ご挨拶

星城大学発ベンチャー合同会社Mサポ共同代表の太田進と申します.理学療法士としての臨床,研究留学,大学教員としての研究など,30年以上に渡りリハビリテーション医療に携わってきました.私たち理学療法士は直接,患者様と接し,目の前の患者様をその場で少しでも機能改善することを目指しています.ただ,それだけでなく患者様のやってみたいことや生活の中で困ることなどを伺い,少しでもその希望(Hope)を叶えることを目指しています.そのためには,動作の工夫,道具の工夫,環境の工夫など,それぞれの方の生活の場面に合わせて考えることになります.

これまでのたくさんの患者様との出会いを通して道具の工夫をしていく中で,自然に「ものづくり」に興味を持ち,いろいろな企業様と研究をしてきました.私自身は不器用で道具は作れずアイデアのみですが,製作した道具などの研究を通して効果検証や適応検証をし,その成果を論文として公表してきました.その経験の中で実際にご購入を希望される患者様もいらっしゃいましたが,その時に試作品を販売して頂くことは難しく,ご希望をかなえて差し上げることができませんでした.そのようなことを幾度か経験し,自分のやっている研究は何のための研究か,と立ち返ることも自分が年齢を重ねたためか考えることが増えました.やはり理学療法士として,自分たちができることで,実際に患者様の生活で,そのHopeの実現を目指すこと,QOL(生活の質:Qulity of Life)を向上させることと考え,実際に購入し頂ける製品を作成していく必要性を強く感じました.一つの事案だけではありませんが,患者様や地域,社会に対してお役に立てる貴重な機会と考え,今までの研究成果物(有形,無形)を社会実装することと致しました.買い物に行ける,散歩の時間が増えた,旅行に行くことができたなど,生活の場面における身体活動(量)向上を支援できればと思います.

私の研究テーマを一言で表すと「動きの支援」になると考えています.「動き」の中でも歩行を中心にした身体活動は,生活の場面において移動手段となり,QOLとも強く関連します.動きは,英語でMovementと表すことができ,Movementの支援(サポート:support)をする,Movement supportから会社名をMサポとしました.我々の扱う「動き:Movement」は,疾患による身体や関節の機能低下のみでなく,高齢者の運動機能,転倒予防,中年期の生活習慣病(効率的な運動),発育期から青年期のスポーツ傷害(ケガの予防動作)を含みます.「動きの支援」により,皆様のHopeを少しでもご支援できれば幸いです.

 星城大学発ベンチャー Mサポ 共同代表

太田 進