山から見た流域のリスクマネジメント
―経済・社会活動のなかでの持続的な自然環境管理—
2024年12月15日 13:00~15:00
静岡大学 共通B棟 301教室
※終了しました
近年、気候変動や人間社会の変化を背景に、シカなどの野生動物の個体数増加に伴う生物多様性の喪失や極端豪雨に伴う大規模土砂移動の発生など、山地では様々な問題が顕著化している。これらの問題は、上流の山岳域の自然環境に影響を及ぼすだけではなく、中山間地における農業・林業被害や、土砂災害の発生、ダム堆砂などの河川施設への悪影響、海岸線の後退につながり、下流の流域で暮らす人々の経済活動や暮らしにも影響をおよぼす。このような問題を解決するためには、適切な森林管理や、野生生物の個体数調整、防災対策の実施など、人々による自然環境の管理が必要とされる。
求められる自然環境の管理の方法は、気象環境や地形・地質、生態系のタイプ、上流と下流の連結性、影響のおよぶ人間活動の種類や密度などにより、地域や空間スケールごとで異なる。しかしながら、地域やスケールの特性に応じた自然環境の管理は十分に行われているとはいえない。また、人間社会よりもはるかに長い時間スケールをもつ自然環境の管理を地域の人々の経済・社会活動、公共政策のなかに組み込むことができなければ、持続的な労力や経費の確保は困難である。本シンポジウムでは、山地に関するパネリストによる話題提供を行うとともに、自然環境と社会・経済の関わりを分野横断的に話し合うディスカッションを行うことで、山地から流域が有する課題の解決策を検討していく。
パネリスト
今泉 文寿(静岡大学 山岳流域研究院 研究院長)
八代田 千鶴(森林総合研究所関西支所、 「野生生物と社会」学会会長)
上條 隆志(筑波大学 生命環境系・自然保護寄付講座)
コメンテーター
横田 宏樹(静岡大学、山岳流域研究院 副研究院長)
コーディネーター
富田 涼都(静岡大学、「野生生物と社会」学会 副会長)