション ハンドブック

Oh!MZ 1985年3月号 MZ-1500音楽機能の活用 ミュージックエースの使い方(著:近藤弘幸)