招待講演

招待講演一覧(講演順)

講演者の方々の発表内容や、コメントを掲載させていただいています。

○植田宏昭先生 (筑波大学生命環境系 教授)


講演題名:気候の形成と変動 ~「異常気象」と一括りにしない気候変動論~

講演要旨:

最近生じた顕著な気候変動(例:2018年の北陸豪雪、2014年の南岸低気圧に伴う関東甲信の豪雪、2016年の常総洪水、2017年のポテチショック等々)を取り上げ、それらを引き起こした要因について、熱帯中緯度相互作用の視点から読み解きます。この他、チベット高気圧(南アジア高気圧)、太平洋高気圧、梅雨前線等の形成において「わかっているようで、実はわからないことだらけ」と言われる根拠についても整理を試みます。

学生へのメッセージ :

気候・気象諸現象について興味を持っている学生や若手研究者が、一同に介することにより、対象とする空間スケール(ローカル〜グローバル、熱帯〜極域)や時代(過去・現在・未来)に関わらず、気候システムに内在する物理過程への知見を深めることにより、地球の気候の成り立ちの奥深さについて、様々な気付きが得られるような講演を予定しています。

○永島達也先生 (国立環境研究所 地域環境研究センター 大気環境モデリング室 主任研究員)


講演題名:大気環境研究のこれまでとこれから(小噺集)

講演要旨:

修士研究を始める際、何の気なしに足を踏み入れた大気環境研究の世界でしたが、その時々における社会情勢などの影響を受けつつ研究テーマを少しずつ“シフト”しながら、今も引き続き研究を行っています。このようなシフトを可能にした、大気環境問題の相互のつながりを意識して、これまでに関わってきた大気環境問題を整理し、これからの研究展開に関する展望を紹介したいと思います(とはいえ、適当に小噺が挟まる予定です)。

学生へのメッセージ :

20年以上前に院生だった私と現役学生の皆さんとでは、物事の捉え方や価値判断に大きな違いがあるのではないかと思います。私がこれまでに取り組んできた大気環境問題は、とりわけ価値対立的な部分が多いと思いますが、大気環境研究に親和的な気象の研究を志す皆さんが、それに対してどんなイメージを持っているか、大変興味があります。せっかくなので講演はほどほどに、皆さんの意見を是非聞かせてください。楽しみにしています。

○川瀬宏明先生 (気象庁気象研究所 応用気象研究部 主任研究官)


講演題名:いろんな人とつながった地球温暖化の研究

講演要旨:

小さい頃の夢は気象キャスターか気象庁。そんな少年が気象を学ぼうと大学に入り、早20年。もともとやりたかった日本の雪や雨の研究にはなかなか辿りつけず、博士課程やポスドクの時期を過ごしました。ちょうどその頃、憧れの気象キャスターの人と出会い、一緒に活動する機会に恵まれました。そして今、地球温暖化の研究をキーワードにすべてが繋がりつつあります。講演では現在の研究とここに至るまでの”キセキ”を紹介します。

学生へのメッセージ :

今、一緒に仕事している研究者の多くは、若手会や夏の学校で知り合った人たちです。当時は研究分野も違い、一緒に朝まで飲んだり、遊んだりするだけの仲でした。それが今は共同研究したり、一緒に論文を書いたりしています。時には研究者に限らず、シンポジウムや研究会で会った民間企業や省庁の人たちが、実は昔、夏の学校で一緒だったこともあります。夏の学校での出会いは、これから先、思わぬ奇跡をもたらすかもしれませんよ。

○髙根雄也先生 (産業技術総合研究所 エネルギー・環境領域 環境管理研究部門 主任研究員)


講演題名:若き都市気候学者のイギリス(とその他経験談)

講演要旨:

都市気候を学ぶ若手研究者の一人として、これまで短いながらも経験してきた様々な事柄(産総研への入所・パーマネント審査、イギリス留学、所謂ハイ・インパクトジャーナルへの挑戦など)を通じて得た教訓等を、参加者の皆さんの年齢にそこそこ近い立場からソフトに?紹介します。また、その過程で携わってきた最新の都市気候研究の一部(都市の温暖化と空調の使用の相互作用、起源別人工排熱量の推定)について簡単に紹介します。

学生へのメッセージ :

前回の筑波大開催の夏学に副学長として参加しました。今振り返ると、気の合う友人の多くが、その夏学で知り合った方々だったことに気が付きました。夏学はそのような意味で、時を経て現在の私の生活を色鮮やかにしてくれています。今回、私は講演者としてはまだ若く重厚で体系的な学問のお話はできませんが、その代わりに学生目線に近い立場から柔らかい?体験談等のお話をしたいと思いますので、何卒お手柔らかにお願いします。