６５段
ざっぱーん！
あ、アマテラス様！どうも！
それじゃサッソク始めましょうか！ツクモの《神格試験》！
…………
…早かったな。立ち直り。
いやまぁ、落ち込んでばかりもいられませんから！
何せプロは、“毎日続ける者”… ですからね！
はぁ…心配して損した気分じゃ…
まぁ、それだけ前向きになれたのじゃ。少しは悩みも解決に向かったか？
ククリとコノハ、両極端の2人じゃが… 会わせて正解だったようじゃな。
いやぁ、おかげさまで、色々よくわからなくなりましたね！
…え。
何しろ両極端でしたから！どうしていいやら、さっぱりです！
ウジウジしてるのもぼくらしくないので、とりあえず悩むのはやめにしますが…
結局調子は戻ってこないし、解決の道筋は見えてこないし、お手上げですよ！
はっはっは！
…さ、左様か…
…しかし、放っておくわけにもいかんじゃろ？
モチロン、放っておくつもりもないですよ。
今回は改めて、ツクモの試験をさせてもらおうと思ってきました！
…ほう？まぁ、別に構わんが…
それでお前の悩みを解決できるのか？
それも、分かりません。だけどまずは試してみないと！
わからないなりに、何か掴めそうな気はしているんですよ。
こんなとき、いつものぼくならどうするかって考えたら…
過去のことは省みず、未来についても向こう見ず！
それこそが、幸運の呼び水だと！そう考えるに違いないと！
…な、なんだかいつにもましてよく分からん理屈じゃが…
とにかくここまで来たのじゃ。最後まで付き合ってやるわ。
よぉし、決まりですね！
それじゃツクモちゃん！ちゃーんと、ついてくるように！
タキ様、なんだか元気になっちゃいましたね。
…まぁ、実は何も解決してはおらんのじゃけど…
タキ様らしさが戻ってきただけ、一歩前進ですよ！
…ふりだしに戻っただけとも言うけどな。
ともあれ、タキの中でも何か掴みかけておるようじゃし…
もうしばらく、付き合ってやるとしよう。
ワタシも、頑張ります！
戻ったぞ、タキ。
…………
…おい。
…………
…ぐぅ。
起きろコラ！
…はっ！！
おはようございます！
…なに居眠りしとるんじゃ、お前。
…リラックスのイメージトレーニングをしていたら、うっかり寝てしまいました…
ああ、ククリとの試験で学んだという、アレか。
…まぁ、ヤツは何も教えたつもりないのじゃろうけど。
で、実践してみて何か掴めたのか？お前の調子を戻す方法。
まぁ、気持ちは落ち着きましたかね。
でもうーん… ククリさんのやり方も、コノハのやり方も…
どちらも力を抜けってことだとは思うのですが…
…なんじゃ、まだ悩み始めたのか？
いえ、悩んでいるというのとは少し違う感じですね。
喉元まで答えが出かかっているというのにはっきりしないもどかしさと言いますか…
焦らず、一歩一歩、力を抜いて…どれも頭では理解できました。
けど感覚的に、どうにも2人のやり方は肌に合わなくって…
…まぁ、それもそうじゃろ。やり方はそれぞれなのじゃから。
…それぞれ、ですか。
だからこそ今回は、両極端の2人を選んだのじゃしな。
力を抜くと言っても、それぞれの性質によって正しいやり方は異なるモノじゃ。
ククリは流れに身を任せておるから調子に左右されんようにしておるし…
コノハの場合は、調子が戻るまで己にできるレベルをコントロールしておる。
それぞれの生き方によって、選ぶべき手段も変わってくるということじゃ。
…なるほど。
…って、アレ？
最初からそこまで分かってたなら、ちゃんと説明してくれればよかったのに！
コトバで説明しても、肌で感じなければイメージに繋がらんかな。
実際、2人のやり方を直接味わったからこそ、自分に合わないと思ったのじゃろ？
ま、まぁ…それはそうですね。
ワシに言えるのはココまでかな。
他人のやり方を体験からしか知り得ないのと同様に…
己のやり方というのも、自分で見つけんことには答えは出んから。
…………
…いえ、十分です！
少しだけ見えてきた気がします！
とにかく今は、自分の調子がどうなってるのか確かめたいですね。
そういうわけだからツクモ！
悪いけど思いっきり行かせてもらうよ！
“ムナカタ三女神”の、一柱として！
世話が焼けるなぁ、タキのやつは。
でも、もう少しで解決できそうな気配がしてきましたよ。
随分と時間がかかってしまったけどもな…
実際、“調子”なんてもんは、本人の感覚次第じゃからなぁ…
ワシら外野からは、見たり感じたりできるもんではないから、タチが悪いわ…
いまいち、具体性に欠けるから解決するのも一苦労じゃし。
…アマテラス様。
何だか最近、愚痴っぽくないですか？
…え。
…ダメですよ？そんな陰鬱な空気を出していては。
過去のことは省みず！未来についても向こう見ず！…で行きましょう！
…気に入ったのか、それ。
さぁさぁ、行きますよ！タキ様の復活を目指して！いざ、《神格試験》！