招待講演

招待講演一覧

講演者の方々の発表内容や、コメントを掲載させていただいています。

◇ 増永浩彦 先生 (名古屋大学 宇宙地球環境研究所 准教授)

講演タイトル:井の中の蛙大海を知らず…されど蛙大海で生きるに能わず

講演要旨:

若い世代で海外留学に対する興味が薄れつつあるとしばしば耳にするが、本当だろうか?人それぞれ温度差こそあれ、在外経験にわずかでも関心を持つ若者は少なくないのではないか?私はかつて縁あって4年余り米国で研究生活を送り、また昨年は5か月間フランスの大学に滞在する機会を得た。その体験をもとに、言葉の壁や生活文化の違いなど身近な話題をちりばめつつ、海外で暮らし働くことの意義や楽しさを語りたい。研究職か民間か活躍の場を問わず、これから国際社会に羽ばたいていく若手のみなさんに送る、ささやかなエールのつもりである。

参加者へのメッセージ:

私は博士号を取った天文学の研究業界で路頭に迷い、駆け込んだ気象の世界でもやがてポスドクの任期が迫り、そのとき偶然差しのべられた手にすがってアメリカへ飛び出しました。今思えば、失速寸前の低空飛行だからこそよく見える景色があり、孤独に感じるからこそ見守ってくれる人の気遣いが心に染みることが幾度となくありました。皆さんもいつか、どうしても夢がかなわず心が折れそうになる日が来るかもしれません。でもそのとき必死に考えたり挑戦したことが、きっとその後の人生を豊かにしてくれるでしょう。


◇ 吉野純 先生 (岐阜大学 工学部附属 応用気象研究センター センター長)

講演タイトル:理学と工学の融合による気象情報工学

講演要旨:

気象情報は防災情報としてだけでなく様々な産業分野に活用されています.まさに宝の山.気象情報の価値をさらに高めるためにも気象分野と様々な産業分野との人的交流が必要になってきます.私は,学生時代に培った理学的マインドセットの下で台風などの気象現象の理解に関する基礎研究を進めつつも,新たな人的交流を通じて得た工学的マインドセットの下で気象情報を多方面の分野に利活用する応用研究も行っています.そのきっかけとなったのが岐阜大学で実施している気象予報業務です.本講演では,渦位(うずい)にもとづいた台風に関する理工学的な研究例を紹介しつつ,気象予報業務をきっかけに発展した応用研究についても紹介します.

参加者へのメッセージ:

私が学生だった15~20年くらい前にも,各地の夏の学校に参加したり,主催側として夏の学校を企画・運営をしたり,と昔の楽しい思い出が蘇ってきます.夏の学校で出会った人とその後一緒に仕事をする機会もありました.志を同じくする全国の気象人が一堂に会して喧々囂々語り合えるまたとないチャンスです.ここでの出会いが未来の研究や仕事のきっかけになるかもしれませんね.「気象夏の学校2018@名古屋」で皆さんとお会いできることを楽しみにしています.


◇ 岡田桂子 先生 (日本IBM The Weather Company 勤務)

講演タイトル:届け、気象情報!ある気象予報士の目から見たリアル

講演要旨:

誰かの役に立つってなんて楽しいんだろう!私が気象予報士の仕事を続けるモチベーションはまずこれ以外ありません。最初に、私が気象予報士になったばかりの頃、片頭痛持ちの方の為に考案し、開発ディレクターを務めた気圧予報&頭痛ダイアリー「頭痛ーる」の開発秘話を。また近年、気象ビッグデータを利用したサービスが、農業、流通・小売業、エネルギー産業等、あらゆる業界から期待されています。日々の天気変化、季節のトレンドの影響は誰にとっても避けられません。季節予報の需要、AIの活用など、ひとりの働く気象予報士の目から見えるリアルな世界をご案内したいと思います!

参加者へのメッセージ:

皆さんこんにちは。この度は、勉強の為、交流の為、夏の終わりに集い過ごされる皆さんに加えて頂くことになり大変うれしく思っています。今皆さんは、学生として研究者の卵として、お勉強や研究に励まれる真っただ中にあるのでしょう。将来について、はっきりとした目標をお持ちの方もいれば、なぜ何の為にこうしているのかまだ分からないという方もいるでしょう。ただただ気象のお勉強が楽しい、空を見上げるのが好きだ、という方もいれば、自分は気象に関係のある仕事に就くのか、あるいは全く違う業界にむかうのか、悩まれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。もし少しでも気象予報士として日々を過ごす私の話が皆さんのヒントになれば幸いです。