熱電変換システムの今後の幅広い普及のために、宗藤研究室では効率の向上、使いやすさ、コストを含めた総合的に高性能化する研究を行っています。
ゼーベック効果では、素子内に温度差を形成する必要があり、低温部から放熱する必要があるため、変換効率は10%程度に留まっています。本研究では、化合物半導体のバンドギャップを制御することにより、p型半導体-狭バンドギャップ真性半導体-n型半導体を緩やかに連続させたエネルギーバンド構造を材料内に形成し、真性半導体で熱的に発生させた電子とホールをそれぞれn型とp型の領域に拡散させて電力を得るという新原理を提唱した。
ゼーベック効果において高温側で生成されたキャリアは濃度拡散により低温側へ移動し、電荷の偏りによる熱起電力を発する。一方、材料自体の帯電により、キャリアはクーロン力を受け低温側から高温側への移動が起こる。このキャリアのクーロン力による高温側への移動を抑え電荷の偏りを促進するために、フェルミ準位の異なるBa8AlxSi46-xクラスレート化合物を接合させて界面に内部電界を生じさせるアプローチを考案した。
・β-FeSi2における縮退/非縮退二層接合体の等温環境下における熱-電力変換の検証
・p型BaCuSiクラスレートの作製およびp型BaGaGeクラスレートの単結晶化
・内部電界の導入が熱電発電性能に及ぼす効果
・p-Si/n-Si接合熱電材料の温度勾配垂直方向発電の高出力化の検討
・表面硬化処理を施したFe-C系焼結材の摩耗機構