研究

研究内容

1.コントロール

幼い子どもは、自らの行動や欲求をコントロールできません。したいことやしてしまうことを、すべきことに優先してしまいます。近年の研究により、行動や欲求をコントロールする能力である実行機能は3歳から5歳頃に急激に発達することが明らかになってきました。幼児期の実行機能が児童期における学業成績や成人期の社会的成功を予測することも示されており、その重要性が世界的に注目されています。我々は、実行機能の発達がどのような脳内機構に支えられているのか、実行機能を効果的に支援するためにはどのような方法があるのかを実証的に検討しています(著書『自分をコントロールする力』)。

2.子ども特有の経験

〇空想の友達

『となりのトトロ』や『いけちゃんとぼく』など、子どもにしか見えないもの、感じられないものがあるという報告は、文学や民俗学などの人文科学で繰り返しなされています。このような存在を空想の友達といいますが、日本に限らず、欧米やアジア諸国など世界中で見られる現象です。最近の発達心理学の調査では、子どもの約半数がそのようなものを持ち、子どもの心の発達に重要な役割を果たすことがわかってきています。我々は、これらの研究を推し進め、子どもがいかに空想の友達を生成し、子どもが空想の友達をどのようにとらえ、空想の友達が子どもの発達にどのような影響を与えるを、行動実験、行動観察、脳機能計測などの手法を用いて科学的に検証しています(著書『おさなごころを科学する』参照)。

〇視覚的意識

同じ刺激を提示されても、子どもが注意を向ける対象や範囲、もしくは、主観的な意識にのぼる内容は、大人と違う可能性があります。現在ではこのような内容についてはほとんど研究が進んでいないので、幼児や児童を対象に行動実験などを通してこれらの問題を検討しています。

本研究室の研究に関心を持たれた方に

上記のような本研究室で行っている研究内容に関心のある方に本を紹介します。子どもの脳や心の発達に関しては、科学的根拠に基づかない本が多数あります。ここでは、信頼のおける本のみ紹介してしています。

1.一般の方向け

発達研究に関心を持った方に読んでいただきたい本です。基本的に読み物です。

2.研究者を目指す方向け

発達研究の研究者になりたい方へ読んでほしい本です。少し専門的な内容を含みますが、一通り目を通してほしいと思います。