【テーマ】
未知クラスを考慮した画像分類
近年,自動運転やインフラの保守管理といった場面で,高精度な画像認識技術が強く求められています。教師あり学習は画像分類タスクにおいて大規模ラベル付きデータセットを学習に用いて高い性能を示してきました。しかし,大量のラベル付きデータが必要なため,学習のコストが非常に高くなります。また,ラベルのない画像を学習に活用できないため,未知のデータを分類することも難しくなります。
このような問題点を解決するために,半教師あり学習の一種であるGeneralized Category Discovery(GCD)などが研究されてきました。このタスク設定は,ラベルのないデータの中にラベルによって与えられない未知のクラスに属するものが含まれる,ことが特徴で,より実用的なものになります。しかし,既存のGCDの研究では,クラス数が未知であると性能が低下する,真のクラス数を推定するための計算コストが高い,などの問題点がありました。
本研究では,このような,GCDの設定と矛盾した,クラス数に関する仮定の問題点を解決することを目的としています。また,最適輸送距離の概念を応用することにより,特徴空間領域の高度化に取り組みます。
3次元レジストレーション
自動運転や 3 次元地図の維持管理分野では,安価な車載カメラ画像と既存の 3 次元点群地図を統合する技術の確立が求められています。先行研究であるFreeRegは,画像と点群という異なるモダリティ間の位置合わせを実現した手法です。しかし,走行車両や樹木などの動体・非構造物の影響による位置合わせ誤差や,単眼深度推定に内在するスケール不確定性といった課題が指摘されています。
本研究では,画像のセマンティック情報に基づく重み付け処理と,路面高さを基準としたスケール補正を導入し,環境変化に下頑健な手法を開発することを目指します。
移動物検知
自動車や電動車いす等の移動車両において,安全性の確保は最優先課題であり,運転者の認知,判断,操作を支援する安全運転支援技術の実現には,周辺物体の姿勢と寸法を推定する三次元物体検出が不可欠な技術となっています。この三次元物体検出にはLiDAR等を用いる手法もありますが,単眼カメラを用いた手法は実装コストの面で大きな利点を持ちます。しかし,単眼カメラは画像から得られる情報が二次元に限られるため,遠方やオクルージョンのある物体に対して高い不確実性が生じるという課題があります。
本研究では,移動車両の安全性向上を最終目的としていますが,その基盤となる単眼カメラによる三次元物体検出の精度を,先行研究の課題を克服することで向上させることを目指しています。
生体情報処理
高齢化に伴い電動車椅子の普及が進む一方,縁石への乗り上げや側溝への転落といった単独事故が深刻な課題となっています。従来の自動運転技術や運転支援システムは,主にカメラやLiDAR といった外部センサに依存していますが,これらは逆光や悪天候などの環境変動に脆弱であるという課題を有しています。このようなシステムによる誤検知の多発は,運転者の信頼を損なうことになり,安全装置としての機能を空洞化させてしまいます。
本研究では,外部環境に依存せず,運転者の認知状態を直接反映する脳波(EEG)に着目します。特に,生理学的な知見に基づき,信号処理によってノイズを徹底的に排除した質の高い生体信号を用いることで,運転者の危険認知の有無を正確に判定し,運転者が危険を見落としている場合のみ警告を行う受容性の高い運転支援システムの構築を目指します。
Visual SLAM
日本では高齢化が進んでいるため,後期高齢者の自律移動のためのモビリティ確保に向けた対策が求められています。自律移動のための技術としてSimultaneous Localization and Mapping(SLAM)があります。これは車両に取り付けたセンサで周囲環境をセンシングし,環境地図作成と自車位置推定を行う技術です。一般的に,センサにはLiDARやカメラを使用します。LiDARを用いたSLAMは高精度で環境のセンシングが可能ですが,高価で天候の変化に弱い問題点があります。一方,カメラを用いたSLAMは安価で画像データは多くの情報を含むため高度化が可能ですが,複雑に変化するような環境において,前後のフレーム間で大きく視点が変わるため精度の問題があります。そのため,複数のカメラを使用する多視点Visual SLAMが利用されます。また,複雑な環境として人や車両などの移動体が多く含む環境があげられるため,完全な移動体の除去をSLAMに用いることが求められています。
