1984年 大分県中津市生まれ
2007年 早稲田大学人間科学部 卒
2007年 株式会社 タウンニュース社 入社
2012年 株式会社 西日本新聞社 入社
2014年 ベストケア東京 入社
2016年 医療ライターとして独立
2024年 自習室・ワークスペース「集中ブース Porte」開設
「自分がまさか、新聞記者になるなんて」――。大学生時代のわたしは、自分が担う仕事の希望が明確にはなく、就職活動もふらふらとしていました。銀行、証券会社、広告代理店、コンサルティング会社、出版社……。業界を問わず、入社試験を受けました。
子どものころから国語は好きで、大学に入ってからは友人が少なかったこともあり、一人で黙々と小説を読む日々を送っていました。「文学に親しむ自分」をどこかアイデンティティーのように捉えていたようにも思います。
文章を読むのは好きでしたが、文章ならびに出版物を自分がつくることは想像しませんでした。そのため、「これ」といった就職活動の指針がなかったわけですが、運よく複数社から内定をいただくなかで、「本当にここに入っていいのかな……」という疑問が生まれ、自分をより見つめるようになりました。
「やりたいことはわからない。やってみないとわからない。でも、自分の一番好きなこと、活字に携われる会社に就職したほうが将来的に良いのでは」
そう思うようになり、就職活動をぎりぎりまで継続した結果、最後に内定をいただいたタウン誌の出版社「タウンニュース社」(神奈川県)に入ることを決めました。
タウンニュース社では、担当する地域で記者と広告営業の仕事を行いました。日々、商店街を歩き、行政の人に話を聞き、地域でユニークな活動をする人の存在を知れば、車を走らせました。
いろいろな人の話を聞くことが楽しく、飛び込み営業も苦ではありませんでした。初めての社会人生活でしたが、自分が予想していた以上に仕事が面白く、「今までの学校生活より社会人の方がぜんぜん楽しいな」と思った記憶があります。
広告営業に関しても、個人的には「売り込もう」といった気持ちはあまりなく、雑談をするなか、地域のニュースを聞くなかで最後に広告のご案内もしておく、といったスタイルで働いていました。
そんなふうに営業の仕事も楽しかったのですが、より「自分に向いているのではないか」「もっと追求したい」と思ったのが、記者の仕事でした。
「記者を専業にしたい」と思うなかで浮かんできたのが、新聞記者の道でした。当時は20代後半で試験を受けられる年齢の上限に近づいていましたが、独学に加えて休日はマスコミ専門の塾に通うことで、「高倍率」といわれる試験をなんとか突破、2社から内定をもらい、うち、わたしの地元・大分県がある九州を拠点とする西日本新聞社に入社しました。
わたしが今、医療を専門に取材しているのは、新聞記者時代にある難病の女子大生に出会ったことがきっかけです。
その方は、「慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)」という病気を抱えていました。これは末梢神経の病気で、手足の筋力が低下して力が入りにくくなる特徴があります。その方でいえば、ドアを押せない、水道の蛇口を回せない、ペットボトルのふたを回せない――といった状態・状況と向き合っていました。当時、一人で外出した際はドアの前で人が来るのをじっと待ち続けていたこともあるそうです。
「こんな病気があるのか……」とわたしは驚きました。病気の名を聞くことも、そのような症状があることを知るのも初めてでした。外見的にはわからないものの、胸の中ではとても苦しんでいる人の存在を知り、医療に関心を持つように。以来、積極的に医療や福祉の分野を取材するようになりました。
2016年に独立し、医療分野を専門に取材活動を行うなかでのテーマが、「難しそうな医療のこと、わかりやすく、面白く」です。
タウン誌時代からさまざまな分野・人を取材してきたなかで思うのが、専門用語の多さなどに伴う医療分野の難解さです。独立前のわたしのように「医療ってなんだか難しそう、お医者さんもなんだかとっつきにくそう」と思う人もいるのではないでしょうか。
取材テーマや記事の掲載媒体にもよりますが、そんな独立前のわたしのような読者を想定して、ファクト(事実関係)を重視しつつも、読みやすくてわかりやすい、さらに医師の人柄や魅力が伝わるなど、読後にポジティブな余韻が残る文章を書くことを心がけています。
取材時に意識しているのは、「めいっぱい楽しむ」こと。そして、自分が「面白い」「魅力的だ」と感じたことを身振り手振りを交えて、口頭で相手に伝えること。
楽しさって、やっぱり相手に伝わると思うんですね。それが結果的に、仕事を取り巻く人たちにポジティブに影響することが多いと感じています。
「とても楽しかった」「言いたいことを十分に話せた」「記事も素晴らしかった」と感想を伝えてくれる人がいるのは励みになりますし、「良かったな」と安堵する瞬間です。
まずは、自分が楽しむこと。そして、読者・取材先・編集者のことを考えながら読みやすく、わかりやすく、面白く伝えること。今後も大切にしていきたいです。
医療ライター・庄部勇太 ✉ yutashobu@gmail.com