関の山唄

   

   関の地蔵さんに振り袖着せての、奈良の大仏さんに聟むこにとるょ

   あれわいどんどんどん これわいどんどんどん。

   坂は照る照る鈴鹿は曇るあいの土山雨が降る。

   関の小万は亀山通ひ月に雪踏セッタが二十五足。

   高い山から谷底見れば瓜や茄子ナスビの花ざかり。

   関はよいとこ地蔵さんが御座る人に情けのあるところ。

   お婆ババどこへ行きやる三升樽さげて嫁の在所へ孫抱きに。

   関は千軒女郎屋は沽券コケン女郎屋なければ関やたたん。

   関の小万の米かす音は一里聞こえて二里ひびく。

   関の地蔵さんは頭がまるいからすとまればなげ島田。

   娘島田に蝶々がとまるとまるはづだよ花ぢゃもの。

   馬は戻(い)んだにお主は見えぬ関の小万がとめたやら。

   与作思へば照る日も曇る関の小万の涙雨。

   お伊勢七たびお多賀は八度関の地蔵は月参り。

   いやでござるぞ鍋島、薩摩五つ泊りに七つ立ち。

   馬がものいふた鈴鹿の坂でお参女郎なら乗しよと言ふた。

   お前とならば何処迄もえぢゃないかの

   がんたちいばらのなかまでも

   こちやいとやせぬ、わしやかまやせぬ。

   お前待ち待ち蚊帳の外そと蚊にくわれ 

   七つのお鐘のなる迄も

   こちやいとやせぬ、わしやかまやせぬ。

    注 七つのお鐘は四時。五つは八時。


 (7)「山車曳き唄」・木崎町祭り保存会

え~ぃ 五十三次 ヨイヨイ 関路の栄え ヨイヨイ むかしを今にヨ~イヤナー 引戻せ~ ソーラヨーオイ ヨーオイ ヨーイヤナー

え~ぃ やそせ鈴鹿のヨイヨイ 流れは清く ヨイヨイ 清くただしきヨ~イヤナー 神の道~ ソーラヨーオイ ヨーオイ ヨーイヤナー

え~ぃ 建る鳥居は ヨイヨイ 五十鈴の宮居ヨイヨイ 古くさびにしヨ~イヤナー 

真木柱~ ソーラヨーオイ ヨーオイ ヨーイヤナー

え~ぃ 西と東 ヨイヨイ 都のなかだ ヨイヨイ お伊勢参りのヨ~イヤナー 追分に~ ソーラヨーオイ ヨーオイ ヨーイヤナー

え~ぃ 高い山から ヨイヨイ 谷底見れば ヨイヨイ 瓜や茄子の ヨ~イヤナー 花盛り~ ソーラヨーオイ ヨーオイ ヨーイヤナー

え~ぃ 関の小万は ヨイヨイ 亀山通い ヨイヨイ 月に雪踏が ヨ~イヤナー 二十五足~ ソーラヨーオイ ヨーオイ ヨーイヤナー

え~ぃ 関で泊るなら ヨイヨイ 鶴屋か玉屋 ヨイヨイ まだも泊なら ヨ~イヤナー 会津屋か~ ソーラヨーオイ ヨーオイ ヨーイヤナー

え~ぃ 与作思えば ヨイヨイ 照る日も曇るヨイヨイ 関の小万の ヨ~イヤナー 涙雨~ ソーラヨーオイ ヨーオイ ヨーイヤナー

え~ぃ 宮は朝船 ヨイヨイ 四日市泊り ヨイヨイ 関の地蔵は ヨ~イヤナー すぐ通り~ ソーラヨーオイ ヨーオイ ヨーイヤナー

え~ぃ お伊勢七たびヨイヨイ お多賀は八度ヨイヨイ 関の地蔵は ヨ~イヤナー 月参り~ ソーラヨーオイ ヨーオイ ヨーイヤナー

え~ぃ 関は千軒 ヨイヨイ 女郎屋は沽券ヨイヨイ女郎屋なければヨ~イヤナー関やたたん~ ソーラヨーオイ ヨーオイ ヨーイヤナー

え~ぃ 関の小万の ヨイヨイ 米かす音は ヨイヨイ 一里聞こえてヨ~イヤナー二里響く ソーラヨーオイ ヨーオイ ヨーイヤナー

え~ぃ 坂は照る照るヨイヨイ 鈴鹿は曇る ヨイヨイ あいの土山 ヨ~イヤナー雨が降る~ ソーラヨーオイ ヨーオイ ヨーイヤナー

え~ぃ 嫌でござるぞヨイヨイ 鍋島薩摩 ヨイヨイ 五つ泊りに ヨ~イヤナー七つ立ち~ ソーラヨーオイ ヨーオイ ヨーイヤナー



 扇子の面に手書きした山曳歌・個人蔵

  

  関の地蔵に関の戸餅に関の小万の関づくし

  関はよいとこ南をうけて 鈴鹿おろしがそよそよと

  関はよいとこ地蔵さんがござる人に情けのあるところ

 丹波与作は馬追ひなれど 今はお江戸で籠に乗る

  宮は朝船四日市泊り関の地蔵はすぐ通り

  関の小萬が亀山通い月に雪駄が二十五足

  関の小萬の米かす音は一里聞こえて二里響く

  与作思えば照る日も曇る関の小萬の涙雨

  馬がもの云うた鈴鹿の坂でお参女郎なら乗しょと言うた

  坂の下では大竹小竹宿がとりたや小竹屋に

  手綱片手の浮雲ぐらし 馬の鼻唄通り雨

  昔恋しい鈴鹿を越えりゃ関の小萬の声がする

  坂は照る照る鈴鹿は曇る 間の土山雨が降る

  三分六百馬買う金じゃ貸してくれぬや娘売る

  高い山から谷底みれば瓜や茄子の花ざかり

  関の地蔵さんに振袖着せて奈良の大仏婿にとる

  お婆どこへ行きゃる三升樽提げて 嫁の在所へ孫抱きに

  嫌でござるぞ 鍋島薩摩五つ泊りに七つ立ち

  京へ出ようか伊勢路にしよかここが思案の一の鳥居

  宵も来やせで今来るやつはどこへ忍びの戻りやら

  お伊勢七度お多賀は八度 関の地蔵の月参り

  関は千軒女郎屋は沽券女郎屋なければ関やたたん

  関で泊るなら鶴屋か玉屋 まだも泊るなら会津屋か

  色気づいたか五月の蝉は 小松かかえて腰つかう

  恋に憧れて鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍は身を焦す

  江戸を出るとき褌忘れ  長い東海道をぶらぶらと

  お前待々蚊帳の外蚊にくわれ七つのお鐘がなるまでも

  入れておくれよ痒くてならん私一人が蚊帳の外

  関の地蔵さんは頭が丸い 烏止ればなげ島田

  関で名高い祇園の祭り山車とみこしと関おんど

  建てる鳥居は五十鈴川 宮居古くさびにし真木はしら