代表について

もじこ塾の代表、成田 あゆみについて紹介いたします。

代表 成田 あゆみ(もじこ)

略歴

1970年東京生まれ。1976~79年、ディスレクシアで建築士だった父の仕事でブルガリア在住、現地のアメリカンスクールに通う。一橋大学田中克彦ゼミで社会言語学を学ぶ。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了(社会言語学専攻)、同博士課程中退。

大学院在学中より予備校講師(Z会の教室)、英語翻訳者として稼働。2003年に初の著書(共著)『ディスコースマーカー英文読解』(Z会)出版。『英作文のトレーニング[自由英作文編]』(Z会)『ウィズダム英和辞典』『ウィズダム和英辞典』(三省堂)の項目執筆などに取り組む。

英日実務翻訳者として、企業研修、契約書、広報、マニュアルなどの文書を幅広く訳す。またアイ・エス・エス・インスティテュートで講師を務め、翻訳者養成にも携わる。

2011年頃よりディスレクシアの実践研究を開始。2016年、もじこ塾の前身となるディスレクシア向け英語個別指導を開始。

2017年、東京・南新宿にディスレクシア専用英語塾「もじこ塾」を開設。

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長めの紹介

ディスレクシア(読字障害)向けの英語教育に取り組むようになった経緯は?

もともと英語の実務翻訳者をメインに、予備校講師や参考書執筆を生業としていましたが、翻訳の仕事でディスレクシアに関する文献を訳したことと、身近にディスレクシアの人がいることがわかったタイミングがたまたま重なったのです。それで、まったく知らなかったディスレクシアに強い興味を持つようになりました。

それから、ネットを調べたり専門書を読んだりして、ディスレクシアについて調べていきました。すると予備校で教える生徒、それも難関大を志望する生徒のなかにも、ディスレクシアがいることに気づきました。こうして「ディスレクシアに英語を教える」というテーマが生まれたのです。自分の専門の一つである英語教育を、ディスレクシアの人向けに応用したいと考えるようになりました。

この時に役立ったのが、英語圏のディスレクシアの人に向けた国語教育――英米における国語教育なので、つまりは英語教育なのですが――の専門書の数々です。翻訳業の一環で英語の資料は日々読んでいたので、専門書を読むことは苦になりませんでした。

ディスレクシアについて、そしてディスレクシアのための英語教育について、長くブログ「on dyslexia」で発信しています。

「ディスレクシアに英語を教える」というテーマに出会った頃は、ディスレクシアに関する本も日本語ではほとんどありませんでしたし、ましてディスレクシアへの英語の教え方について日本語で読める文献は皆無でした。このため、ディスレクシア教育について学ぶのはもっぱら英米の専門書を通してでした。そうして深く知るにつれ、「この知識を必要としている人が日本にもいるに違いない」と考えるようになりました。

そんな人たちの一助になればと、翻訳仕事の合間に文献を訳しては、自分なりの考察を加えて掲載したのがこのブログです。スタートしたのは2012年。「もじこ」はこのブログでの私のハンドルネームです。

ブログを開始した頃は、日本のディスレクシアの生徒に有効な英語の教え方は何か、教材はどうあるべきか、自分自身何もわからない状態。そこからの試行錯誤の過程も、ブログに書いていました。

そんな発信を3年ほど続けた頃、ブログの読者から「うちの子に指導をしてほしい」というリクエストが届くようになりました。そこから徐々に生徒をとり、個別で教えるように。それが、2017年2月のもじこ塾のオープンにつながりました。

ちなみにオープン当初の生徒数は6名。それが今、約60名です。夏休みなどの講習では地方から来る生徒もいます。学習相談も行なっていますが、日本全国さらには海外在住の方からも相談を受けます。

2017年からは米国で毎年開催されるディスレクシア教育の専門団体(IDA: International Dyslexia Association) の学会に参加するなど、ディスレクシア英語教育の情報収集や研究も続けています。

かつて日本では、「ディスレクシアの生徒は、英語は諦めてください」「できません」と言われていたと聞きます。

はい、しかしディスレクシアは個人の問題ではありません。ディスレクシアに対する認知度が社会で高まり、ディスレクシアに適した学習法が教師の間に広まることを願っています。

ディスレクシアの生徒が目の前にいて、既存の教材や教え方ではまったく合わない。であれば合うものを作ろうというのが、私の考え方です。もともと参考書の執筆も行なっており、教材作りに抵抗はありません。生徒の反応を想像しながら教材を作り、想像通りの反応があると嬉しいですし、生徒の成長が感じられると大きなやりがいを感じます。

ディスレクシアだから英語を理由に何かを諦めなくてはならない。そんなことを少しでも減らすことができれば、と考えています。そのために、自分の知識と経験、情報収集をフルに生かして取り組んでいきたいと思っています。


(2020年5月)


翻訳者時代に書いたコラム(外部サイトに飛びます)

「実務翻訳のあれこれ」