構造設計用解析ソフトには,H形断面部材の挙動を再現する履歴モデルが実装されていますが,実際のところ,その構造性の全容はまだまだ把握できておりません.我々は基礎的な構造実験と解析を効果的に組合せ,H形断面部材の更なる可能性を追求しています.
薄板軽量形鋼は断面形状を最適化することによって高効率な部材形状を実現しています.一方,部材形状が複雑であるため,複数の座屈現象が発生し,極めて構造設計が難しい部材であります.我々は新しい座屈現象の発見とその設計法の確立に挑戦しています.
日本では,柱部材として馴染み深い部材ですが,実は海外ではあまり使用されていません.近年,設計の容易さや優れた性能から,海外からの注目度が高まっています.数多くの実験を実施することで,我々は世界にリードする研究成果を発表しています.
有限要素法解析によって,ひずみレベルまで構造実験と同様の部材挙動を再現する研究です.鋼材の繰返し挙動を再現できる材料硬化則の同定を行い,鋼構造部材の耐震性能を検証しています.
部材の薄肉化,座屈設計の最適化を行うことで,建築物で使用する鋼材量を削減し,CO2削減を実現する研究です.薄板部材の利点を最大限に発揮させる集大成に近い研究テーマです.
FEMの知識がない人でも簡単に解析を実施できるプログラムを開発しています.五十嵐研で脈々と続く研究成果を活用し,スチフナ・スラブが付帯したH形断面梁部材の構造性能を評価します.