おーっす、イチキー。

おー!アマテラスちゃんか!

なんだぁ? またアタシに可愛がってもらいに来たのか?

…違うわ、たわけ。

…いやぁ、しばらく会えなくて寂しかったぜ、アマテラスちゃーん…

むぎゅぎゅぎゅぎゅ…

結局やるならいちいち聞くなよ!!

…おお、それもそうだ。

うりゃああああ!!

うぎゃああああ!!

…で?何か用か?

…い、いよいよ身勝手さに磨きがかかってきたな、お前…

相変わらず時化の調査中じゃよ…

…時化?治まったんじゃないのか?

オキから何も聞いとらんのか?

まだ時化の原因がはっきりしておらんから、事後調査の最中じゃ。

ムナカタ三女神の《神格》に、何か異変が起きていないか調べとる。

…今のトコロ、アタシたちが最有力の容疑者、ってワケか。

ま、ザックリ言うとそんな感じじゃな。

そういうワケじゃから、しばらくお前に張り付かせてもらうぞ。

願ったり叶ったりだぜー!!

うがががが……

…で?まずは何する?

うーん、具体的に何するって言われとると困るがなぁ…

お前たち自身が気づかんような変化を見つけてやりたいと思っとるのじゃが…

…………

そういえば、お前の方はあれから今まで、何をしておったのじゃ?

何って… 仕事だよ。

一応、時化は治まったワケだからな。本来の仕事をおろそかにはできないし。

むしろ、たまりにたまった分、処理するのにてんてこ舞いさ。

…なるほど。まぁ、そりゃそうか…

とりあえず、積もる話もあるっちゃあるけど…

ツクモちゃんの試験でもやりながら、方針を決めようか。

どうせ端からそのつもりなんだろ?

…まぁ、そうじゃな。話が早くて助かるわ。

よっしゃ、決まりだね!

それじゃ、サッソク“お供え物”探し、お願いするよ。

その間にアタシは、手元のお仕事に整理を付けておくからさ。

イチキ様も、とりあえず見たところ、お変わりないみたいですね。

…そうじゃな。あの悪癖はお変わりあって欲しかったものじゃが…

まぁ、元気そうで何よりじゃ。

今回も、イチキ様の《神格》について調査するんですか?

う~ん、そうじゃなぁ。

タキの話を信じるならば、何か大きな力が働いていることになるじゃろうから…

イチキの《神格》が問題を起こしていないか、確認する必要があるな。

イチキ様はすっごい力をお持ちだって、言ってましたもんね。

まぁ、ヤツの言う通り、じっくり方針を考えた方が良いじゃろう。

とりあえずワシらは、《お供え物》を探すとするか。

了解です!

さてと… それじゃ調査の件だけど。

とりあえず、アタシの《神格》に問題がないかってハナシでいいんだろう?

うん、まぁ… そういうハナシになるかな。

ならアタシはいつもどおり、仕事をしていればいいってことか。

めがみの役目はそのままずばり、《神格》に由来してるんだからさ。

アタシの仕事っぷりを見てもらって、おかしなトコロがないか見てもらう。

そんな感じでどうだい?

差し当たり、具体的なプランもないし、その方向で考えてみるとするか。

丁度今、大物の仕事を抱えててね。ちょっと付き合ってもらうよ。

…ええと確か、お前の《神格》は、“船”だったよな?

…ああ。

ニンゲンの夢と希望を乗せ、広大な海原を航海する… それがアタシさ!

…ううん。なんかよく分からんな…

…失礼なこと言うな。

いや、めがみの才能ってのは本来、ヒトに関わりが深いものなワケじゃが…

…何がどう、関わっておるんじゃ?ヒトと、“船”の《神格》は。

アタシに聞かれてもなぁ…

ま、それもアタシの仕事っぷりを見てもらえば分かるんじゃないか?

今回の仕事はまさしく、船で海原に出なきゃなんないからね。

ほほう。わざわざ船で出るのか?

海を渡るにしてもひょいっとひとっ飛びすりゃええじゃろうに。

アタシだけが行って帰ってくるならそれでいいかもしれないけどね。

わざわざ海に出るのは、運んでくるためなのさ。

“運気”ってヤツを。

“運気”…?

気が付けば、アタシも色々と役割が増えちまったからね。

ヒトの敬いや願いだけじゃ、どうにもまかないきれなくってさ。

だから定期的に海に出て、船に“運気”を蓄えておくんだ。

いざってときに、調節が効くようにね。

…はぁ、なるほどなぁ…

お前の“船”は、力の貯蔵庫みたいなもんというワケか。

ここのトコロ、時化が続いてたから、海には出れなかったんだけど…

ようやく落ち着いたことだし、そろそろ船出の頃合いかなと思ってたところだ。

…けど、まずは…

ツクモちゃんの《神格試験》、済ませてからでないとなー!

あんまりモタモタしてるとタイミングを逃しちゃうかもしれないし…

さっくりパパっと、合格しちゃっておくれよ?

イチキ様の“船”には、あんな役割があったのですね。

アヤツが多彩な才能を発揮できておるのにも、納得がいったな。

…しかし、とはいえ…

結局“船”そのものは、ヒトと関わりの深いものには思えんかったが…

でも、イチキ様はきちんとお役目をはたしているようですし…

それで、よいのではないですか…?

そうじゃなぁ… 微妙にスッキリせん気もするが…

ま、それも今回のイチキの船旅が終われば、何か分かるかもしれんな。

そうと決まれば、《神格試験》、ですね!

うむ!さっくりパパっと、片付けてやるとしよう!