分子モーターの研究は、ミオシン・キネシンなどの個別の分子機構の解明に道筋を付けただけでなく、一分子イメージングや生化学、構造学的アプローチ、光操作技術などの生命科学の技術革新にも広く貢献してきました。これらの知見や方法論は、 多様な研究分野を大きく前進させる潜在的な価値を持ち、他の研究分野や手法と融合することで、ダイナミックな生物のしくみを記述して理解するための新たな研究へと発展する可能性があります。
本年度の討論会では、実験・理論・計算科学的アプローチによる生体分子モーターの理解、生体分子モーターや細胞骨格が関わる生命現象の理解、生体分子モーターで駆動される人工システムの設計と実装、人工分子モーターの創製と応用といった、分野を超えた様々な取り組みの接点を探ります。また、分子モーターから遊泳微生物、より大きなスケールまで、分子モーターが広い時空間スケールに渡って織りなす多彩な現象に対して、参加者が自由に意見交換すると共に、多様な視点から活発な議論を行う機会となることを目指します。
日程:2025年9月11日(木)10:30 - 9月12日(金)15:10
会場:京都大学 吉田キャンパス 北部構内 理学部セミナーハウス
(京都市左京区北白川追分町)
アクセス:https://sci.kyoto-u.ac.jp/ja/map(北部構内 マップ10)
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10:00- 開場・受付開始
10:30-10:35 開会
セッション1:並進モーター 座長:角五彰(京大)
10:35-11:00 牧野司(東大) 「構造が明かすキネシン二足歩行の制御メカニズム」
11:00-11:25 鄭誠虎(熊大) 「微小管上キネシンの全原子分子動力学シミュレーション」
11:25-11:40 中田里奈穂(同志社大) 「タウタンパク質の軸索輸送と微小管結合について」
11:40-13:30 昼休み
(11:55-13:25 運営委員会)
セッション2:回転モーター 座長:大友章裕(京大)
13:30-13:55 安田賢司(千葉大) 「全原子分子動力学シミュレーションによるNa+輸送性V-ATPaseのイオン輸送機構の解明」
13:55-14:20 豊永拓真(東北大) 「マイコプラズマ滑走運動を駆動する回転モーターG1-ATPaseの構造解析」
14:20-14:35 北智輝(東北大)「計算機を用いたキネシンの機能改変による細胞内輸送制御」
14:35-15:00 休憩
セッション3:バイオメカニクス 座長:島知弘(東大)
15:00-15:25 西山雅祥(近畿大) 「高圧力下で躍動する細胞運動」
15:25-15:50 Josephine GALIPON(山形大) 「Gelation properties of RNA – history and future perspectives」
15:50-16:05 髙松宣道(東大)「DNAオリガミ製ナノスプリングを用いたモータータンパク質KIF1Aの力計測」
16:05-16:30 休憩
ポスター
16:30-18:00
P1 荒川将志(秋田大)「小胞体出芽部位の位置決定に関与するダイニンカーゴアダプターの同定と機能解析」
P2 大橋凱(大阪大)「混雑環境下におけるキネシンの動態解析のためのマイクロレオロジー計測」
P3 中山慎太郎(大阪大/NICT)「生物分子モーターは2つの機構を使って一方向に運動する」
P4 川瀬陽輝(大阪大/NICT)「高速で駆動する生物分子モーターの創出」
P5 佐々木望(京大)「枯渇力によって制御された微小管集団が輸送する貨物粒子の断続的な運動」
P6 富重道雄(青山学院大)「キネシン1の協調的運動における情報ラチェット機構」
P7 小杉貴洋(分子研)「計算によるキネシン14の非触媒モータードメインの改造」
P8 神原丈敏(理研BDR)「大型脊椎動物における軸索輸送の強化:キリンとニシキヘビに見られるKIF5Aの適応」
P9 廣瀬了哉(京大)「複合体形成により自己推進するコロイド粒子の自己組織化過程とその非対称な数分布」
P10 伊藤龍平(京大)「遊泳する繊毛虫テトラヒメナの集団が見せる伝播現象の定量解析」
P11 Yiming GONG(京大)「DNA修飾微小管の群れを物理リザバーとしたコンピューティングデバイスの構築」
18:30- 懇親会
2025/9/12(金)
セッション4:細胞骨格 座長:川又生吹(京大)
10:00-10:25 藤原郁子(長岡技科大) 「ATP依存的ダイナミクスによる細菌アクチンMreBの運動能発現メカニズム」
10:25-10:50 沖村千夏(山口大) 「魚類表皮ケラトサイト細胞体の回転はストレスファイバ直線収縮が引き起こす」
10:50-11:05 岩﨑奏子(東大)「「遅い」キネシンから「速い」キネシンへのギアチェンジにより実現される高速・高効率な軸索輸送メカニズム」
11:05-12:30 昼休み
セッション5:微生物、細胞 座長:市川正敏(広大)
12:30-12:55 野村真未(山形大) 「有殻アメーバの被殻構築に見る、細胞骨格が生み出す新しい細胞の機能」
12:55-13:20 中根大介(電通大) 「細菌が野生の環境に出かけたら...?」
13:20-13:35 黒田要(近畿大)「広視野顕微鏡の開発」
13:35-14:00 休憩
セッション6:アクティブマター 座長:原島崇徳(分子研)
14:00-14:25 別府航早(京大) 「磁場による非磁性アクティブマターの秩序化制御」
14:25-14:50 中山牧水(京大) 「場と相互作用するアクティブマター」
14:50-15:05 陳宗榮(京大)「Collective Behavior of Molecular Motor Robots Under Light Landscapes: Insights from Theory and Simulation」
15:05-15:10 閉会
第14回分子モーター討論会では、「一般講演(ポスター発表)」に加えて、「学生口頭発表」を募集致します。
なお、「学生口頭発表」は発表枠に限りがあるため、申込者多数の場合は選考委員会にて選考を行い、発表者を決定致します。
選考の結果、口頭発表に採択されなかった場合は、ポスター発表へ変更をお願い致します。
ポスター発表の方へ
ポスターボードの大きさは、高さ180 cm × 幅 90 cmです。
掲示用のマグネットはこちらで用意いたします。
沖村千夏(山口大)、Josephine GALIPON(山形大) 、鄭誠虎(熊大) 、豊永拓真(東北大) 、中根大介(電通大)、中山牧水(京大)、
西山雅祥(近畿大) 、野村真未(山形大)、別府航早(京大) 、藤原郁子(長岡技科大) 、牧野司(東大) 、安田賢司(千葉大)
以下のフォームから必要事項の登録をお願い致します。
https://forms.gle/fvN5UNMc7KiovEKU9
発表申し込み締め切り:2025年7月31日(木)2025年8月8日(金)に延長
参加申し込み締め切り:2025年8月8日(金)
9月11日(木) 夜に同会場にて開催
教員・PI 研究員 7,000円、ポスドク・博士研究員 5,000円、学生 3,000円、招待講演者 0円
世話人:角五彰(chair;京大)、市川正敏(広大)、大友章裕(京大)、川又生吹(京大)、谷茉莉(京大)
参考:過去の討論会:第13回(分子研)、第12回(東北大)、 第11回(大阪大)、第10回(オンライン)