岡山大学大学院自然科学研究科・教授
東北大学理学部卒
東北大学大学院理学研究科修了(理学博士)
学位論文:マウスチロシナーゼ遺伝子の構造と発現
専門:分子内分泌学
学部講義:細胞生物学II,生体制御学Iなど
大学院講義:細胞応答学,細胞制御学など
座右の銘:鶏口牛後
研究室:理学部1号館B114 内線:7868
E-mail: stakeuch@cc.okayama-u.ac.jp (@は半角に変換してください)
生物のからだは人間社会に,それをつくる細胞はひとりひとりの人間にたとえることができます。私たちのからだは,実に個性的な細胞の集合体です。そこには一見「無意味な細胞」と思われるものも少なくありません。しかし,どのような細胞であっても,私たちのからだが正常につくられ,機能し,健康に生活するためには欠くことのできないものです。また,どのような細胞であれ,その細胞が生まれるときも,生きて活動するときも,いつでも他の細胞とコミュニケーションをとり続けています。私たちのからだを構成する細胞は決して単独では生きていけないのです。私たち人間もまったく同じではないでしょうか。
最近の風潮として,個人主義をはき違えた「エゴイズム」が強くなっているように思います。個人を尊重する社会はすばらしいと思いますし,そうあらねばならないとも思います。しかし,今日の「個人主義」は,他者に対して無関心であったり,排他的であったり,自己中心的であったりと問題が多いように思います。それは他人を尊重しない,認めないところからきているのではないでしょうか。
私たちのからだでは「ひとつの細胞はからだ全体のために,からだ全体はひとつの細胞のために」はたらいています。これは高等脊椎動物が進化の過程で獲得した知恵です。生物のからだは人の生き方の良い教科書なのかもしれません。私たちの研究室では,「和」「誠実」「気力」をモットーに研究活動を進めていきたいと考えています。
生物学はとても楽しい学問です。自分自身を知る学問です。分かっていないこと,解決していないことがいっぱいです。その分,新しい発見もいっぱいです。多くの方が生物学に興味をもっていただけたらと願っています。
私自身,愛読書である故内田康夫先生の推理小説と同じ様に,生物学の新しいページをたくさんめくりたいものです。