本研究では,屋外でも使用できるカメラセンサを用いた Visual SLAM システムの開発を行い,電動車いすに搭載します。カメラセンサは前述した通り複雑な環境では精度が不安定になるため,マルチレンズ全方位カメラを用いて問題の解決を図ります。
PnP
近年,自動運転車やドローン,サービスロボットの急速な発展に伴い,現実世界をリアルタイムかつ正確に把握する三次元認識技術の需要が急増しています。その基盤となるのが,3次元および2次元座標の対応からカメラの位置・姿勢を推定するPnP(Perspective n-Point)問題です。実環境での応用には,外乱や観測ノイズにロバストで,かつ高速に動作するアルゴリズムが不可欠になりますが,従来の分枝限定法やRANSACベースの手法では,計算時間やノイズ耐性の限界が課題となっていました。加えて,近年のカメラやモバイルデバイス,ロボットには地磁気センサやIMU(加速度・角速度センサ)などが標準的に搭載されることが多く,これらの付加情報を利用して推定の安定性や精度を高める手法も数多く提案されています。しかし,センサ情報は環境の影響やノイズを受ける場合もあり,PnPと整合的に活用するためには適切な統合方法が求められています。
本研究では,スズメの群れ行動を模倣し,大域探索能力に優れ局所解に陥りにくい特性を持つメタヒューリスティックアルゴリズムであるSparrow Search Algorithm(SSA)に着目しました。SSAの持つ性質は,複雑な解空間を持つPnP問題への応用において有望であると考えられます。本研究の目的は,SSAをPnP問題へと応用・改良し,更なる最適化を図ることである。特に,従来手法が苦手とする高ノイズ環境や点群数が少ない条件下においても,高精度かつ短時間で,高い安定性を有する推定技術の実現を目指します。
時系列予測・異常検知
自律走行車両の安全かつ正確なナビゲーションは,現代のモビリティ技術における重要な研究課題です。GPS信号が遮断される都市部やトンネル内においても確実に走行を維持するためには,周囲環境を正確に認識し,適切な車両制御を行うことが求められます。よって,道路境界である縁石の正確な検出・追跡は,車両の進路制御や衝突回避のために不可欠です。その中でも,複数の動的な障害物がある場合,安全なナビゲーションを保証するために追跡の問題が非常に重要になります。縁石追跡手法として,3次元LiDARに基づいたカルマンフィルタアルゴリズム,Global Nearest Neighbor (GNN) アルゴリズムとの組み合わせ手法等が提案されています。
本研究では,新しい手法として3DLiDARを使用してセマンティックセグメンテーションから検出した道路境界を使用した,Auto-Reservoir Neural Network (ARNN)に基づいた縁石追跡手法を提案します。
スポーツ画像処理
昨今,働き方改革にともない,セルフトレーニングが増加し,選手のパフォーマンスを評価するツールの需要が高まっています。ラグビーフットボール競技は,選手の動きを正確に把握し分析することが求められます。
本研究は,コンピュータビジョン,パターン認識技術を各種センサに活用することにより,選手の動きを可視化し,プレーヤーの技術向上を支援するシステムの開発を目的としています。
自動運転モビリティ
SLAM(Simultaneous Localization and Mapping) は,超音波センサやレーザースキャナ,RGBカメラなどの様々なセンサを使用して行う自己位置推定と,2 次元または3次元の地図を作製する環境地図作成を同時に行う技術です。現在の自律移動車両は,複数のセンサからの情報を処理して結合させた後,姿勢情報を得るために利用されています。しかし,この方法では得られた情報同士の結合が煩雑であり,自律移動に反映させることが難しいです。また,複数のハードウェアを用いることによる装置の大型化,高コスト化も懸念されます。
本研究は,複数のエッジコンピュータを用いない,各データが連携可能な歩道走行のための自動運転モビリティプラットフォームの構築を目指します。